“方:かた” の例文
“方:かた”を含む作品の著者(上位)作品数
泉鏡花99
小川未明47
吉川英治33
泉鏡太郎26
夏目漱石25
“方:かた”を含む作品のジャンル比率
芸術・美術 > 演劇 > 大衆演芸61.3%
文学 > 日本文学 > 戯曲19.1%
文学 > 日本文学 > 小説 物語14.0%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
水色の手巾ハンケチを、はらりとなまめかしく口にくわえた時、肩越に、振仰いで、ちょいと廻廊のかたを見上げた。
妖術 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「もう、駄目でございます。むだでございます。走るのは、やめて下さい。もう、あのかたをお助けになることは出来ません。」
走れメロス (新字新仮名) / 太宰治(著)
証書はまさしき手続きを踏みたるもの、さらに取りいだしたる往復の書面を見るに、まごかたなき千々岩が筆跡なり。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
震災の日に生き別れ、それから一度焼け落ちた吾妻橋の上でにらみ合って別れ、それからずっとこのかた彼女を見なかった。
棺桶の花嫁 (新字新仮名) / 海野十三(著)
道庵は自身で玄関へ立ち出でて見ると、そこに駕籠を釣らせて来たのは、銀床の亭主、まごうかたなきもとのがんりきの百蔵で、
大菩薩峠:10 市中騒動の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
こんどの地震は、ゆれかただけは以上二つの場合にくらべると、ずっとかるかったのですが、人命以外の損害のひどかった点では
大震火災記 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
りつくしまがないようにおもわれるかたがあろうかとかんぜられますので、はなは不本意ふほんいながら
ここにありて筑紫つくしやいづく白雲しらくも棚引たなびやまかたにしあるらし 〔巻四・五七四〕 大伴旅人
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
かくていくたりか、燒かれざる處に出でじとたえず心を用ゐつゝ、その進むをうるかぎりわがかたに來れる者ありき 一三―一五
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
請ふ我に告げてこの後紙にしるすをえしめよ、汝等は誰なりや、また汝等のかたにゆくむれは何ぞや。 六四―六六
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
貴下あなたのようなかた出入ではいりは、今朝けさッからお一人しかありませんもの。ちゃんと存じておりますよ。
春昼後刻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「なあ、ばあさん、椋鳥むくどりのあのさわかたは。」――と毎晩まいばんのやうに怒鳴どなつたものである。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
川上かはかみほそステツキ散策さんさくしたとき上流じやうりうかたよりやなぎごと
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
いへうちをばひろ野原のはらかたなきなげきにひとそでをもしぼらせぬ。
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
本丸の広庭を抱いたその築山のうしろかたには、先ごろ普請ふしんした新しい講堂風の建物と、一棟の添屋そえやがあった。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
アッ、柵を越えた。越えたかと思うと、クルリとうしろ向きになった。そして、通路を人なきかたへと、矢のように走り出した。
悪魔の紋章 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
彼のへだて無く身近にるるを可忌うとましと思へば、貫一はわざと寐返ねがへりて、椅子を置きたるかたに向直り、
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
二人の間に挨拶あいさつ交換やりとりがもう必要でないと認めたごとく、電力は急いで光る窓を南のかたへ運び去った。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
それのみならず、ある場合に私を鷹揚おうようかただといって、さも尊敬したらしい口のき方をした事があります。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
よござんすか、あなた方お二人は御自分達の事よりほかになんにも考えていらっしゃらないかただという事だけなんです。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「おいこのかたは刑事巡査でせんだっての泥棒をつらまえたから、君に出頭しろと云うんで、わざわざおいでになったんだよ」
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
こゝはや藪の中央ならむともとかた振返ふりかへれば、真昼は藪に寸断されて点々星にさもたり。
妖怪年代記 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
十分ほど懸って、二人は遂に谷の底についた。ほろは裂け鉄板は凹み、車体は見るも無慚むざんこわかたであった。
