火光ほかげ)” の例文
平常ふだんでさえにぎやかな人形町通りの年の市はことのほか景気だって、軒から軒にかけ渡した紅提燈べにぢょうちん火光ほかげはイルミネーションの明りと一緒に真昼のように街路まちの空を照らして
うつり香 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
火光ほかげがちらつくし焚火の煙もその方角へ靡いているので、一度に一人一人の見別けはつかないが、もじゃもじゃした帽子だの白い頬髯だの、青いシャツだの肩から膝へ掛けた襤褸ぼろだの
決闘 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)