“ほかげ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
灯影45.8%
火影43.1%
燈影7.3%
帆影1.5%
火光0.8%
火燈0.4%
火陰0.4%
灯蔭0.4%
灯陰0.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
ひとひととのあひだすこしでも隙間すきま出来できるとるとあるいてゐるものがすぐ其跡そのあと割込わりこんで河水かはみづながれと、それにうつ灯影ほかげながめるのである。
吾妻橋 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
すっかり目がさめて、じっと目を据えると、窓越しにすぐ前の壁の上に、燈火のついたどこかの窓の赤い火影ほかげがさしてるのを認めた。
こうして三人を乗せたところの、燈影ほかげの暗い屋形船が、一ツ目橋のほうへそれようとした時に、一つの意外な珍事が起こった。
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
河畔かはんの木陰にテントを張ってはるかに浜辺をみわたせば、水波びょうびょうとして天に接し、眼界の及ぶかぎり一片の帆影ほかげも見えぬ、遠い波は青螺せいらのごとくおだやかに
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
火光ほかげがちらつくし焚火の煙もその方角へ靡いているので、一度に一人一人の見別けはつかないが、もじゃもじゃした帽子だの白い頬髯だの、青いシャツだの肩から膝へ掛けた襤褸ぼろだの
決闘 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
ひじまくらに横に倒れて、天井に円く映る洋燈ランプ火燈ほかげを目守めながら、莞爾にっこ片頬かたほ微笑えみを含んだが、あいた口が結ばって前歯が姿を隠すに連れ、何処いずくからともなくまたうれいの色が顔にあらわれて参ッた。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
月光はおぼろげな火陰ほかげゆらめかした
太陽の子 (旧字旧仮名) / 福士幸次郎(著)
「ムー」と呻いて仆れるのを板戸をあけてポンと蹴込みそのまま廊下を灯蔭ほかげ灯蔭と表の方へ走って行く。……
大鵬のゆくえ (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
楽屋を抜け出した小次郎は、夜の西丸の大廊下を、なるだけ人に見付けられぬよう灯陰ほかげ灯陰と身を寄せて、素早く奥へ走って行った。
大鵬のゆくえ (新字新仮名) / 国枝史郎(著)