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式
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かた
ふりがな文庫
“
式
(
かた
)” の例文
お節句の
菖蒲
(
しょうぶ
)
を軒から引いた
翌
(
あ
)
くる日に江戸をたって、その晩は
式
(
かた
)
の通りに戸塚に泊って、次の日の夕方に小田原の
駅
(
しゅく
)
へはいりました。
半七捕物帳:14 山祝いの夜
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
誇るに西洋料理七皿をもってする、
式
(
かた
)
のごとき若様であるから、
冷評
(
ひやか
)
せば真に受ける、
打棄
(
うっちゃ
)
って置けば
悄
(
しょ
)
げる、はぐらかしても乗出す。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
葬列がすつかり
寺庭
(
じてい
)
に着くと、
式
(
かた
)
の如く
読経
(
どきやう
)
があつた。そして私は母と一緒に焼香した。それから長い長い
悼詞
(
たうじ
)
が幾人もの人によつて読まれた。
父の死
(新字旧仮名)
/
久米正雄
(著)
と
坐
(
ざ
)
を
与
(
あた
)
う。男は無言で坐り込み、
筒湯呑
(
つつゆのみ
)
に湯をついで
一杯
(
いっぱい
)
飲む。
夜食膳
(
やしょくぜん
)
と云いならわした
卑
(
いや
)
しい
式
(
かた
)
の膳が出て来る。
貧乏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
式
(
かた
)
の如く頭を垂れて
温和
(
おとな
)
しく祈祷に聞きとれてゐた憲法学者はひよいと
聴耳
(
ききみゝ
)
を立てた。
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
▼ もっと見る
医者も来、坊さんも来て、万事ちゃんと
式
(
かた
)
どおりにいっています。どうか、あの不幸のどん底に落ちた婦人を、あまりわずらわさないでください。それでなくても肺病なんですから。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
肩に手を掛けて押すように石段を
上
(
あが
)
って、書斎に引き返した甲野さんは、無言のまま、扉に似たる
仏蘭西窓
(
フランスまど
)
を左右からどたりと立て切った。
上下
(
うえした
)
の
栓釘
(
ボールト
)
を
式
(
かた
)
のごとく
鎖
(
さ
)
す。次に入口の戸に向う。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
物の
象
(
かたち
)
も筋めよく、ビザンチン
繪
(
ゑ
)
の
式
(
かた
)
の
如
(
ごと
)
。
海潮音
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
変死のうちでも、雷死は検視をしないことになっているので、お朝の死骸はあくる日のゆう方、
今戸
(
いまど
)
の
菩提寺
(
ぼだいじ
)
へ送られて
式
(
かた
)
のごとく葬られた。
半七捕物帳:34 雷獣と蛇
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
真黒
(
まっくろ
)
な溝の縁に、野を
焚
(
や
)
いた跡の湿ったかと見える
破風呂敷
(
やぶれぶろしき
)
を開いて、
式
(
かた
)
のごとき
小灯
(
こともし
)
が、夏になってもこればかりは虫も寄るまい、
明
(
あかり
)
の
果敢
(
はかな
)
さ。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
竿を手にして、一心に魚のシメ
込
(
こみ
)
を
候
(
うかが
)
った。魚は
式
(
かた
)
の如くにやがて
喰総
(
くいし
)
めた。こっちは合せた。むこうは抵抗した。竿は月の如くになった。
綸
(
いと
)
は
鉄線
(
はりがね
)
の如くになった。水面に
小波
(
さざなみ
)
は立った。
蘆声
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
明日は何もかも
式
(
かた
)
どおりにしたい、
前菜
(
ザクースカ
)
やいろんなものをそろえなくちゃ、などと子供みたいに気をもんでいるかと思うと……両手を折れるようにもんだり、血を吐いたり、泣いたりして
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
物の
象
(
かたち
)
も筋めよく、ビザンチン
絵
(
ゑ
)
の
式
(
かた
)
の
如
(
ごと
)
。
海潮音
(新字旧仮名)
/
上田敏
(著)
他事
