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硬
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かた
ふりがな文庫
“
硬
(
かた
)” の例文
元来
(
がんらい
)
このバナナが正しい形状を保っていたなら、こんな
食
(
く
)
える肉はできずに繊維質の
硬
(
かた
)
い
果皮
(
かひ
)
のみと種子とが発達するわけだけれど
植物知識
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
お島が
太
(
ふ
)
てたような顔をして、そこへ坐ったとき、父親が
硬
(
かた
)
い手に
煙管
(
きせる
)
を取あげながら訊ねた。お島は
曇
(
うる
)
んだ
目色
(
めつき
)
をして、黙っていた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
彼女は、私を洗面臺に引つぱつていつて、石鹸と水と
硬
(
かた
)
いタオルをとつて、無慈悲に、だけど幸ひにも簡單に、顏と手を
摩擦
(
まさつ
)
した。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
理髪師は身支度の指図にやって来て、クリストフの
硬
(
かた
)
い髪を縮らしてくれた。羊のような巻毛をこしらえないうちは彼を放さなかった。
ジャン・クリストフ:03 第一巻 曙
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
麥色の
薔薇
(
ばら
)
の花、
括
(
くくり
)
の弛んだ重い
小束
(
こたば
)
の麥色の
薔薇
(
ばら
)
の花、
柔
(
やはらか
)
くなりさうでもあり、
硬
(
かた
)
くもなりたさうである、
僞善
(
ぎぜん
)
の花よ、
無言
(
むごん
)
の花よ。
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
▼ もっと見る
皮
(
かは
)
硬
(
かた
)
うして
素人
(
しろうと
)
の手に刻まれねば、給仕を頼みて切りて貰ひ、片隅に
割拠
(
かつきよ
)
し、食ひつゝ四方を見るに、
丸髷
(
まるまげ
)
の夫人大口開いて焼鳥を召し
燕尾服着初めの記
(新字旧仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
「それだけ広島が遅れていたのは有難いと思わねばならぬではないか」と清二は眼をまじまじさせてなおも
硬
(
かた
)
い表情をしていた。
壊滅の序曲
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
それにまあ、なめくじばけもののような
柔
(
やわ
)
らかなおあしに、
硬
(
かた
)
いはがねのわらじをはいて、なにが御志願でいらしゃるのやら。
ペンネンネンネンネン・ネネムの伝記
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
ところが、いくら上手に剥がしてもやはり微かながら痕跡が残る。あんなツルツルの
硬
(
かた
)
い紙でも、どうしても多少の疵がつく。
鍵
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
余の病気はしだいに悪い方へ
傾
(
かたぶ
)
いて行った。その時、余は夜の十二時頃長距離電話をかけられて、
硬
(
かた
)
い胸を抑えながら受信器を耳に着けた。
思い出す事など
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
熊楠いう、これも羵羊や羔子同様多少
拠
(
よるところ
)
ある談で、わが邦に
鹿角芝
(
ろっかくし
)
などいう
硬
(
かた
)
い角状の菌あり、熱帯地には
夥
(
おびただ
)
しく産する。
十二支考:06 羊に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
その
頂上
(
てうじやう
)
には
古
(
ふる
)
い
昔
(
むかし
)
から、
大理石
(
だいりせき
)
のやうに
硬
(
かた
)
くて
真白
(
ましろ
)
な
雪
(
ゆき
)
が
凍
(
こほ
)
りついてゐて、
壁
(
かべ
)
のやうにそゝり
立
(
た
)
つ、そこまで、まだ
誰一人
(
だれひとり
)
攀
(
よ
)
ぢ
登
(
のぼ
)
つた
者
(
もの
)
がない。
火を喰つた鴉
(新字旧仮名)
/
逸見猶吉
(著)
硬
(
かた
)
くて円い帽子を取上げ、新しい帽子をためすときやるように、両手で念入りにかぶりながら、「君は万事をなんて単純に考えているんだろう!」
審判
(新字新仮名)
/
フランツ・カフカ
(著)
汝なほ
食卓
(
つくゑ
)
に向ひてしばらく坐すべし、汝のくらへる
硬
(
かた
)
き
食物
(
くひもの
)
はその
消化
(
こな
)
るゝ爲になほ助けを
要
(
もと
)
むればなり 三七—三九
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
と寛一君は又義理に
惹
(
ひ
)
かされた。伯父さんに睨まれると
硬
(
かた
)
くなる程度で伯母さんの前へ出ると軟かくなる。新太郎君に会えば
悉皆
(
すっかり
)
共鳴してしまう。
脱線息子
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
彼らは、その労働を終えた時、帰って行く、
空
(
から
)
荷車の上へよじ登るのが困難なくらいに、からだが
硬
(
かた
)
くなっているのだ。彼らの
一人
(
ひとり
)
