かた)” の例文
能く一行を輔助ほじよせしことをしやし、年々新発見にかかる文珠菩薩もんじゆぼさつの祭日には相会してきうかたらんことをやくし、たもとわかつこととはなりぬ。
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
南洲等つとめて之を拒ぎ、事終にむ。南洲人にかたつて曰ふ、七卿中他日關白くわんぱくに任ぜらるゝ者は、必三條公ならんと、果して然りき。
そのばん太郎たろう母親ははおやかって、二日ふつかおな時刻じこくに、きんをまわしてはしっている少年しょうねんのことをかたりました。母親ははおやしんじませんでした。
金の輪 (新字新仮名) / 小川未明(著)
あまつさえT市の鍵が吾輩のところにあるのを知ると、仮面の悪人どもをかたらいあらゆる悪辣なる手段を弄してその奪還を図ったのだ。
深夜の市長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
大地震だいぢしんのときは大地だいちけてはつぼみ、ひらいてはぢるものだとは、むかしからかたつたへられてもつと恐怖きようふされてゐるひとつの假想現象かそうげんしようである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
かれこれとかたっているうちにも、おたがいこころ次第しだい次第しだいって、さながらあの思出おもいでおお三浦みうらやかたで、主人あるじび、つまばれて
いかに頑愚ぐわんぐの手にありしとはいひながら、稀世きせいの宝玉鄙人ひじん一槌いつつゐをうけてほろびたるは、玉も人もともに不幸といふべしとかたられき。
周旋しうせんすべし依て千兩は千石の御墨附おすみつきと御引替にくだおかるべしとかたらうに兩人とも昨日の動靜やうす安堵あんどしければこの事を所々へ取持たれば其を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
しかもその苛責かしやくわかつて、ともくるしんでれるものは世界中せかいぢゆう一人ひとりもなかつた。御米およねをつとにさへこのくるしみをかたらなかつたのである。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
うはさがきか、あるひ事實じじつきか——それはとにかくがさしたのだと彼女かのぢよはあとでぢつゝかたつた——もなく彼女かのぢよ二人ふたり子供こどもとも
(旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
でもしめやかにかたうた兩性りやうせい邂逅であへば彼等かれらは一さいわすれて、それでも有繋さすが人目ひとめをのみはいとうて小徑こみちから一あひだける。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
いや私が書生仲間しょせいなかまには随分ずいぶんかようなる事に常々つねづね注意ちゅういし、当時の秘密ひみつさぐり出し、互にかたり合いたることあり、なおれたる事柄ことがらも多かるべし
米子の滝のしょうかたりて、ここへ来しみちなる須坂より遠からずとおしえらる。滝の話は、かねても聞きしことなれど、往てんとおもう心切なり。
みちの記 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
仔細しさいかたらずたゞ思入おもひいつてふたが、じつ以前いぜんから様子やうすでもれる、金釵玉簪きんさぎよくさんをかざし、蝶衣てふいまとふて、珠履しゆり穿うがたば
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「ああありがたい。いっそもっとおそばによって、よくお顔を拝んどきゃよかったよ。ねえ、お爺さん、この話は孫子の代までかたぐさだねえ」
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
此後こののち杉村氏すぎむらしは、東京朝日とうきやうあさひ世界せかいしう會員くわいゐんともに、米國べいこくわたり、ボストンにてはからずモールス面會めんくわいし、余等よらとも大森貝塚發掘おほもりかひづかはつくつことかた
ローマ時代じだい文化ぶんかかた古美術品こびじゆつひんはもとより支那しな日本につぽんのような東洋とうようのものを多數たすう、しかもすぐれたものをあつめてあります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
かぬ小供こどもすくないとして其中そのうちにも自分じぶん小供こどもときなによりもきであつた。(と岡本某をかもとぼうかたりだした)。
画の悲み (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
滝田くんについてはこのほかかたりたいこともないわけではない。しかし匆卒そうそつあいだにもかたることの出来るのはこれだけである。
滝田哲太郎君 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
またこれから日本につぽんまで夫人等ふじんら航海かうかいともにするやうになつた不思議ふしぎゆかり言葉ことばみじかかたると、夫人ふじんは『おや。』とつたまゝいとなつかしすゝる。
景公けいこう穰苴じやうしよしてとも兵事へいじかたり、おほいこれよろこび、もつ將軍しやうぐんし、へいひきゐてえんしんふせがしむ。穰苴じやうしよいは
おもへば四年よとせの昔なりけり、南翠氏なんすゐしとも学海先生がくかいせんせい別荘べつさうをおとづれ、朝よりゆふまでなにくれとかたらひたることありけり、其時そのとき先生せんせいしめさる。
隅田の春 (新字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
なん面白おもしろ人間にんげんだらう。』と、院長ゐんちやう自分じぶんへやはうかへりながらおもふた。『こゝてから何年振なんねんぶりかで、恁云かういともかたられる人間にんげんはじめて出會でつくわした。 ...
