かた)” の例文
やがて慇懃いんぎんに札を施し「旦那だんな、失礼なこと伺ふ様ですが、失つ張り此の山のかたあらつしやりますか」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
そこで単に気持のいい婦人は、それが決してまだら模様でないことを力説してから、「ときに、お生憎と今どき、あなたのように、そんな襞飾ぎゃだなんかつけてるかたはありませんのよ。」
わっちが好いたかたの手を引いて連れてくのが真にいゝひとざますよ。
何でも長左衛門様の讐討かたきうたんぢやならねエと言ふんで、伯母御様の所から逃げ出しなすつて、外国迄も行つて修業なすつて、えらかたにならしやつたと云ふことは薄々聞いてをりましたが
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
「いや/\、左様さうい、何でもえれかたに成らしやつたと云ふ沙汰さたで御座りまする」と、老人は首打ち振り「が、先旦那様せんだんなさまも偉い方で御座りましたよ、二十年前に心配しなすつた通りに、 ...
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)