は言っていた。
海に生くる人々
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
この以外にも
石芋
(
いしいも
)
脂桃
(
やにもも
)
不喰梨
(
くわずなし
)
の類、この梨は
硬
(
かた
)
くてとても喰われませぬと
欺
(
あざむ
)
いたら、それから後は喰うことの出来ぬ梨になったというような話は
年中行事覚書
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
某県より来る学生は、上京当時はすこぶる
硬
(
かた
)
い、なんとなれば某県にある時はいわゆるスパルタ式教育法を受け、猛獣的に強くなっているからである。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
灰色の
繻子
(
しゅす
)
に
酷似
(
こくじ
)
した腹、黒い
南京玉
(
ナンキンだま
)
を想わせる眼、それから
癩
(
らい
)
を病んだような、醜い
節々
(
ふしぶし
)
の
硬
(
かた
)
まった脚、——蜘蛛はほとんど「悪」それ自身のように
女
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
古代ロプ鹹湖の
涸底
(
こてい
)
は、峻しい粘土の丘がもつれるように起伏し、一面に塩が化石のように
硬
(
かた
)
く凍りついていた。
『西遊記』の夢
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
「やあ、お嬢さん、それはありがとう。で、そのネッソンという奴は、荒くれ男を使って、どんな悪いことをするのかね」白木の顔が、ちょっと
硬
(
かた
)
くなった。
暗号音盤事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
見
(
み
)
る
見
(
み
)
る
鬼
(
おに
)
が
島
(
しま
)
が
近
(
ちか
)
くなって、もう
硬
(
かた
)
い
岩
(
いわ
)
で
畳
(
たた
)
んだ
鬼
(
おに
)
のお
城
(
しろ
)
が
見
(
み
)
えました。いかめしいくろがねの
門
(
もん
)
の
前
(
まえ
)
に
見
(
み
)
はりをしている
鬼
(
おに
)
の
兵隊
(
へいたい
)
のすがたも
見
(
み
)
えました。
桃太郎
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
どこへ行っても
野薔薇
(
のばら
)
がまだ小さな
硬
(
かた
)
い白い
蕾
(
つぼみ
)
をつけています。それの咲くのが待ち遠しくてなりません。
美しい村
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
それを聴いて私は、あまりの腹立たしさに顔が
痙攣
(
けいれん
)
するかと思うほど
硬
(
かた
)
くなったのを、
強
(
し
)
いて笑いながら
狂乱
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
その台所にちかい炉のある部屋から隣りの
襖
(
ふすま
)
まで抜いて、十二、三名のひとが
硬
(
かた
)
くなってひかえていた。
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「いや、一
概
(
がい
)
には言へない。死んで少し時が經つと、死人の身體が
硬
(
かた
)
くなる、その時を待つて握らせられるが、その前、
斷末魔
(
だんまつま
)
の緊張でも、得物を握らせることが出來る」
銭形平次捕物控:304 嫁の死
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
おのれの
硬
(
かた
)
い心が他人を苦しめていることに気がつかぬのでしょう。私はなさけなくなります。
出家とその弟子
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
硬
(
かた
)
いような、柔らかいような、なんともいえない一種特別の物質である。私は子供のときから、猫の耳というと、一度「切符切り」でパチンとやってみたくて
堪
(
たま
)
らなかった。
愛撫
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
北斎は従来の浮世絵に
南画
(
なんが
)
の画風と西洋画とを加味したる処多かりしが、広重は
専
(
もっぱら
)
狩野
(
かのう
)
の支派たる一蝶の筆致に
倣
(
なら
)
ひたるが如し。北斎の画風は強く
硬
(
かた
)
く広重は
軟
(
やわら
)
かく
静
(
しずか
)
なり。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
手許
(
てもと
)
から
切先
(
きつさき
)
まで澄み切つた
硬
(
かた
)
い
鋼
(
はがね
)
の光は見るものを寒く
脅
(
おびや
)
かした。兄は眼をそばたてゝ、例へば死體にしろ、妻の肉に加ふべき刃を磨ぎすます彼れの心を
惡
(
にく
)
むやうに見えた。
実験室
(旧字旧仮名)
/
有島武郎
(著)
それはあの、結婚当初の盛子といふよりも、すでに十分成熟した、娘らしい
硬
(
かた
)
さのすつかりとれ切つた、
眩
(
まぶ
)
しさのない代りに何か直接的な女らしさといふやうなものであつた。
医師高間房一氏
(新字旧仮名)
/
田畑修一郎
(著)
それらの
土器
(
どき
)
の
燒
(
や
)
き
方
(
かた
)
は、
前
(
まへ
)
に
申
(
まを
)
した
彌生式土器
(
やよひしきどき
)
に
似
(
に
)
たところの
赭
(
