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火光
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あかり
ふりがな文庫
“
火光
(
あかり
)” の例文
眠つたのか、
小動
(
こゆるぎ
)
ぎもせぬ。右の頬片を板敷にベタリと附けて、其顏を爐に向けた。幽かな
火光
(
あかり
)
が怖しくもチラ/\とそれを照らした。
赤痢
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
此方では襖へピッタリ身を寄せて
透
(
すか
)
して見ますると、橋の傍に
点
(
つ
)
いて居ますランプ灯の
火光
(
あかり
)
ばかりで有りますけれども其の姿が見えます。
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
水声の方からぱっと
火光
(
あかり
)
がさす。よく見れば右側山の手に家がある。道の左側にも家がある。人の
話声
(
はなしごえ
)
がして止んだ。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
舷窓
(
げんそう
)
をば
火光
(
あかり
)
を漏らさじと閉ざしたれば、温気
内
(
うち
)
にこもりて、さらぬだに血気盛りの顔はいよいよ
紅
(
くれない
)
に照れり。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
女のいた二階——自分もそこに一カ月ばかり女と一つの部屋にいた——は戸が締って
火光
(
あかり
)
も
洩
(
も
)
れていない。
黒髪
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
▼ もっと見る
後殿
(
しんがり
)
になっていたM氏は、其辺で太さ湯呑大の蛇が途に
横
(
よこたわ
)
っていたのを
火光
(
あかり
)
に
透
(
す
)
かして見たそうだ。
武甲山に登る
(新字新仮名)
/
河井酔茗
(著)
予も何となく
後顧
(
うしろぐら
)
き心地して、人もや見んと
危
(
あやぶ
)
みつつ今一息と
踏張
(
ふんば
)
る機会に、提灯の火を
揺消
(
ゆりけ
)
したり。
黒白
(
こくびゃく
)
も分かぬ闇夜となりぬ。予は茫然として自失したりき。時に遠く一点の
火光
(
あかり
)
を認めつ。
黒壁
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
何んだか穴にでも入るやうな心地がした。地はしツとり濕ツて、井戸のあたりには灰色の氣がモヤ/\と蒸上ツてゐた。其の奥の方に障子に映した
火光
(
あかり
)
が狐色になツて見えた。荒涼の氣が襲ふ。
昔の女
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
寂しきは鍋にはみ出す
魚
(
さかな
)
の尾厨の
火光
(
あかり
)
白菊の花
雲母集
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
不取敢
(
とりあへず
)
その惢を捻上げると、パッと
火光
(
あかり
)
が發して、暗に慣れた眼の眩しさ。天井の低い薄汚ない室の中の
亂雜
(
だらしなさ
)
が一時に目に見える。
病院の窓
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
螢
(
ほたる
)
であった。田圃を上りきると、今度は南の空の
根方
(
ねかた
)
が赤く焼けて居る。東京程にもないが、此は横浜の
火光
(
あかり
)
であろう。村々は死んだ様に
真黒
(
まっくろ
)
に寝て居る。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
蹴込
(
けこ
)
みの方に向いてマッチをする、その
火光
(
あかり
)
で
車夫
(
くるまや
)
の顔を見ますと、あなた、父じゃございませんか
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
此の
間
(
ま
)
に包を抱えて土手へ
這上
(
はいあが
)
り、無茶苦茶に
何処
(
どこ
)
を
何
(
ど
)
う逃げたか覚え無しに、畑の中や
堤
(
どて
)
を越して無法に逃げて
行
(
ゆ
)
く、と一軒
茅葺
(
かやぶき
)
の家の中で
焚物
(
たきもの
)
をすると見え、
戸外
(
おもて
)
へ
火光
(
あかり
)
が
映
(
さ
)
すから
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
空は殆ど暮切っている。一道の
火光
(
あかり
)
はあきらかに三人を
導
(
みちび
)
いた。
武甲山に登る
(新字新仮名)
/
河井酔茗
(著)
青やかに
火光
(
あかり
)
吸ひ、じめじめと
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
燦爛
(
さんらん
)
たる
火光
(
あかり
)
、千万の物音を合せた様な轟々たる都の響。其火光がお定を溶かして了ひさうだ。其響がお定を押潰して了ひさうだ。
天鵞絨
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
夜、外の闇から
火光
(
あかり
)
を眼がけて猛烈にカナブンが飛んで来る。ばたンばたンと
障子
(
しょうじ
)
にぶつかる音が、
礫
(
つぶて
)
の様だ。
掴
(
つか
)
んでは入れ、掴んでは入れして、サイダァの
空瓶
(
あきびん
)
が忽一ぱいになった。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
馬車の窓に輝きし夕日は落ちて、氷川町の
邸
(
やしき
)
に着けば、
黄昏
(
たそがれ
)
ほのかに
栗
(
くり
)
の花の
香
(
か
)
を浮かべつ。門の
内外
(
うちそと
)
には荷車釣り台など見えて、