蠅男 (新字新仮名) / 海野十三(著)
〓イオリンも少し稽古けいこしたが、此方このほうは手の使つかかたが六※かしいので、まあらないと同じである。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
この鎌倉横町というのは、前いった図を見るに、元柳原町と佐久間町との間で、きたかた河岸かしに寄った所にある。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
今は疑うべき心もせて、御坊様、と呼びつつ、紫玉が暗中をすかして、声するかたに、すがるように寄ると思うと、
伯爵の釵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
心得たりと黄金丸は、身をひねりてその矢をば、発止はっしト牙にみとめつ、矢の来しかたきっト見れば。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
力の限り悶掻もがけども、更にそのせんなきのみか咽喉のどは次第にしばり行きて、苦しきこといはんかたなし。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
中を一条ひとすじ、列を切って、どこからともなく白気はっきが渡って、細々と長く、はるかに城あるかたなびく。
南地心中 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
我も衆人もろひとの間にはさまりて、おなじかたに歩みぬれど、後には傍へなる石垣に押し付けられて動くこと能はず。
あきのへにらふ朝霞あさがすみいづへのかたこひやまむ 〔巻二・八八〕 磐姫皇后
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
こひしいおかた、さよなら……あいあい、乳母うばいますぐに!……モンタギューどの、かならかはらず。
要するに十銭白銅貨は単なる貨幣だとばかり考えているかたがあったら、それは正に大なる認識不足であると申すべきである。
白銅貨の効用 (新字新仮名) / 海野十三佐野昌一(著)
そして、われ知らず防堤のかたを見やるのであったが、どうしたことか、肝腎のウルリーケには、なんの変化も現われてはこない。
潜航艇「鷹の城」 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
そして、海路の旅が無事にすみ、陸路の旅も無事にすめば、すぐにそのかたなつかしいおそばへいらっしゃれましょう。
「独りでですと! お気の毒に、あのかたと一緒にいるなんて者はいやしませんよ。」と今一人のほうが同じ低い声で言った。
『私このかたの為にしたんぢやなくて、皆さんが盃を欲しさうにして被居いらつしやるから、空けて上げたのですわ。』
菊池君 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
先生はじめ有り合う人々興をさまし、口を閉じ互いに顔を見合わせ、なににたとえんかたもなく茫然ぼうぜんたるありさまなり。
迷信と宗教 (新字新仮名) / 井上円了(著)
辰巳たつみかたには、ばかなべ蛤鍋はまなべなどと逸物いちもつ一類いちるゐがあるとく。
湯どうふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
そして、一こくをつかさどっていられるかたでありましたから、すこしぐらいのことにはおどろきはなされませんでした。
殿さまの茶わん (新字新仮名) / 小川未明(著)
とこなつのはなは、みつばちのさげすむようないいかたたいしてはらをたてたけれど、忍耐にんたいをして、
公園の花と毒蛾 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そのかたが、あにそっくりなので、わたしは、はっとして、このときばかりは、全身ぜんしんがあつくなりました。
たましいは生きている (新字新仮名) / 小川未明(著)
「令夫人の健康のために」とソーボリが言った、「私はあのかたのお気に入りでしてな。侍医がよろしく申したとお伝え下さい。」
(新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
「どう? あんたがくくらいだから、やはりいいんだわ。この声楽家せいがくかは、有名ゆうめいかたなのよ。」
谷にうたう女 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「このかたですよ、竹中十兵衞と仰しやるのは。厭だといつて駄々をこねるのを、田原町から無理に引張つて來ましたが――」
此方こち奧樣おくさまぐらゐひとづかひのかたいとうそにもよろこんだくちをきかれるは
この子 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
かたたまはらんとて甲斐かひなき御玉章おんたまづさ勿躰もつたいなきふでをやたまふ。
軒もる月 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
妻のおいちかたとのあいだに、もう四人の子をしているが、その妻もまた二十三、四。彼もまだ三十には一つ欠ける。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
さむらいが主君からこんなかたをされるのは名誉でないはずだが、石川又四郎にとっては、尠なくも不名誉ではなかった。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一騎立いつきだち細道ほそみちなり、すこきてみぎかたてらあり、小高こだかところ