あか
)
い
色
(
いろ
)
の
軟
(
やはら
)
かい
素燒
(
すや
)
きのものもありますが、たいていは
鼠色
(
ねずみいろ
)
をした、ごく
硬
(
かた
)
い
陶器
(
とうき
)
とでもいへる
燒
(
や
)
き
物
(
もの
)
であつて
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
既
(
すで
)
に他の波斯兵の掠奪にあった後であることは、一見して明らかである。古い
埃
(
ほこり
)
のにおいが冷たく鼻を
襲
(
おそ
)
う。
闇
(
やみ
)
の
奥
(
おく
)
から、大きな鷹頭神の立像が、
硬
(
かた
)
い表情でこちらを
覗
(
のぞ
)
いている。
木乃伊
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
硬
(
かた
)
くて歯が立たないならいいが、
搗
(
つ
)
きたての餅のように軟らか過ぎて歯が立たない。
大菩薩峠:40 山科の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
元子からいろいろの
硬
(
かた
)
さのものが造られるが、元子自身は完全に剛体であると考えなければならない。なんとならば、元子が柔らかいものであれば、これはその中に空虚を含んでいる。
ルクレチウスと科学
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
喞筒
(
ポンプ
)
の材料には初め
壁
(
へき
)
の厚いガラスを用い、活栓に
硬
(
かた
)
ゴムを使用致しました。これは血液の流れ工合を外部から観察するためでありましたが、後には、
喞筒
(
ポンプ
)
も活栓も共に鋼鉄に致しました。
人工心臓
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
これに反し全く不透明で罅が沢山入っているものがありましたら凡て陶器であります。また普通は磁器の方が焼く時の熱度が高いので、よく焼きしまり従って
硬
(
かた
)
くて丈夫なわけであります。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
いやに
硬
(
かた
)
くなって受け合った。と、その
背後
(
はいご
)
の物がニヤと笑ったようすで
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
行燈
(
あんどん
)
の
灯
(
ひ
)
が
長
(
なが
)
く
影
(
かげ
)
をひいた、その
鼠色
(
ねずみいろ
)
に
包
(
つつ
)
まれたまま、
石
(
いし
)
のように
硬
(
かた
)
くなったおこのの
髪
(
かみ
)
が二
筋
(
すじ
)
三
筋
(
すじ
)
、
夜風
(
よかぜ
)
に
怪
(
あや
)
しくふるえて、
心
(
こころ
)
もち
青
(
あお
)
みを
帯
(
お
)
びた
頬
(
ほほ
)
のあたりに、ほのかに
汗
(
あせ
)
がにじんでいた。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
結婚した当時、博士は笑談に、お前は
硝子出
(
がらすで
)
だから、扱ふに気骨が折れると云つた事があるさうだ。大抵日本の女で別品といふのは、青みがゝつた皮膚の皮下組織が、
稍
(
やゝ
)
厚くて
硬
(
かた
)
さうに見える。
魔睡
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
自然は私に教へた、わたしの心は青く
硬
(
かた
)
い
果
(
このみ
)
のやうであることを。
展望
(旧字旧仮名)
/
福士幸次郎
(著)
(三)ちっと
硬
(
かた
)
いものを切りたいのだが、よく切れるかイ。
三角と四角
(その他)
/
巌谷小波
(著)
と
本章
(
ほんしやう
)
に
書
(
か
)
いてある、
字
(
じ
)
は
硬
(
かた
)
いが、もの
柔
(
やはらか
)
にあはれである。
みつ柏
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
はちはちと蜜柑の
硬
(
かた
)
き葉を燃してゐろり大きなり蜜柑山の家
風隠集
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
モーセが離婚を許したのは、汝らの心が
硬
(
かた
)
いからだ。
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
河野の体はもう
硬
(
かた
)
くこわばっていた。
神仙河野久
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
硬
(
かた
)
い頷きかたで、それから云った
五瓣の椿
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
セルを着て白きエプロン
糊
(
のり
)
硬
(
かた
)
く
六百句
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
頸の動きがまるで
硬
(
かた
)
い。
妻の座
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
飽
(
あ
)
くまで
肉
(
しゝ
)
の
硬
(
かた
)
き
上
(
うへ
)
に
孔雀船
(旧字旧仮名)
/
伊良子清白
(著)
硬
常用漢字
中学
部首:⽯
12画
“硬”を含む語句
硬直
硬張
強硬
手硬
堅硬
生硬
硬過
硬化
硬骨
硬玉
硬相
鯱硬張
硬骨漢
硬苦
硬口蓋
硬筆
固硬
防空硬天井
透明硬膜
軽硬金属板
...