かげ)” の例文
ここにわたの神の女豐玉毘賣とよたまびめ從婢まかだち玉盌たまもひを持ちて、水酌まむとする時に、井にかげあり。仰ぎ見れば、うるはしき壯夫をとこあり。いとあやしとおもひき。
もと大きな物置藏のあつた跡の芋畑の一葉一葉にも殘らずその青やかなかげは流れてゐて、芋の葉の廣いのや畑の縁に立ち並んでゐる玉蜀黍たうもろこしの葉の粗く長いのが
姉妹 (旧字旧仮名) / 若山牧水(著)
いつも、あきになるといふと、こゝろをめちゃくちゃにする、そのあきはまたやつてたとおもふ。木立こだちのあひだから、れてさしてつきかげが、いろかはつてかんじられる。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
雲隔つ友の葬所はふりどかげ蒸していま暑からし蝉のしじ鳴き (沼津上空)
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
浅草の三筋町みすぢまちなるおもひでもうたかたのごとや過ぎゆくかげごと
つゆじも (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
沈める星のかげ見れば
花守 (旧字旧仮名) / 横瀬夜雨(著)
春の夜と時計うごけるアトリエはおもてやみかげさすごとし
黒檜 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
かくれぬかげ天雲あまぐも
花守 (旧字旧仮名) / 横瀬夜雨(著)
日は暮れて薔薇いろのかげうすき弧燈のしめり
浅草哀歌 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
白栄しらはえくちなは奔る裏堀は水紋すゐもんの動きかげとありつつ
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)