トップ
>
附近
>
あたり
ふりがな文庫
“
附近
(
あたり
)” の例文
転がつた
無頼漢
(
ならずもの
)
は、埃のなかで蛙のやうに手足をばたばたさせながら
喚
(
わめ
)
いた。
附近
(
あたり
)
には同じやうな無気味の
輩
(
てあひ
)
がぞろぞろ
集
(
たか
)
つて来た。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
附近
(
あたり
)
で虫が鳴いている。パチパチパチパチパチパチと、
岩燕
(
いわつばめ
)
が群をなして
颯
(
さっ
)
と頭上を翔け過ぎた。それさえ所がら物寂しい。
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
常は
一人
(
ひとりのひと
)
取らるゝ
例
(
ならひ
)
なるに、我等は
二人
(
ふたり
)
ながら
彼處
(
かしこ
)
にとられき、我等のいかなる者なりしやは今もガルディンゴの
附近
(
あたり
)
を見てしるべし —一〇八
神曲:01 地獄
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
夕方館の庭から沼に突き出た岬の
𡽶
(
はな
)
で、細君が石に腰かけて記念に駒が岳の寫生をはじめた。余は鶴子と手帖の上を見たり、
附近
(
あたり
)
の林で草花を折つたり。
熊の足跡
(旧字旧仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
俺
(
おら
)
は
直
(
ぢ
)
きこの
附近
(
あたり
)
に住まふものぢや。われら家に
往
(
い
)
て持つて来るものがおぢやるわ。
少時
(
しばし
)
がほどここに待たれよ。
南蛮寺門前
(新字旧仮名)
/
木下杢太郎
(著)
▼ もっと見る
夕方館の庭から沼に突き出た
岬
(
みさき
)
の
𡽶
(
はな
)
で、細君が石に腰かけて記念に駒が岳の写生をはじめた。余は鶴子と手帖の上を見たり、
附近
(
あたり
)
の林で草花を折ったり。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
問題の硝子の破片があるという
附近
(
あたり
)
の調査と、さらに次の喚問者として、執事の
田郷真斎
(
たごうしんさい
)
を呼ぶように命じた。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
これはまた
落雷
(
らくらい
)
のやうな
聲
(
こゑ
)
でした。さつきから
啼
(
な
)
くのをやめて、どんなことになるかとはらはらしながらきいてゐた
蝉
(
せみ
)
の
哲學者
(
てつがくしや
)
、
附近
(
あたり
)
がもとの
靜穩
(
しづかさ
)
にかへると
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
私
(
わたくし
)
がそうした
無邪気
(
むじゃき
)
な
乙女心
(
おとめごころ
)
に
戻
(
もど
)
っている
最中
(
さいちゅう
)
でした、
不図
(
ふと
)
附近
(
あたり
)
に
人
(
ひと
)
の
気配
(
けはい
)
がするのに
気
(
き
)
がついて、
愕
(
おどろ
)
いて
振
(
ふ
)
り
返
(
かえ
)
って
見
(
み
)
ますと、一
本
(
ほん
)
の
満開
(
まんかい
)
の
山椿
(
やまつばき
)
の
木蔭
(
こかげ
)
に
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
それに何のためにあんな時刻に淋しい総領事館
附近
(
あたり
)
まであの女が出向いたんだろうというのが、不思議がられているんでございますよ。きっと誰かにおびき出されたに違いないなんて——
機密の魅惑
(新字新仮名)
/
大倉燁子
(著)
此の
附近
(
あたり
)
にして人は解する。
ランボオ詩集
(新字旧仮名)
/
ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー
(著)
盲になつた馬は、
附近
(
あたり
)
が見えないから、今までのやうに物に
怯
(
おび
)
えて跳ねたり、飛んだりするやうな事は、まるで無くなつてしまふ。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
また知る、この物サビーニの女達の禍ひよりルクレーチアの憂ひに至るまで七王の代に
附近
(
あたり
)
の多くの民に勝ちていかなる
業
(
わざ
)
をなしゝやを 四〇—四二
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
花は兎に角、
吾儕
(
われら
)
の
附近
(
あたり
)
は自然の食物には極めて貧しい処である。
芹
(
せり
)
少々、
嫁菜
(
よめな
)
少々、
蒲公英
(
たんぽぽ
)
少々、
野蒜
(
のびる
)
少々、
蕗
(
ふき
)
の
薹
(
とう
)
が唯三つ四つ、
穫物
(
えもの
