抵當かた)” の例文
新字:抵当
下男の權次も親の借金の抵當かたにコキ使はれてゐるが、あれは新宿では評判の孝行者で、宮相撲の三役まで取つた人氣男ださうです。
小作米の代りに勞働を提供したり、借金の抵當かたに、一生奉公の約束で、子供を提供する例も、決して少なくはなかつたわけです。
えツ、默らないか、武士に向つて誘拐かどはかしとは何だ。——借金の抵當かたに、今晩は拙者が直々に伴れ歸り、内祝言ないしうげんを濟ませて、宿の妻にするのに何の不思議だ。
俺は違ふ、お園は高利の金の抵當かたに、無理に人身御供に上つた氣の毒な娘だ。丹右衞門はお園に取つてはお主でも夫でもなく、言はば敵みたいなものだよ。
貸して、その抵當かたに娘を卷きあげ、膽のつぶれるやうな高い利息をつけて、拂へないやうに仕向けた上、到頭お關を手籠同樣に妾にしてしまつたのださうです
常雇じやうやとひの作男で、納屋に寢泊りして働いてゐるが、何んでも少しばかりの借金の抵當かたに祖先傳來の田地を寅旦那に捲上まきあげられ、娘のお美代を賣つても追つ付かないから
「默れツ、借金の抵當かたに取つて行くのだ——其方は何者だツ、餘計な口を出すと、爲にならんぞツ」
娘のお由利はあの通り可愛らしいから、貸した金の抵當かたに引取つてコキ使つてゐるが、主人の善兵衞も、番頭の勘三郎も、孫見たいなのを追ひ廻して、間がなすきがな爪を
「默れツ、——物は物、人間は人間だ。昔から人間を抵當かたに入れるのは御禁制と知らぬか」