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四下
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あたり
ふりがな文庫
“
四下
(
あたり
)” の例文
お庄は馬車を降りると、何とはなし仲居の方へ入って行ったが、しばらくそこらを
彷徨
(
ぶらつ
)
いているうちに、
四下
(
あたり
)
がだんだん
更
(
ふ
)
けて来た。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
汽車に残つてゐるのは工事担当の技師ばかりだ。技師は物思はし
気
(
げ
)
に
四下
(
あたり
)
を眺めて
汽罐
(
かま
)
の蒸気の音に耳を傾けてゐる。
椋のミハイロ
(新字旧仮名)
/
ボレスワフ・プルス
(著)
と
破
(
や
)
れた
人間離
(
にんげんばなれ
)
のした
嗄声
(
しゃがれごえ
)
が
咽喉
(
のど
)
を
衝
(
つ
)
いて
迸出
(
ほとばしりで
)
たが、応ずる者なし。大きな声が夜の空を
劈
(
つんざ
)
いて四方へ響渡ったのみで、
四下
(
あたり
)
はまた
闃
(
ひッそ
)
となって了った。
四日間
(新字新仮名)
/
フセヴォロド・ミハイロヴィチ・ガールシン
(著)
何處
(
どこ
)
で
食事
(
しょくじ
)
をしようぞ?……(
四下
(
あたり
)
を見𢌞して)あゝ/\! こりゃまア
何
(
なん
)
といふ
淺
(
あさ
)
ましい
騷擾
(
さうぜう
)
? いや、
其
(
その
)
仔細
(
しさい
)
はお
言
(
い
)
やるには
及
(
およ
)
ばぬ、
殘
(
のこ
)
らず
聞
(
き
)
いた。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
呼べど
号
(
さけ
)
べど、宮は返らず、老婢は居らず、貫一は
阿修羅
(
あしゆら
)
の如く
憤
(
いか
)
りて起ちしが、又
仆
(
たふ
)
れぬ。仆れしを漸く
起回
(
おきかへ
)
りて、
忙々
(
いそがはし
)
く
四下
(
あたり
)
を
眴
(
みまは
)
せど、はや宮の影は在らず。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
▼ もっと見る
面白可笑しい周囲の歓楽の中に雑りながら自分だけはそんな仲間に加はることは出来ないと云つたやうな様子をなしてただ
四下
(
あたり
)
のさざめきにじつと見惚れてゐるのであつた。
吸血鬼
(新字旧仮名)
/
ジョン・ウィリアム・ポリドリ
(著)
老いたる男 (いぶかしげに
四下
(
あたり
)
を見廻はす貌)ここは
何処
(
いづこ
)
ぢや、何処ぢや。
南蛮寺門前
(新字旧仮名)
/
木下杢太郎
(著)
何を考えるともなく、
歩
(
あし
)
が
自然
(
ひとりで
)
に反対の方向に
嚮
(
む
)
いていたことに気がつくと、急に
四辻
(
よつつじ
)
の角に立ち停って
四下
(
あたり
)
を見廻した。
新世帯
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
「かまうもんですかよ。
彼奴
(
あいつ
)
にさえ見つからなけアいいんだ。」と、お庄は用心深く暗い
四下
(
あたり
)
を見廻しながら出て行った。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
お庄は振りのような
手容
(
てつき
)
をして、ふいとそこを飛び出すと、きまり悪そうに
四下
(
あたり
)
を見廻して、酒屋の店へ入って行った。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
石段を登り切ったところで、哀れな乞食は、
陸
(
おか
)
の上へあがった
泥亀
(
どろがめ
)
のように、臆病らしく
四下
(
あたり
)
を見廻していたが、するうちまた這い歩きはじめた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
大輪の
向日葵
(
ひまわり
)
の、
萎
(
しお
)
れきって
項
(
うな
)
だれた
花畑尻
(
はなばじり
)
の垣根ぎわに、ひらひらする黒い
蝶
(
ちょう
)
の影などが見えて、
四下
(
あたり
)
は
汚点
(
しみ
)
のあるような日光が、強く
漲
(
みなぎ
)
っていた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
裏手の貧乏長屋で、力のない赤子の
啼
(
な
)
き声が聞えて、乳が乏しくて、
脾弛
(
ひだる
)
いような
嗄
(
か
)
れた声である。
四下
(
あたり
)
はひっそとして、他に何の音も響きも聞えない。
新世帯
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
四下
(
あたり
)
には若葉が日に日に
繁
(
しげ
)
って、遠い
田圃
(
たんぼ
)
からは、
喧
(
かまびす
)
しい
蛙
(
かえる
)
の声が、物悲しく聞えた。春の支度でやって来た二人には、ここの陽気はもう大分暑かった。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
「お
忙
(
せわ
)
しいところ、どうも済みませんね。」とお国はコートを脱いで、奥へ通ると、「どうもしばらく……。」と
更
(
あらた
)
まって、お辞儀をして、ジロジロ
四下
(
あたり
)
を見廻した。
新世帯
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
ふと彼女の姿が見えなくなつたと思つて
四下
(
あたり
)
を見まはしてゐる青年の傍へ、やがて彼女の顔が現はれた。青年ははつとしたやうに立停つて、急いで窃と彼女に手を差延べながら
復讐
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
「いやね。」とお増はその手を引っ張ったが、心は寂しいあるものに
涵
(
ひた
)
されていた。蜜柑の匂いなどのする
四下
(
あたり
)
には、草のなかに虫がそこにもここにも、ちちちちと啼いていた。
爛
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
「好いわね。私もこゝへ来て書かうか知ら。」Y・N子が
四下
(
あたり
)
を見廻してゐた。
草いきれ
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
「貴方はこんな処にゐて、寂しかないの。」女はさう言つて
四下
(
あたり
)
を見まはした。
或売笑婦の話
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
四
常用漢字
小1
部首:⼞
5画
下
常用漢字
小1
部首:⼀
3画
“四”で始まる語句
四辺
四方
四
四邊
四方山
四肢
四阿
四谷
四人
四囲