)
は此れっきりであった。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
その頃には、欄間の小窓から入って来る陽差が、「
倫敦
(
ロンドン
)
大火之図」の——ちょうどテムズ河の真上
附近
(
あたり
)
にまで上っていて、頭上の黒煙に物々しい生動を起しはじめた。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
家から五丁程西に当つて、品川堀と云ふ小さな
流水
(
ながれ
)
がある。玉川上水の
分流
(
わかれ
)
で、品川方面の
灌漑専用
(
くわんがいせんよう
)
の水だが、
附近
(
あたり
)
の村人は
朝々
(
あさ/\
)
顔
(
かほ
)
も洗へば、
襁褓
(
おしめ
)
の洗濯もする、肥桶も洗ふ。
水汲み
(新字旧仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
序
(
つい
)
でにちょっと
附
(
つ
)
け
加
(
くわ
)
えて
置
(
お
)
きますが、その
頃
(
ころ
)
命
(
みこと
)
の
直属
(
ちょくぞく
)
の
部下
(
ぶか
)
と
申
(
もう
)
しますのは、いつもこれ
位
(
くらい
)
の
小人数
(
こにんずう
)
でしかなかったそうで、いざ
戦闘
(
たたかい
)
となれば、
何
(
いず
)
れの
土地
(
とち
)
に
居
(
お
)
られましても、
附近
(
あたり
)
の
武人
(
もののふ
)
どもが
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
その
附近
(
あたり
)
から
風は草木にささやいた:01 風は草木にささやいた
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
そしてそれを
附近
(
あたり
)
の乾いた石の上に置いて、今一冊の方を取り出さうとすると、その本はもう影も形も見えなくなつてゐた。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
宿に着いたリンカンは
附近
(
あたり
)
を見廻して、不機嫌な顔をした。部屋は
馬小舎
(
うまごや
)
のやうに薄汚かつた。その上
暖炉
(
ストーヴ
)
には小さな火しか燃えてゐなかつた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
博士は大学の次ぎには、湯屋が好きだが、湯に入つて
附近
(
あたり
)
に人が居ないのに気がつくと、
定
(
きま
)
つてお
玉杓子
(
たまじやくし
)
の様な恰好をして、湯の中を泳ぎ廻る。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
自動車が
飛田
(
とびた
)
の
附近
(
あたり
)
へ来ると、
汚
(
むさ
)
い
豚小舎
(
ぶたごや
)
のやうな
家
(
うち
)
から、一人の若者が転がり出して、車の前に大の字なりになつた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
東が
白
(
しろ
)
んでから、二人が立つてゐた
附近
(
あたり
)
へ往つてみると、小さな合葬の墓があつて無縁になつてゐる。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
ほんとに吾ながら偉い
博識
(
ものしり
)
になつたものだと高慢さうな顔つきで、
附近
(
あたり
)
をじろ/\見まはしてゐると、だしぬけに隔ての障子が破れて、なかから大きな鼻が一つ飛出した。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
第一の雀が片脚をあげて、毛深いぼんのくぼの
附近
(
あたり
)
を掻きながら、こんなことを言いました。
艸木虫魚
(新字新仮名)
/
薄田泣菫
(著)
どうせかういふ人達の落ち合ふ所だから、
附近
(
あたり
)
に若い女と酒が無かつた事だけは神様の前で証人に立つても
可
(
い
)
い。その折星野氏は深い溜息を
吐
(
つ
)
き吐き、
独語
(
ひとりごと
)
のやうに言つた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
附近
(
あたり
)
には水が一面に飛び散つている。友達は香川氏の心臓も胃の腑も
潰
(
つぶ
)
けてしまつて、
先刻
(
さつき
)
飲んだ酒がけし飛んだに相違ないと思つた。だが、よく見ると香川氏は
活
(
い
)
きてゐる。
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
“附近”の意味
《名詞》
附 近(ふきん 付近)
ある地点に近接する一帯。
(出典:Wiktionary)
附
常用漢字
中学
部首:⾩
8画
近
常用漢字
小2
部首:⾡
7画
“附”で始まる語句
附
附着
附添
附合
附纏
附木
附加
附人
附物
附絡