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方
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かた
ふりがな文庫
“
方
(
かた
)” の例文
「でも、あなたはあまりお美しいから。僕は今日はいつぱし慈善家になりおほせたいから、わざと地味な
方
(
かた
)
のを選んで買ひました。」
茶話:10 昭和三(一九二八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
次の神樣はタカミムスビの神、次の神樣はカムムスビの神、この
御
(
お
)
三
方
(
かた
)
は皆お獨で御出現になつて、やがて形をお隱しなさいました。
古事記:03 現代語訳 古事記
(旧字新仮名)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
あなたのような、
強
(
つよ
)
い
方
(
かた
)
がお
泣
(
な
)
きなさるのは、よくよくのことでございましょう。
私
(
わたし
)
どもだったら、どうなってしまったかしれない。
負傷した線路と月
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
日が小豆島の
向
(
むこ
)
うに落ちたと思うと、あらぬ
方
(
かた
)
の空の獅子雲が
真赤
(
まっか
)
に日にやけているのを見る。天地が何となく沈んで
落着
(
おちつ
)
いて来る。
別府温泉
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
こういう
現
(
あらわ
)
し
方
(
かた
)
があるのか、と感心した事があったので、「僕の小説などは決して「見さくる高峰のやうな」ものではありませんが
茂吉の一面
(新字新仮名)
/
宇野浩二
(著)
▼ もっと見る
南蛮女
(
なんばんをんな
)
、ほんたうに高慢な人です事。——ようございますよ。これからはわたしがあの女の代りにこの
方
(
かた
)
の世話をして上げますから。
長崎小品
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
僕
(
ぼく
)
思
(
おも
)
ふに、いつたい
僕等
(
ぼくら
)
日本人
(
にほんじん
)
の
麻雀
(
マージヤン
)
の
遊
(
あそ
)
び
方
(
かた
)
は
神經質
(
しんけいしつ
)
過
(
す
)
ぎる。
或
(
あるひ
)
は
末梢的
(
まつせうてき
)
過
(
す
)
ぎる。
勿論
(
もちろん
)
技
(
ぎ
)
を
爭
(
あらそ
)
ひ、
機
(
き
)
を
捉
(
とら
)
へ、
相手
(
あひて
)
を
覘
(
ねら
)
ふ
勝負事
(
しようぶごと
)
だ。
麻雀を語る
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
実
(
じつ
)
に
驚
(
おどろ
)
きました、
彼
(
あ
)
んなお
丈夫
(
ぢやうぶ
)
さまなお
方
(
かた
)
が
何
(
ど
)
うして
御死去
(
おなくな
)
りになつたかと
云
(
い
)
つて、
宿
(
やど
)
の
者
(
もの
)
も
宜
(
よろ
)
しう
申
(
まう
)
しました、
嚥
(
さぞ
)
お
力落
(
ちからおと
)
しで……。
明治の地獄
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
是
(
これ
)
しかしながら
汽車
(
きしや
)
がやがて
飛行機
(
ひかうき
)
に
成
(
な
)
つて、
愛宕山
(
あたごやま
)
から
大阪
(
おほさか
)
へ
空
(
そら
)
を
翔
(
かけ
)
る
前表
(
ぜんぺう
)
であらう。いや、
割床
(
わりどこ
)
の
方
(
かた
)
、……
澤山
(
たんと
)
おしげりなさい。
大阪まで
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
この時彼我等の
方
(
かた
)
に對ひてその心をとめ、目をたゞ
股
(
もゝ
)
のあたりに動かし、いひけるは。いざ登りゆけ、汝は
雄々
(
をゝ
)
し。 一一二—一一四
神曲:02 浄火
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
親父の臨終において、チャンチキチンなど考えているべきはずではないではないかと私は私の囃子
方
(
かた
)
へ、ちょっと注意をしてやった。
楢重雑筆
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
ほんとうにあなたがいらっしゃるのでおじさんはお仕合わせですわ。あなたは辛抱なさる
方
(
かた
)
。おじさんはわがままでお通しになる