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
「それがしをお信じあって、秘事をもおかたらい下さる以上、それがしとても誓って秘密を守りましょう。何なりと、御隔意ごかくいなく、おはなし願いたい」
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この匡衡まさひら漢文かんぶんや、ほう至極しごく名人めいじんであつたが、そのうへうたもこのとほり、うまくんだとかたつたへたそうです。
また同じ語部のかたごとの中に、久延毘古くえびこが少彦名命の事を知っているとの事を、述べたという多邇具久たにぐくも、従来谷蟆すなわち蟾蜍と解せられているが
その後カションはいかなる病気びょうきかかりけん、盲目もうもくとなりたりしを見てこれ等の内情を知れる人々は、因果いんが覿面てきめん気味きみなりとひそかかたり合いしという。
ひらけたる所は月光げつくわうみづの如く流れ、樹下じゆか月光げつくわうあをき雨の如くに漏りぬ。へして、木蔭をぐるに、灯火ともしびのかげれて、人の夜涼やれうかたるあり。
良夜 (新字旧仮名) / 徳冨蘆花(著)
たゞこの成長おほきうならんことをのみかたりて、れい洋服ようふくすがた美事みごとならぬつとめに、手辨當てべんたうさげて昨日きのふ今日けふいでぬ。
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
主人は花前が近来きんらい変化へんかのありのままをかたったのち、今後こんごあるいは意外いがい回復かいふくをみるかもしれぬと注意した。
(新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
そしてそれからはおにが出て人をさらう心配しんぱいがなくなりましたから、京都きょうとの人たちはたいそうよろこんで、いつまでも頼光らいこうや四天王てんのうたちの手柄てがらかたつたえました。
大江山 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
そこでは、あらゆることが可能かのうである。人は一瞬いっしゅんにして氷雲ひょううんの上に飛躍ひやく大循環だいじゅんかんの風をしたがえて北にたびすることもあれば、赤い花杯はなさかずきの下を行くありかたることもできる。
そうでなかったら、音楽おんがくというのはなんだ? 神様に対する不信ふしんだ、神様をけがすことだ、正直しょうじき真実しんじつなことをかたるために、われわれに美しい歌を下さった神様をね。
ジャン・クリストフ (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
それでむかしひとも、このたゞ敍景じよけいうたぎない、二種にしゆうたたいし、かういふつたへをかたつてゐました。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
「わしの家には、むかしからかたりつたえられている古い話がある。その話で、これからさき、エステルイエートランドにどんな事がおこるか、ちゃんとわかるのさ。」
そのてんでとりわけ物事ものごと縁起えんぎかつ支那人しなじん如何いか苦心くしん焦慮せうりよするかはいろいろかたられてゐることだが、まつたほかのことでは如何いかなるかつでもないぼく麻雀マージヤンとなると
麻雀を語る (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
財政の内容を持ち出して、母親がくどくどとなおかたった。清三は母親に同情せざるを得なかった。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
丈夫ますらををしつべしのちひとかたぐがね 〔巻十九・四一六五〕 大伴家持
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
