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傾
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かた
ふりがな文庫
“
傾
(
かた
)” の例文
しかし日暮しの時には、先生は少し首を
傾
(
かた
)
むけて、いや
彼
(
あれ
)
は以太利じゃない、どうも以太利では聞いた事がないように思うと云われた。
ケーベル先生
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
得ず然らば途中の御用心こそ
專要
(
せんえう
)
なれど心付るを平兵衞は
承知
(
しようち
)
せりと
暇
(
いとま
)
を
告
(
つげ
)
て立出れば早日は山の
端
(
は
)
に
傾
(
かた
)
ぶき
稍
(
やゝ
)
暮
(
くれ
)
なんとするに道を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
兒玉
(
こだま
)
の
言々句々
(
げん/\くゝ
)
、
肺腑
(
はいふ
)
より
出
(
い
)
で、
其顏
(
そのかほ
)
には
熱誠
(
ねつせい
)
の
色
(
いろ
)
動
(
うご
)
いて
居
(
ゐ
)
るのを
見
(
み
)
て、
人々
(
ひと/″\
)
は
流石
(
さすが
)
に
耳
(
みゝ
)
を
傾
(
かた
)
むけて
謹聽
(
きんちやう
)
するやうになつた。
日の出
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
ちよつと横に
傾
(
かた
)
げてゐる所が好いです。好い女です。おとつひもアンドレイ・オシピツチユがあの女の噂をしましたよ。
鱷
(新字旧仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
絃
(
いと
)
を調べ、
音
(
ね
)
を問いながら、小首を
傾
(
かた
)
げて、細い眼すじをなお細くしていたが、やがて一
弾
(
だん
)
二弾、序ノ
撥
(
ばち
)
かろく。
私本太平記:02 婆娑羅帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
「そんなに積まれん、網取るのに三人一所に集まると船が
傾
(
かた
)
がつて危ない。」と磯二は相手にならなかつた。
厄年
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
「う、うふふ、うふふ、」と
傾
(
かた
)
がって、戸を
揺
(
ゆす
)
って笑うと、バチャリと柄杓を水に投げて、赤目の
嫗
(
おうな
)
は
悪獣篇
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
路のほとりに軒の
傾
(
かた
)
むいた小さな百姓家があって、壁には
鋤
(
すき
)
や
犁
(
くわ
)
や古い
蓑
(
みの
)
などがかけてある。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
祖母の声掛りだから、母も不承々々
起
(
た
)
って、
雨降
(
あめふり
)
でも私の口のお使に番傘
傾
(
かた
)
げて出懸けようとする。斯うなると、
流石
(
さすが
)
の父も最う笑ってばかりは居られなくなって、小言をいう。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
「そんなはずはねえがな」と若衆は小首を
傾
(
かた
)
げたが、思い出したように盤台をゴシゴシ。
深川女房
(新字新仮名)
/
小栗風葉
(著)
大きな穀物問屋の白壁に「売家」の
貼紙
(
はりがみ
)
が雨風に
曝
(
さら
)
されて黄色くなっていたり、鷲尾がまだ土地にいた頃は
旺
(
さか
)
んだった時計屋の看板が、
傾
(
かた
)
むいて軒と一緒に倒れかかっていたりした。
冬枯れ
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
こう言って竹の笠を
傾
(
かた
)
げて、金助の
面
(
かお
)
をジロリと見上げたのは、珍らしや宇治山田の米友でありました。しかしながら、金助は酔っていたせいかどうか、米友たることを知りません。
大菩薩峠:18 安房の国の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
彼
(
か
)
の
破
(
やぶ
)
れて、
毎日
(
まいにち
)
打
(
う
)
ちつける
疾風
(
しつぷう
)
の
爲
(
た
)
めに
傾
(
かた
)
むけられた
笹
(
さゝ
)
の
垣根
(
かきね
)
には、
狹
(
せま
)
い
往來
(
わうらい
)
を
越
(
こ
)
えて
櫟
(
くぬぎ
)
の
落葉
(
おちば
)
が
熊手
(
くまで
)
で
掻
(
か
)
いたやうに
聚
(
あつま
)
つて
且
(
か
)
つ
連
(
つらな
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
凡
(
およ
)
そ
櫟
(
くぬぎ
)
の
木
(
き
)
程
(
ほど
)
頑健
(
ぐわんけん
)
な
木
(
き
)
は
他
(
た
)
に
有
(
あ
)
るまい。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
お
前
(
めえ
)
実に感心な人だ、泥坊に意見をするのを
私
(
わし
)
傍で聞いて居やしたが、お
前
(
めえ
)
が此の泥坊の馬鹿野郎と云うから、手向いでもするかと
心配
(
しんぺい
)
していると、泥坊が
首
(
くびい
)
傾
(
かた
)