(
ひとごと
)
ながらいたわしくて、記すのに筆がふるえる、
遥々
(
はるばる
)
と
故郷
(
おくに
)
から引取られて出て来なすっても、不心得な小説孫が、
式
(
かた
)
のごとき
体装
(
ていたらく
)
であるから
薄紅梅
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
それから
初七日
(
しょなぬか
)
の日に、親類一同が
式
(
かた
)
の如く寺参りに行くと、
祖父
(
おじい
)
さんの墓は散々に掘り返されて、まだ生々しい死骸が椿の樹の高い枝に懸けてあった。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
両三度、津山の笑いは、ここで笑うのにあらかじめ用意をしたらしいほど、
式
(
かた
)
のごとく、例の
口許
(
くちもと
)
をおさえて、
黙然
(
だんまり
)
を暗示しながら、目でおどけた。
白花の朝顔
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
式
(
かた
)
の通りに検視がすんで、死体はそれぞれに引き渡されたが、その下手人については二様の意見があらわれた。
半七捕物帳:38 人形使い
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
僕
(
ぼく
)
は
角力
(
すまふ
)
は
嫌
(
きら
)
ひだ、といふと、……
小
(
ちひ
)
さな
聲
(
こゑ
)
で、「
示威運動
(
じゐうんどう
)
だから、
式
(
かた
)
ばかりで
行
(
ゆ
)
くんだ。」よし
來
(
き
)
た、と
立
(
た
)
つと
火の用心の事
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
中島角右衛門という
名札
(
なふだ
)
をわたくしの前に出しましたから、こっちも
式
(
かた
)
のごとくに初対面の挨拶をしていますと、槇原の旦那は待ち兼ねたように云うんです。
半七捕物帳:11 朝顔屋敷
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
公園の
中
(
うち
)
にても、
眺望
(
ちょうぼう
)
の
勝景
(
しょうけい
)
第一と呼ばれたる処に候へば、
式
(
かた
)
の如き巨大なる怪獣の腹の下、
脚
(
あし
)
の
四
(
よ
)
ツある間を
透
(
すか
)
して、城の
櫓
(
やぐら
)
見え、森も見え、橋も見え
凱旋祭
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
勿論、
式
(
かた
)
の通りに届けて検視をうけたのですが、その下手人は誰だか判らない。場所が場所ですから、神明の八人斬というので、忽ち江戸中の大評判になりました。
三浦老人昔話
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
この度の釣狐も、首尾よく
化澄
(
ばけす
)
まし、師匠の外聞、女房の追善とも
思詰
(
おもいつ
)
めたに、
式
(
かた
)
のごとき恥辱を取る。
白金之絵図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
こんなことを云っている
中
(
うち
)
に、噂の
主
(
ぬし
)
は
帯剣
(
たいけん
)
を
戞
(
から
)
めかしながら入って来た。近所の人であるから、忠一とも
予
(
かね
)
て
相識
(
あいし
)
っているのである。双方の挨拶は
式
(
かた
)
の如くに終った。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
二丁目の我が借家の地主、
江戸児
(
えどつこ
)
にて露地を鎖さず、裏町の木戸には無用の者
入
(
い
)
るべからずと
式
(
かた
)
の如く記したれど、表門には扉さへなく、夜が更けても通行勝手なり。
草あやめ
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
町奉行所から当番の与力や同心が東山堂へ出張って、
式
(
かた
)
のごとくにおまんの死体を検視すると、かれは普通の食あたりでなく、たしかに毒薬を飲んだのであることが判った。
半七捕物帳:22 筆屋の娘
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
ただ
畔
(
あぜ
)
のような
街道
(
かいどう
)
端
(
ばた
)
まで、福井の車夫は、笠を手にして見送りつつ、われさえ指す
方
(
かた
)
を知らぬ
状
(
さま
)
ながら、
式
(
かた
)
ばかり日にやけた黒い手を挙げて、
白雲
(
しらくも
)
の
前途
(
ゆくて
)
を指した。
栃の実
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