方
(
かた
)
。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
『あんな
名僧
(
めいそう
)
知識
(
ちしき
)
と
謳
(
うた
)
われた
方
(
かた
)
がまだこんな
薄暗
(
うすぐら
)
い
境涯
(
ところ
)
に
居
(
い
)
るのかしら……。』
時々
(
ときどき
)
意外
(
いがい
)
に
感
(
かん
)
ずるような
場合
(
ばあい
)
もあるのでございます。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
ものゝ
感
(
かん
)
じ
方
(
かた
)
が
非常
(
ひじやう
)
に
鋭敏
(
えいびん
)
で、
鼻
(
はな
)
・
耳
(
みゝ
)
・
肌
(
はだ
)
などに
觸
(
ふ
)
れるものを
鋭
(
するど
)
く
受
(
う
)
け
取
(
と
)
ることの
出來
(
でき
)
た
珍
(
めづら
)
しい
文學者
(
ぶんがくしや
)
であつたことを
見
(
み
)
せてゐます。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
私
(
わたくし
)
の
思
(
おも
)
うには、これだけの
銭
(
ぜに
)
を
費
(
つか
)
うのなら、
遣
(
や
)
り
方
(
かた
)
をさえ
換
(
か
)
えれば、ここに二つの
模範的
(
もはんてき
)
の
病院
(
びょういん
)
を
維持
(
いじ
)
することが
出来
(
でき
)
ると
思
(
おも
)
います。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
「他に有力な御縁談が始まったのらしいんですって。奥さんは念を使う
方
(
かた
)
ですから、当らず触らずに然う仰有ったんでしょうけれど」
求婚三銃士
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
少年
(
せうねん
)
の
指
(
ゆびさ
)
す
方
(
かた
)
を
眺
(
なが
)
めると
如何
(
いか
)
にも
大變
(
たいへん
)
!
先刻
(
せんこく
)
吾等
(
われら
)
の
通※
(
つうくわ
)
して
來
(
き
)
た
黄乳樹
(
わうにうじゆ
)
の
林
(
はやし
)
の
中
(
あひだ
)
より、
一頭
(
いつとう
)
の
猛獸
(
まうじう
)
が
勢
(
いきほい
)
鋭
(
するど
)
く
現
(
あら
)
はれて
來
(
き
)
たのである。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
妾
(
わたくし
)
は真剣な方が、欲しいのよ。男らしく真剣に振舞ふ方が欲しいのよ。凡ての動作を手先丈でなく心の底から、行ふ
方
(
かた
)
が欲しいのよ。
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
「あなたの御話でだいぶ田口さんが解って来たようですが、私はあの
方
(
かた
)
の前へ出ると、何だか気が落ちつかなくって変に苦しいです」
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
齢
(
よわい
)
人生の
六分
(
ろくぶ
)
に達し、今にして過ぎ
来
(
こ
)
し
方
(
かた
)
を
顧
(
かえり
)
みれば、行いし事として罪悪ならぬはなく、
謀慮
(
おもんばか
)
りし事として
誤謬
(
ごびゅう
)
ならぬはなきぞかし。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
姉妹を初め、三四人の乗客が皆もうプラツトフオームに出てゐて、
逈
(
はる
)
か南の
方
(
かた
)
の森の上に煙の見えるのを、今か今かと待つてゐる。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
ところで、
竹
(
たけ
)
の
中
(
なか
)
から
出
(
で
)
た
子
(
こ
)
は、
育
(
そだ
)
て
方
(
かた
)
がよかつたと
見
(
み
)
えて、ずん/\
大
(
おほ
)
きくなつて、
三月
(
みつき
)
ばかりたつうちに
一人前
(
いちにんまへ
)
の
人
(
ひと
)
になりました。
竹取物語
(旧字旧仮名)
/
和田万吉
(著)
頃
(
ころ
)
しも一月の
初
(
はじめ
)
つ
方
(
かた
)
、春とはいへど名のみにて、
昨日
(
きのう
)
からの大雪に、野も山も岩も木も、
冷
(
つめた
)
き
綿
(
わた
)
に包まれて、寒風
坐
(
そぞ
)
ろに堪えがたきに。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
六部の
方
