庇陰かげ)” の例文
始めて知つた親の庇陰かげ、雨露にも打たれぬ内、親類へも行かうかと、いくたび思はぬではなけれど。
移民学園 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
へえゝ……成程なるほど……これは……あゝ(両手りやうてあはをがみ)有難ありがたぞんじます、南無薬師瑠璃光如来なむやくしるりくわうによらい、お庇陰かげちまして両眼りやうがんともあきらかになりまして、誠に有難ありがたぞんじます……成程なるほどこれは手でございますか。
心眼 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
お気遣ひは何よりお毒、当分お任せなされませ。深井様には、いろいろと、御恩に預かる私夫婦。役に立たずの老人が、未だに御用勤まりまするも、やはりお庇陰かげと申すもの。何御遠慮に及びましよ。
したゆく水 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)