“妖”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
あや82.7%
えう5.0%
よう3.6%
ばけ1.4%
0.7%
わざはひ0.7%
わざわい0.7%
あで0.7%
あやか0.7%
あやし0.7%
なまめ0.7%
ばか0.7%
まど0.7%
まよはし0.7%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
上の水分みくまり神社の桜も、下の山添い道の山桜も、散りぬいていた。花ビラのあやしい舞が彼の童心を夢幻と昂奮こうふんの渦にひきこむのか。
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
もつと引續ひきつゞいた可恐おそろしさから、うはずつてはるのだけれど、ねずみえうちかいのでないと、吹消ふきけしたやうにはけさうもないとふので、薄氣味うすきみわるがるのである。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
渓のほとりにありいにしへは大蛇ありてようをなす時に弘法(大師)持咒じじゅうしたまいければ大蛇忽ち他所にうつりて跡に柳生ぜり因て此名ありといふ
植物一日一題 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
ういふと何かおばけの催促をするやうでをかしいけれど、れツたくツてたまらない。
二世の契 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「いえ、けたのに相違はありませんが、これはやはり、秀自身が妖けたのです。照子様、もしやおどかしはしませんでしたか。」
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
その泣くさまは、青山は枯山なす泣き枯らし河海うみかはことごとに泣きしき。ここを以ちてあらぶる神の音なひ二二狹蠅さばへなす皆滿ち、萬の物のわざはひ悉におこりき。
そういう次第ですから亂暴な神の物音は夏の蠅が騷ぐようにいつぱいになり、あらゆる物のわざわいが悉く起りました。
厚きしとねの積れる雪と真白き上に、乱畳みだれたためる幾重いくへきぬいろどりを争ひつつ、あでなる姿をこころかずよこたはれるを、窓の日のカアテンとほして隠々ほのぼの照したる
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
「田が沼と、濁る浮世に、ごもつとも、天も変るぞ、地にはあやかし」
血煙天明陣 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
こう申せば何ですが、四ツ谷の空の一方には、あやしい雲が立上っておだやかならぬ兆候きざしが見えて、今にも破裂しそうで、気にかかってなりません。打棄うっちゃっておいてはお互の身の上でしょう。
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
昔のうら若い女房が鉄漿かねを染めた口元にあの玉虫色の紅をつけてゐたとしたら、その青白い、血の気や赤味の微塵もない顔のなまめかしさは、どんなであつたらうかと思ふ。
青春物語:02 青春物語 (新字旧仮名) / 谷崎潤一郎(著)
老狐らうこ婦女ふぢよばかしていんするもあり、いんせられし女はかならずかみをみだし其処にして熟睡じゆくすいせるがごとし、そのよしをたづぬれども一人も仔細しさいをかたりし女なし、みな前後ぜんごをしらずといふ
芸術のうちにはめ込まれた利己心は、雲雀ひばりどもにたいする鏡であり、弱き者どもをまどわす炬火きょかである。ジャックリーヌの周囲でも、多くの婦人が彼にとらえられたのだった。
まよはしのこれ影か夢)
春鳥集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)