げて、変な事をいう奴だアと云って
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
赤き
硝子
(
がらす
)
のいんき
罎
(
びん
)
傾
(
かた
)
むけそそぐ
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
傾
(
かた
)
むいて矢のごとく下る船は、どどどと
刻
(
きざ
)
み足に、船底に据えた尻に響く。
壊
(
こ
)
われるなと気がついた時は、もう走る瀬を抜けだしていた。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
怖い物から逃げるように、万吉は、道中笠を西日へ
傾
(
かた
)
げて、
禅定寺峠
(
ぜんじょうじとうげ
)
から江戸へ心を急がせて行った——。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
背後
(
うしろ
)
に残って、砂地に独り峡の婆、
件
(
くだん
)
の手を腰に
極
(
き
)
めて、
傾
(
かた
)
がりながら、片手を前へ、斜めに
一煽
(
ひとあお
)
り、ハタと煽ると、雨戸はおのずからキリキリと動いて
閉
(
しま
)
った。
悪獣篇
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
傾
(
かた
)
ぶけ居らるゝ
折柄
(
をりから
)
猶
(
なほ
)
も吉兵衞は
聲
(
こゑ
)
震
(
ふる
)
はし只今も申上奉つりし通り二男千太郎儀は全く
持病
(
ぢびやう
)
の
癲癇
(
てんかん
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
与八は馬の背中を見上げて、首を
傾
(
かた
)
げることしばし
大菩薩峠:01 甲源一刀流の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
と云われ、源次郎は
暫
(
しば
)
し小首を
傾
(
かた
)
げて居りましたが
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
漲
(
みなぎ
)
るや、
洪
(
おほ
)
き水、
天
(
あめ
)
傾
(
かた
)
ぶけぬ。
新頌
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
少
(
すこ
)
し
傾
(
かた
)
むきかけた
初秋
(
はつあき
)
の
日
(
ひ
)
が、じり/\
二人
(
ふたり
)
を
照
(
て
)
り
付
(
つ
)
けたのを
記憶
(
きおく
)
してゐた。
御米
(
およね
)
は
傘
(
かさ
)
を
差
(
さ
)
した
儘
(
まゝ
)
、それ
程
(
ほど
)
涼
(
すゞ
)
しくもない
柳
(
やなぎ
)
の
下
(
した
)
に
寄
(
よ
)
つた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
そして、二挺の山駕も、邪魔にならない所へ片づけさせた後に、天堂一角は陽よけの笠を
傾
(
かた
)
げ、弥助と啓之助は、道ばたの岩に腰を下ろして、何気ない風にたばこをくゆらしている……。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
若い武士は歩みをとどめて笠を
傾
(
かた
)
げてこちらを見る。
大菩薩峠:06 間の山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
漲
(
みなぎ
)
るや、
洪
(
おほ
)
き水、
天
(
あめ
)
傾
(
かた
)
ぶけぬ。
新頌
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
日
(
ひ
)
は
懊惱
(
あうなう
)
と
困憊
(
こんぱい
)
の
裡
(
うち
)
に
傾
(
かた
)
むいた。
障子
(
しやうじ
)
に
映
(
うつ
)
る
時
(
とき
)
の
影
(
かげ
)
が
次第
(
しだい
)
に
遠
(
とほ
)
くへ
立
(
た
)
ち
退
(
の
)
くにつれて、
寺
(
てら
)
の
空氣
(
くうき
)
が
床
(
ゆか
)
の
下
(
した
)
から
冷
(
ひ
)
え
出
(
だ
)
した。
風
(
かぜ
)
は
朝
(
あさ
)
から
枝
(
えだ
)
を
吹
(
ふ
)
かなかつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
「でもおかしいわ」と首を
傾
(
かた
)
げて愛らしく笑っている。要領を得ぬ甲野さんも何となく笑いたくなる。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
眼に
入
(
い
)
る低い軒、近頃
砂利
(
じゃり
)
を敷いたらしい狭い道路、貧しい電灯の影、
傾
(
かた
)
むきかかった
藁屋根
(
わらやね
)
、黄色い
幌
(
ほろ
)
を
下
(
おろ
)
した
一頭立
(
いっとうだて
)
の馬車、——新とも旧とも片のつけられないこの
一塊
(
ひとかたまり
)
の配合を
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「ちょっと覚えませんね」と小野さんは首を
傾
(
かた
)
げる。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
傾
常用漢字
中学
部首:⼈
13画
“傾”を含む語句
傾斜
引傾
傾向
傾覆
傾城買
傾斜地
男傾城
傾城
打傾
傾聴
傾注
傾城遊女
緩傾斜
傾倒
傾斜面
傾蓋
傾城町
傾国
笑傾
傾聽
...