ひと)” の例文
私は、もらうものさえ貰えばいんですからね。どうせ、このひととは気が合わないんだから、このひとはこのひとで、勝手なことを
遠藤(岩野)清子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
あんな者に係合かかりあつてゐた日には、末始終どんな事になるか知れやしない、それが私は苦労でね。内のひともあのくらゐ利巧で居ながらどうしたと云ふのでせう。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
何程いくら私ばかり焦心あせつて見たところで、肝心かんじんうちひとなんにも為ずに飲んだでは、やりきれる筈がごはせん。其を思ふと、私はもう働く気も何も無くなつてしまふ。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
「どうも私はこの間からをかしいわいと思つてゐたのですが、どうも様子がね、内のひとがあの別品さんに係合かかりあひを付けてゐやしないかと思ふの——どうもそれに違無いの!」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)