(
かた
)
が來てびつくりした樣子で介抱して居るところへ、
女形
(
をやま
)
の方や、いろ/\の方が驅け付け、それからお役人樣方が見えました。
銭形平次捕物控:063 花見の仇討
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
脊山の
方
(
かた
)
は
大判司清澄
(
だいはんじきよずみ
)
——チョボの太夫の力強い声によび出されて、
仮花道
(
かりはなみち
)
にあらわれたのは織物の
𧘕𧘔
(
かみしも
)
をきた立派な老人である。
島原の夢
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
私が幾人も残して
行
(
ゆ
)
く子供を育てヽ下さるであらうと依頼心をあの
方
(
かた
)
に
起
(
おこ
)
すやうになつたのもお
艶
(
つや
)
さんの言葉が
因
(
いん
)
になつて居るのです。
遺書
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
はいけんいたしますと、この上おひきとめ申しても、むだのようにおもわれます。ではいたし
方
(
かた
)
ございません、行っていらっしゃいまし
浦島太郎
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
彼家
(
あそこ
)
じゃ
奥様
(
おくさん
)
も好い
方
(
かた
)
だし御隠居様も小まめにちょこまかなさるが
人柄
(
ひと
)
は極く好い方だし、お清
様
(
さん
)
は出戻りだけに
何処
(
どこ
)
か
執拗
(
ひねく
)
れてるが
竹の木戸
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
「おじゃッた。この
方
(
かた
)
もおなじような打扮ではおじゃッたが、具足の
威
(
おどし
)
がちと濃かッたゆえ、二の大将ほど目立ちなさらなかッた」
武蔵野
(新字新仮名)
/
山田美妙
(著)
静岡県藤村在落合村の一流名士で自由党員として令名のある清水綱義
方
(
かた
)
の裏門が内からこっそり開けられて二人の人物が現われた。
国事犯の行方:―破獄の志士赤井景韶―
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
警察の
方
(
かた
)
でも、民間の方でも構いません。娘を安全に取戻して下さればいいのです。わたしは一秒でも早く娘の無事な顔が見たいのです
悪魔の紋章
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
本州
(
ほんしゆう
)
の
木曾
(
きそ
)
や
甲州
(
こうしゆう
)
、
信州等
(
しんしゆうなど
)
の
高山
(
こうざん
)
に
登
(
のぼ
)
つた
方
(
かた
)
はよくご
存
(
ぞん
)
じでせうが、
日光
(
につこう
)
の
白根山
(
しらねさん
)
、
男體山
(
なんたいざん
)
やまた
富士山
(
ふじさん
)
などでは
偃松
(
はひまつ
)
を
見
(
み
)
ません。
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
荷物の
方
(
かた
)
づけもそこそこにして、僕の
革鞄
(
かばん
)
は二人に託し井筒屋の主人と住職とにステーションまで送られて、その夜東京へ帰って来た。
耽溺
(新字新仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
その晩はお松は、こし
方
(
かた
)
や行く末のことを考えて、いまさら、人の心の頼みないことを、しみじみと思いわびて眠れませんでした。
大菩薩峠:18 安房の国の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
大伴旅人の歌に、「此処にありて
筑紫
(
つくし
)
や
何処
(
いづく
)
白雲の棚引く山の
方
(
かた
)
にしあるらし」(巻四・五七四)というのがあって、形態が似ている。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
二人
(
ふたり
)
はすでに
乾
(
かわ
)
ける砂を踏みて、今日の
凪
(
なぎ
)
を
地曳
(
じびき
)
すと立ち騒ぐ
漁師
(
りょうし
)
、貝拾う子らをあとにし、新月
形
(
なり
)
の浜を次第に人少なき
方
(
かた
)
に歩みつ。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
花もなかばは散り過ぎて、
二六五
鶯の声もやや流るめれど、
猶
(
なほ
)
よき
方
(
かた
)
に
二六六
しるべし侍らんとて、
夕食
(
ゆふげ
)
