紙莨タバコ)” の例文
『処でだ。』と肇さんは起き上ツて、右手を延して砂の上の紙莨タバコを取ツたが、直ぐまた投げる。
漂泊 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
胡坐の男は、砂の上に投げ出してある紙莨タバコを一本とツて、チヨと燐寸マツチを擦つたが、見えざる風の舌がペロリと舐めて、直ぐえた。復擦つたが復滅えた。三度目には十本許り一緒にして擦る。
漂泊 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)