閩中
(
みんちゅう
)
の或る人の娘はまだ嫁入りをしないうちに死んだ。それを葬ること
式
(
かた
)
のごとくであった。
中国怪奇小説集:17 閲微草堂筆記(清)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
……その
上
(
うへ
)
、
式
(
かた
)
の
如
(
ごと
)
く、だし
昆布
(
こんぶ
)
を
鍋
(
なべ
)
の
底
(
そこ
)
へ
敷
(
し
)
いたのでは、
火
(
ひ
)
を
強
(
つよ
)
くしても、
何
(
ど
)
うも
煮
(
に
)
えがおそい。
湯どうふ
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
その頃の旅籠屋には押入れなどを作っていないのが普通であったが、この座敷は特別の
造作
(
ぞうさく
)
とみえて、
式
(
かた
)
ばかりの床の間もあった。それに列んで一間の押入れも付いていた。
半七捕物帳:14 山祝いの夜
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
ある日、ひとりの見識らぬ客が阮をたずねて来て、
式
(
かた
)
のごとく時候の挨拶が終った後に、話は鬼の問題に移ると、その客も大いに才弁のある人物で、この世に鬼ありと言う。
中国怪奇小説集:03 捜神記(六朝)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
お
銚子
(
てうし
)
は
入
(
いり
)
が
惡
(
わる
)
くつて、しかも
高値
(
たか
)
いと
言
(
い
)
ふので、
式
(
かた
)
だけ
誂
(
あつら
)
へたほかには、
町
(
まち
)
の
酒屋
(
さかや
)
から
春着
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
また
一片
(
ひとひら
)
、……ここへ
絣
(
かすり
)
の羽織、
縞
(
しま
)
の着物、膨らんだ
襯衣
(
しゃつ
)
、
式
(
かた
)
のごとく、
中折
(
なかおれ
)
を
阿弥陀
(
あみだ
)
に
被
(
かぶ
)
って、靴を
穿
(
は
)
いた、肩に画板をかけたのは、いうまでもない、到る処、足の
留
(
とど
)
まる処
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
云いながらよく視ると、柳橋の若い芸妓は島田を
式
(
かた
)
のごとく美しく結いあげていたが、顔には白粉のあともなかった。自体がすこし腫れ
眼縁
(
まぶち
)
のまぶたをいよいよ泣き腫らしていた。
半七捕物帳:19 お照の父
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
極めて
生真面目
(
きまじめ
)
にして、人のその笑えるをだに見しものもあらざれども、
式
(
かた
)
のごとき白痴者なれば、
侮慢
(
ぶまん
)
は常に
嘲笑
(
ちょうしょう
)
となる、世に最も
賤
(
いやし
)
まるる者は時としては
滑稽
(
こっけい
)
の材となりて
化銀杏
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
帰るときに会葬者は
式
(
かた
)
の通りの塩釜をめいめいに貰ったが、持って帰るのも邪魔になるので、半七はその菓子を山城屋の小僧にやった。そうして、そばにいた利兵衛にささやいた。
半七捕物帳:13 弁天娘
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
茶店の婆さんというのが、
式
(
かた
)
のごとく古ぼけて、ごほん、と
咳
(
せ
)
くのが聞えるから、夫人は余り気が進まぬらしかったが、二三人
子守女
(
もりっこ
)
に、きょろきょろ見られながら、ずッと入る。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
夜のあける頃には
町与力
(
まちよりき
)
も出張した。品川は代官の支配であったが、事件が事件だけに、町方も立ち会って
式
(
かた
)
のごとくに検視を行なうと、お駒はやはり絞め殺されたものに相違なかった。
半七捕物帳:31 張子の虎
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
威張
(
いば
)
る事にかけては、これが本場の
支那
(
しな
)
の官人である。従者が
式
(
かた
)
の如く
叱
(
しか
)
り
退
(
の
)
けた。
雨ばけ
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
大次郎という人はその足で吉原へ飛んで行って、諸越花魁に逢って、
式
(
かた
)
のごとくに雷見舞の口上をのべて帰りました。帰っただけならばいゝのですが、屋敷へ帰ってから切腹したそうです。