脇
(
わき
)
玄関にランプの
火光
(
あかり
)
さし、人の声す。物など運び入れしさまなり。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
覗いて見ますと、
行灯
(
あんどう
)
の
火光
(
あかり
)
がぼんやり点いて居ります。
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
重い/\不安と心痛が、
火光
(
あかり
)
を蔽ひ、門を鎖し、人の喉を締めて、村は
宛然
(
さながら
)
幾十年前に人間の住み棄てた、廢郷かの樣に
闃乎
(
ひつそり
)
としてゐる。
赤痢
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
重い重い不安と心痛が、
火光
(
あかり
)
を蔽ひ、
門
(
かど
)
を鎖し、人の喉を締めて、村は
宛然
(
さながら
)
幾十年前に人間の住み棄てた、
廃郷
(
すたれむら
)
かの様に
𨶑乎
(
ひつそり
)
としてゐる。
赤痢
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
「
呀
(
あ
)
ツ」と云ふ女の聲が聞えて、間もなく
火光
(
あかり
)
がパッと消えた。窓を開けようとして、
戸外
(
そと
)
の足音に驚いたものらしい。
病院の窓
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
直ぐ目の下の病院の窓が一つ、パッと
火光
(
あかり
)
が射して、白い
窓掛
(
カーテン
)
に女の影が映つた。其影が、右に動き、左に動き、手をあげたり、屈んだり、消えて又映る。
病院の窓
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
直ぐ目の下の病院の窓が一つ、パツと
火光
(
あかり
)
が射して、白い
窓掛
(
カーテン
)
に女の影が映つた。其影が、右に動き、左に動き、手をあげたり、屈んだり、消えて又映る。
病院の窓
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
火光
(
あかり
)
が
眩
(
まぶし
)
く洩れて、街路を横さまに白い線を引いてゐたが、蟲の音も憚からぬ醉うた
濁聲
(
だみごゑ
)
が、時々けたゝましい其店の嬶の笑聲を伴つて、喧嘩でもあるかの樣に一町先までも聞える。
天鵞絨
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
火光
(
あかり
)
が
眩
(
まばゆ
)
く洩れて、
街路
(
みち
)
を横さまに白い線を引いてゐたが、虫の音も憚からぬ酔うた
濁声
(
だみごゑ
)
が、時々けたゝましい其店の嬶の笑声を伴つて、喧嘩でもあるかの様に一町先までも聞える。
天鵞絨
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
其隣がお由と呼ばれた
寡婦
(
やもめ
)
の家、入口の戸は鎖されたが、店の
煤
(
すす
)
び果てた二枚の障子——その処々に、
朱筆
(
しゆふで
)
で直した痕の見える平仮名の清書が横に逆様に貼られた——に、
火光
(
あかり
)
が映つてゐる。
赤痢
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
この四つが、
目眩
(
めまぐ
)
ろしい
火光
(
あかり
)
と轟々たる物音に、遠くから包まれて、ハッと明るい。お定が一生の間、東京といふ言葉を聞く毎に、一人胸の中に思出す景色は、恐らく此四つに過ぎぬであらう。
天鵞絨
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
この四つが、
目眩
(
めまぐ
)
ろしき
火光
(
あかり
)
と轟々たる物音に、遠くから包まれて、ハツと明るい。お定が一生の間、東京といふ言葉を聞く毎に、一人胸の中に思出す景色は、恐らく此四つに過ぎぬであらう。
天鵞絨
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
十間も行くと、旅館の角に立止つて後を
振顧
(
ふりかへ
)
つたが、誰も出て見送つてる者がない。と渠は
徐々
(
そろそろ
)
歩き出しながら、袂を探つて何やら小さい紙包を取出して、旅館の窓から漏れる
火光
(
あかり
)
に
披
(
ひら
)
いて見たが
病院の窓
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
唯
懵乎
(
ぼんやり
)
として了つて、別に街々の賑ひを仔細に見るでもなかつた。燦爛たる
火光
(
あかり
)
、千萬の物音を合せた樣な轟々たる都の響、其火光がお定を溶かして了ひさうだ。其響がお定を押潰して了ひさうだ。
天鵞絨
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
少し行くと、右側のトある家の窓に
火光
(
あかり
)
がさして居る。渠は其
窓側
(
まどぎは
)
へ寄つて、コツコツと硝子を叩いた、白い
窓掛
(
カーテン
)
に手の影が映つて半分許り曳かれると、窓の下の
炬燵
(
こたつ
)
に三十五六の蒼白い女が居る。
病院の窓
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
幽
(
かす
)
かな
火光
(
あかり
)
が怖しくもチラチラとそれを照らした。
赤痢
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
家々の窓の
火光
(
あかり
)
だけが人懐かしく見えた。
札幌
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
“火光”の意味
《名詞》
燃焼する炎の光。
灯火による光。
(出典:Wiktionary)
火
常用漢字
小1
部首:⽕
4画
光
常用漢字
小2
部首:⼉
6画
“火光”で始まる語句
火光樹