おりにかないてかたことばぎん彫刻物ほりものきん林檎りんごめたるがごとし、という聖書の箴言しんげんを思い出し、こんな優しいお母さまを持っている自分の幸福を、つくづく神さまに感謝した。
斜陽 (新字新仮名) / 太宰治(著)
領主 物悲ものがなしげなるしづけさをばこの朝景色あさげしきもたらする。かなしみてか、おもてせぬわ。いざ、とも彼方かなたて、きぬ愁歎なげきかたはん。ゆるすべきものもあれば、ばっすべきものもある。
頭の所爲せい天氣てんき加減かげんか、何時もは随分ずゐぶんよくかたる二人も、今日けふは些ツともはなしはづまぬ。
虚弱 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
道子みちこはゝのみならずちゝはかも——戦災せんさい生死不明せいしふめいになつため、いまだにてずにあることかたり、はゝ戒名かいみやうともならべていしつてもらふやうにたのみ、百円札ひやくゑんさつ二三まいかみつゝんでした。
吾妻橋 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
これにはクックしや桑港支社長さうかうししやちやうストークスくんやら、朝日新聞社あさひしんぶんしや桑港特派員さうかうとくはゐん清瀬規矩雄君きよせきくをくんなどが便乗びんじようしてたので、陸上りくじやう模様もやう明日あす見物けんぶつ次第しだいなどをかたつて、大方だいぶにぎやかになつてた。
検疫と荷物検査 (新字旧仮名) / 杉村楚人冠(著)
くて支那しなにはむかしから化物思想ばけものしさう非常ひぜう發達はつたつなかにはきはめて雄大ゆうだいなものがある。もつと儒教じゆけうはうでは孔子こうし怪力亂神くわいりきらんしんかたらず、鬼神妖怪きじんえうくわいかないが道教だうけうはうではさかんこれ唱道しやうだうするのである。
妖怪研究 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
芳町よしちょう蔵前くらまえわかわかれにむようになったばかりに、いつかってかたもなく二ねんは三ねんねんは五ねんと、はやくも月日つきひながながれて、辻番付つじばんづけ組合くみあわせに、振袖姿ふりそですがた生々いきいきしさはるにしても
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
作者さくしやなんゆえにラスコーリニコフが氣鬱病きうつびやうかゝりたるやをかたらず開卷かいかん第一にその下宿住居げしゆくじゆうきよ點出てんしつせり、これらをも原因げんいんある病氣びやうきいひしりぞけたらんには、このしよ妙所みやうしよついにいづれにかそんせんや。
「罪と罰」の殺人罪 (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
……幽暗ほのくら路次ろじ黄昏たそがれいろは、いま其処そことほごとに、我等われら最初さいしよ握手あくしゆの、如何いか幸福かうふくなりしかをかた申候まをしそろ貴女きぢよわすたまはざるべし、其時そのとき我等われら秘密ひみつてらせるたゞ一つの軒燈けんとうひかりを……
背負揚 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
おそらく江戸五郎一座の浄瑠璃じょうるりかたりか、下座でも勤めている芸人だろう。
右門捕物帖:23 幽霊水 (新字新仮名) / 佐々木味津三(著)
わたし日本にほん今日こんにち經濟界けいざいかい金解禁きんかいきん出來できたからとつて、たなごゝろかへごと景氣けいきやうとはかんがへぬ。しかしながらいませつわたしこゝ説明せつめいして半面はんめん事實じじつかたるものとからうとおもふのである。
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
嘘つきのたくみの友とさ夜ふけにかたりあひけりうそとしりつつ
小熊秀雄全集-01:短歌集 (新字旧仮名) / 小熊秀雄(著)