“火光”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
あかり43.6%
ひかり20.5%
かこう10.3%
くわくわう10.3%
ほかげ5.1%
くわかう2.6%
2.6%
ひかげ2.6%
ほめき2.6%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
眠つたのか、小動こゆるぎぎもせぬ。右の頬片を板敷にベタリと附けて、其顏を爐に向けた。幽かな火光あかりが怖しくもチラ/\とそれを照らした。
赤痢 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
貴所方あなたがたは」と糸子を差し置いて藤尾ふじおが振り返る。黒い髪の陰からさっと白い顔がす。頬の端は遠い火光ひかりを受けてほの赤い。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
四十匁蝋燭は燃え残って五分ほどになり、赤々と燃え上る火光かこうは、彼の開け放しの口を照した。
阿Q正伝 (新字新仮名) / 魯迅(著)
みん万暦ばんれきはじめ閩中みんちゆう連江といふ所の人蛤をわりて玉をたれども不識みしらずこれをる、たまかまの中にあり跳躍をどりあがりしてさだまらず、火光くわくわうそらもゆ里人さとびと火事くわじならんとおどろき来りてこれを救ふ。
平常ふだんでさえにぎやかな人形町通りの年の市はことのほか景気だって、軒から軒にかけ渡した紅提燈べにぢょうちん火光ほかげはイルミネーションの明りと一緒に真昼のように街路まちの空を照らして
うつり香 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
丘のやうな堤のやうな遠い先の方にが無数に見える。むか河岸がしの並木の間からは馬車のゆききなどが見えた。近いところを置いたやうな火光くわかうを見せたのは停車場ステイシヨンである。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
「今までにない尺二寸の大玉へ、色も、今までに誰も出したことのない、赤と紫の火光を仕込んで、三河の者を、驚かしてやるんだといって、それはもう、お気の毒なくらい懸命になっております」
銀河まつり (新字新仮名) / 吉川英治(著)
張り替えたばかりではあるが、朦朧もうろうたる行燈あんどう火光ひかげで、二女ふたりはじッと顔を見合わせた。小万がにッこりすると吉里もさもうれしそうに笑ッたが、またさも術なそうな色も見えた。
今戸心中 (新字新仮名) / 広津柳浪(著)
赤い火光ほめきが、彼の秀でた鼻のあたりをくつきりと隈どつた。火は投げ棄てられてからも、暫く蘗の中で燃えて、やがて尽きた。風がわたつて、五色山の底しれぬ松籟しょうらいが四囲を揺すつた。
垂水 (新字旧仮名) / 神西清(著)