いと清くして食はせける。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
不意に自己を失ったような引ッくり
転
(
かえ
)
り
方
(
かた
)
をした白衣の体には、どこから飛んで来るのやら、
得態
(
えたい
)
の知れぬ矢が突き刺さッていた。
私本太平記:02 婆娑羅帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
どうも孔子様みたいな
方
(
かた
)
にこんなことをするのは、それこそ風教上よくないね。もう一度建てようったって建たないんだからね。
台湾の民芸について
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
徐々
(
おもむろ
)
に
黄昏
(
たそがれ
)
の光の消え行く頃には其の山も其の岩も皆遠く西の
方
(
かた
)
水平線の下に沈んで了ひ、食事を終つて再び甲板の欄干に身を
倚
(
よ
)
せた時
黄昏の地中海
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
おかみさんは
黒人
(
くろと
)
の出の人だとかで、短気な、気に入り
悪
(
にく
)
い
方
(
かた
)
であつた。それへ大勢のお子たちがあつたりして、勤め辛かつた。
桑の実
(新字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
自分が今催促されて参入する
気忙
(
きぜわ
)
しさに、思慮分別の
暇
(
いとま
)
も無く、よしよし、さらば此の石帯を貸さんほどに
疾
(
と
)
く疾く
主人
(
あるじ
)
が
方
(
かた
)
にもて行け
連環記
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
主
(
あるじ
)
の勧むる
傍
(
そば
)
より、妻はお俊を促して、お俊は紳士を
案内
(
あない
)
して、客間の床柱の前なる
火鉢
(
ひばち
)
在る
方
(
かた
)
に
伴
(
つ
)
れぬ。妻は
其処
(
そこ
)
まで
介添
(
かいぞへ
)
に附きたり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
泉さんは、
厭
(
きら
)
いといえば、しんから底から厭いな
方
(
かた
)
だったのだ。鏡花愛読者が鏡花会をつくって作者に声援していたころだった。
江木欣々女史
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
あの人が、どんな身分の
方
(
かた
)
か、それを考えたら、わかる事だ。出来ない相談だよ。
断々乎
(
だんだんこ
)
として僕は反対だ。いま、はっきり言って置く。
新ハムレット
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
彼が自分などよりはずっとずっと経験もあり智慮もある
方
(
かた
)
だと自分が思っているということを、彼に伝えたいという可憐な願いをこめて
二都物語:01 上巻
(新字新仮名)
/
チャールズ・ディケンズ
(著)
信如は田町の姉のもとへ、長吉は我家の
方
(
かた
)
へと行別れるに思ひの止まる紅入の友仙は
可憐
(
いぢら
)
しき姿を空しく格子門の外にと止めぬ。
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
その書物の
選
(
えら
)
び
方
(
かた
)
はでたらめか、さもなければ
表題
(
ひょうだい
)
のおもしろいものをつかみ出して来るにすぎなかったが、やはり書物は書物であった。
家なき子:02 (下)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
過ぎて新街道
大釜戸
(
おほかまど
)
といふより
御嶽
(
みたけ
)
へ出づ元は大井より
大久手
(
おほくて
)
細久手
(
ほそくて
)
を經て
御嶽
(
みたけ
)
へ
出
(
いで
)
しなれど高からねど山阪多きゆゑ
釜戸
(
かまど
)
の
方
(
かた
)
を
木曽道中記
(旧字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
ここらで鴎外に対する在来の見方は
綺麗
(
きれい
)
に
方
(
かた
)
をつけて、これを変改するより
外
(
ほか
)
はない。それには唯一の方法しか
剰
(
あま
)
されていない。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
“方”の解説
方(ほう)は、漢姓の一つ。
(出典:Wikipedia)
方
常用漢字
小2
部首:⽅
4画
“方”を含む語句
彼方
此方
何方
先方
其方
地方
前方
行方
方法
遠方
四方
彼方此方
貴方
東方
大方
上方
一方
外方
片方
南方
...