“紙莨”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
たばこ75.0%
タバコ25.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
仕方がなしに美術会で名高い美術家の彫刻した銀製の紙莨たばこ入れを買つて御返礼に差上げた。
犬物語 (新字旧仮名) / 内田魯庵(著)
蟇の如く胡坐をかいた男は、紙莨たばこの煙をゆるやかに吹いて、靜かに海を眺めて居る。凹んだ眼窩の底に陰翳のない眼が光つて、見るからに男らしい顏立の、年齡は二十六七でがなあらう。
漂泊 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
『処でだ。』と肇さんは起き上ツて、右手を延して砂の上の紙莨タバコを取ツたが、直ぐまた投げる。
漂泊 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
胡坐の男は、砂の上に投げ出してある紙莨タバコを一本とツて、チヨと燐寸マツチを擦つたが、見えざる風の舌がペロリと舐めて、直ぐえた。復擦つたが復滅えた。三度目には十本許り一緒にして擦る。
漂泊 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)