“くもり”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
69.0%
11.9%
7.1%
陰翳4.8%
暗影2.4%
油曇2.4%
2.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
とろとろと、くもりもないのによどんでいて、夢を見ないかと勧めるようですわ。山の形もやわらかな天鵞絨びろうどの、ふっくりした括枕くくりまくらに似ています。
春昼後刻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
四壁沈々、澄みとほりたる星夜ほしよの空の如く、わが心一念のくもりけず、えに冴えたり。
予が見神の実験 (新字旧仮名) / 綱島梁川(著)
むなし圯橋いけうかせるところあり。又少く行烏川を渡る。川広一町余、あさし。砂石底を見るべし。時正に未後びご。西方の秩父山にはかにくもりて、暗雲蔽掩へいえんし疾電いるがごとし。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
蟇の如く胡坐をかいた男は、紙莨たばこの煙をゆるやかに吹いて、静かに海を眺めて居る。くぼんだ眼窩めつぼの底に陰翳くもりのない眼が光ツて、見るからに男らしい顔立かほだての、年齢としは二十六七でがなあらう。
漂泊 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
「うむ、おれは家内と二十七年も連れ添うたがな、彼女あれはまったく一点の暗影くもりもない女だったよ」
(新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
お父さんのお心には一点の暗影くもりもなかったのです……
(新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
「それでも得心せねばこの刀身かたな油曇くもりに聞いて見いと言うたれば、眼の玉をデングリ返して言い詰りおった処を、真正面から唐竹割りにタッタ一討ち……」
洗髪あらいがみ潰島田つぶししまだ、ばっさりしてややほつれたのに横櫛よこぐしで、金脚きんあし五分珠ごぶだまかんざしをわずかに見ゆるまで挿込んだ、目の涼しい、眉の間にくもりのない、年紀としはまだ若いのに、白粉気おしろいけなしの口紅ばかり
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)