三浦老人昔話
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
大したゆきさつじゃございやせんがね、根がそれ、昔の懐しさに、雲助の
式
(
かた
)
をやッつけた処でござりやすで、いきなり、
曲者
(
くせもの
)
とか、何とかいって、旦那がギックリとおいでなさりゃ。
わか紫
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
式
(
かた
)
のごとくに
猪口
(
ちょこ
)
の遣り取りをしているうちに、雨はますます強くなった。
半七捕物帳:63 川越次郎兵衛
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
ちょうど尾花の
背景
(
うしろ
)
もある、
牛頭馬頭
(
ごずめず
)
で
眼張
(
がんば
)
りながら、昔の
式
(
かた
)
を遣ってみべいと
わか紫
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
式
(
かた
)
のごとくに女衒の判代や
身付
(
みづき
)
の代を差引かれましたが、残った金を医者のところへ持って行って、宜しくおねがい申しますと云うと、桂斎先生は心得て、そのうちから八両とかを受取って
三浦老人昔話
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
吐
(
つ
)
く息あたかも
虹
(
にじ
)
のごとしで、かッと鼬に吹掛ける。これとても、
蚊
(
か
)
や
蜉蝣
(
ぶゆ
)
を吸うような事ではござらん、
式
(
かた
)
のごとき大物をせしめるで、
垂々
(
たらたら
)
と汗を流す。濡色が
蒼黄色
(
あおぎいろ
)
に夕日に光る。
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
町
(
ちょう
)
役人から
式
(
かた
)
の通りに変死の届けを出して、与力同心も検視に出張した。
半七捕物帳:19 お照の父
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
渠
(
かれ
)
は手も足も肉落ちて、
赭黒
(
あかぐろ
)
き皮のみぞ
骸骨
(
がいこつ
)
を
裹
(
つつ
)
みたる。
躯
(
たけ
)
低く、
頭
(
かしら
)
禿
(
は
)
げて、
式
(
かた
)
ばかりの
髷
(
まげ
)
に
結
(
ゆ
)
いたる
十筋右衛門
(
とすじえもん
)
は、
略画
(
りゃくが
)
の
鴉
(
からす
)
の
翻
(
ひるがえ
)
るに似たり。
眉
(
まゆ
)
も口も鼻も取立てて
謂
(
い
)
うべき
所
(
ところ
)
あらず。
取舵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
どこで借りて来たのか、小綺麗な
枕屏風
(
まくらびょうぶ
)
が北に立てまわされて、そこには徳次郎の死骸が横たえてあった。半七は
式
(
かた
)
の通りに線香をささげ、香奠を供えて、それから死骸の枕もとへ這いよった。
半七捕物帳:13 弁天娘
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
往来
(
ゆきき
)
の脚も、この前あたりがちょうど切目で、後へ一町、前へ三町、そこにもかしこにも両側の商家軒を並べ、半襟と
前垂
(
まえだれ
)
の美しい、
姐
(
ねえ
)
さんが
袂
(
たもと
)
を連ねて、
式
(
かた
)
のごとく、お茶あがりまし
伊勢之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
いつもの座敷へ通されて、年頭の挨拶が
式
(
かた
)
のごとくに済むと、おなじみの
老婢
(
ばあや
)
が屠蘇の膳を運び出して来た。わたしがここの家で屠蘇を祝うのは、このときが二度目であったように記憶している。
半七捕物帳:17 三河万歳
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
買いに
遣
(
や
)
ろうかとも思ったが、
式
(
かた
)
のごとき大まかさの、のんびりさの旅館であるから、北国一の電話で、呼寄せていいつけて、買いに遣って取寄せる
隙
(
ひま
)
に、自分で買って来る方が
手取早
(
てっとりばや
)
い。
みさごの鮨
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
“式”の意味
《名詞》
(シキ)儀式。
(シキ)数式。
(出典:Wiktionary)
式
常用漢字
小3
部首:⼷
6画
“式”を含む語句
葬式
形式
様式
樣式
形式主義
会式
和泉式部
正式
御会式
塩梅式
其式
略式
諸式
洋式
祈祷式
式代
定式
聖餐式
式三献
御葬式
...