甲冑堂 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
阿蘭陀の女、それはあの方の御勝手ごかつてではありませんか? 一体わたしは日本出来や支那出来のかたは虫が好かないのです。
長崎小品 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
生まれかわらなければ回復しようのないような自分の越しかた行く末が絶望的にはっきりと葉子の心を寒く引き締めていた。
或る女:2(後編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
同じくわしかたをじろりと見たっけよ、舌不足したたらず饒舌しゃべるような、にもつかぬ声を出して、
高野聖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
私は先生のうちはいりをするついでに、衣服のあらりや仕立したかたなどを奥さんに頼んだ。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
此時このとき右舷うげん當番たうばん水夫すゐふ木像もくざうごと船首せんしゆかたむかつたまゝ
獅子しゝが? 何處どこに?。』と一同いちどうきつとなつて、そのゆびさかたながめると
「いいえ、男のかたはいいんですよ。男の方はいくらお年を召していらしても、決して可笑おかしいなんてことはありませんね。」
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
小戻りして、窓のカーテンの陰にうちの話を立ち聞く少女おとめをあとに残して、夫人は廊下伝いに応接間のかたへ行きたり。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
魯の哀公あいこうが西のかた大野たいやかりして麒麟きりんた頃、子路は一時衛から魯に帰っていた。
弟子 (新字新仮名) / 中島敦(著)
其時のうごかしかたで、白眼しろめ一寸ちよつとちらついて、相手あいてに妙な心もちをさせる。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
ただ、客人――でお話をいたしましょう。そのかたが、庵室あんじつに逗留中、夜分な、海へ入ってくなりました。」
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
その晩はお松は、こしかたや行く末のことを考えて、いまさら、人の心の頼みないことを、しみじみと思いわびて眠れませんでした。
大菩薩峠:18 安房の国の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
さらずば、さらずば、我がかたに賜はらんとて甲斐かひなき御玉章おんたまづさ勿躰もつたいなき筆をや染め給ふ。
軒もる月 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
いつもかはらぬ景色けしきながら、うで島田しまだにおびえし擧句あげくの、心細こゝろぼそさいはむかたなし。
弥次行 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
かち色なる方巾はうきん偏肩へんけんより垂れたるが、きれまとはざるかたの胸とひぢとは悉く現はれたり。
今日こんにちわれ/\はラボックのわけかたによつて、石器時代せつきじだいふたつとするのが普通ふつうであります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
しかしかたはどれもやはらかいしつですから、みづれるとたいていはします。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
貴下こなたがモンタギューかたでござらっしゃらぬならば、せて酒杯さかづきらッしゃりませ。
はるか西のかたバビロンの高山に道路圧固機ステイム・ロウラーの余剰蒸気のようなもうもうたる一団の密雲がき起こった。
ヤトラカン・サミ博士の椅子 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
むをず、一松林まつばやしかた退却たいきやくしたが、如何どうりたくてえられぬ。
駆出した中のおんなが、広場の松を低く、ハタと留まって、前後左右を、男女のばらばらと散る間に、この峰のかたを振返った。
華魁おいらんですかどうもまことにお見受みうまうしたおかただとぞんじましたが、只今たゞいまはお一人ですか。
ヘヽヽ御冗談ごじようだんばかり……へえ成程なるほど……えゝ予々かね/″\天下有名てんかいうめいのおかた
にゆう (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
かはつた興味きようみおこされたので、かういふかたうたは、これ以前いぜんにもこれ以後いごにも
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
「わが欲情、隊商カラバンの如くかたに向ふ時、なれが眼は病める我が疲れし心を潤す用水の水なり。」と云ひ、又、
夜あるき (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
うへ蜘蛛くもで、目口めくちかない、可恐ひどよわつたところを、のおかた
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
元成もとなりどの。わしは急がぬ旅じゃが、ひと夜を共に、もっとかた、ゆく末、語りおうてみる気はないか」
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かたそばわたし憤怒ふんぬさうひかへてるのですから召使めしつかひはたまりません
