“紅入友染”の読み方と例文
読み方割合
べにいりゆうぜん100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
その野分のわきに、衣紋えもんが崩れて、つまが乱れた。旦那の頭は下掻したがいの褄を裂いたていに、紅入友染べにいりゆうぜんの、膝の長襦袢ながじゅばんにのめずって、靴足袋をぬいと二ツ、仕切を空へ突出したと思え。
南地心中 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そのなが六畳の、成りたけ暗そうな壁の処へ、紅入友染べにいりゆうぜんの薄いお太鼓を押着おッつけて、小さくなったが、顔のあかるい、眉の判然はっきりした、ふっくり結綿ゆいわた角絞つのしぼりで、柄も中形も大きいが
吉原新話 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
対合むかいあった居附いつきの店の電燈瓦斯がす晃々こうこうとした中に、小僧のかげや、帳場の主人、火鉢の前の女房かみさんなどが、絵草子の裏、硝子がらすの中、中でも鮮麗あざやかなのは、軒に飾った紅入友染べにいりゆうぜんの影に、くっきりとあらわれる。
露肆 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)