この子 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
夜目に見たのだからはっきりしないが、よもやまだ二十二三にはおなりになるまい、十八九ぐらいなかただったと申しますと
三人法師 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
さてうも一かたならぬ御厚情ごこうじやうあづかり、すくなからぬ御苦労ごくらうけました。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「京都にはだいぶ御知合があるでしょう。京都のかたはじめさんに御世話なさいよ。京都には美人が多いそうじゃありませんか」
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「あのかたなら、まあ気心も知れているし、私も安心だし、一は無論異存のある訳はなし――よかろうと思うんですがね」
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「あなたの御話でだいぶ田口さんが解って来たようですが、私はあのかたの前へ出ると、何だか気が落ちつかなくって変に苦しいです」
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「まあ老成ろうせいよ。本当に怜悧りこうかたね、あんな怜悧な方は滅多めったに見た事がない。大事にして御上げなさいよ」
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「本当に心配ね。なぜ、あんななんでしょう、ここへいらっしゃるかただって、叔父さんのようなのは一人もいないわね」
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
知人しりびとにはあらざれど、はじめて逢ひしかたとは思はず、さりや、たれにかあるらむとつくづくみまもりぬ。
竜潭譚 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
……大蒜ばなれのしたかたで、すきにも、くわにも、連尺にも、婆どのに追い使われて、いたわしいほどよく辛抱なさいます。
眉かくしの霊 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ただ、西のかたはるかに、山城国やましろのくに浄瑠璃寺じょうるりでら吉祥天きっしょうてんのお写真に似させ給う。
七宝の柱 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
大和はた沈黙せしが、やがて梅子のかたひざを向けぬ「山木さん、何時、先生を拘引すると申すのです」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
親父の臨終において、チャンチキチンなど考えているべきはずではないではないかと私は私の囃子かたへ、ちょっと注意をしてやった。
楢重雑筆 (新字新仮名) / 小出楢重(著)
我また小きかたの圓の中なるいと神々しき光の中に一の柔かき聲を聞たり、マリアに語れる天使の聲もかくやありけむ 三四―三六
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
かうして、諸国から差し上げた稲穂を、天子様は、御自分で召食メシアガらぬ先に、上のかたで居られる処の伊勢の大神に奉られる。
大嘗祭の本義 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
さのみ廣からねど、風雅なる家の作りにて、かみかたに床の間、それに近松門左衞門もんざゑもんの畫像の一軸をかけてあり。
近松半二の死 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
料理かた摺鉢すちばち俎板まないたひっくりかえしたとは違うでの、もよおしものの楽屋がくやはまた一興じゃよ。
多神教 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「でも、あなたはあまりお美しいから。僕は今日はいつぱし慈善家になりおほせたいから、わざと地味なかたのを選んで買ひました。」
後になってこの想像は正しい想像であって、その若い婦人が今日の夏目未亡人、老婦人のかたが未亡人の母堂であることを明かにした。
漱石氏と私 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
姦婦かんぷ」と一喝いっかつらいの如くうついかれる声して、かたに呼ばはるものあり。
二世の契 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
けれども母親の胸に乳房をあたえ、赤ん坊に食欲を用意しておおきになったかたは、はじめからそのすべてをご存知です。
おさなごを発見せよ (新字新仮名) / 羽仁もと子(著)
午後三時、一人の青年わかもの村境むらざかいの小高い丘に立って、薄暗い町のかたを遠く瞰下みおろしていた。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
ところが御維新ごいっしんこのかた時勢の変遷で次第に家運の傾いて来た折も折火事にあって質屋はそれなりつぶれてしまった。
すみだ川 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
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