“どちら”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
何方74.5%
孰方10.5%
何処6.5%
何處2.0%
1.5%
那方1.0%
何所1.0%
何力0.5%
何地0.5%
双方0.5%
四方0.5%
誰方0.5%
那辺0.5%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「ぢや、ねいさんは何方どちらすきだとおつしやるの」と、妹は姉の手を引ツ張りながら、かほしかめてうながすを、姉は空の彼方あなた此方こなたながめやりつゝ
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
それもそんなに長い間の辛抱をいるのではない。大体今度の雪子の縁談が孰方どちらかに極まる迄の間、と思ってくれて差支えない。
細雪:03 下巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
桂木は其のまざるぜんの性質にふくしたれば、貴夫人がなさけある贈物にむくいるため——函嶺はこねを越ゆる時汽車の中でつた同窓の学友に、何処どちらへ、と問はれて
二世の契 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
『今日は何處どちらまで?』
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
見舞ひ或ひは永訣——そのどちらになるかは、東京を立つた時の彼には判らなかつた——のために大阪へ来たついでに、甥にさそはれて立寄つたのを機会に、しばらく逗留とうりうしたまでであつた。
(新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
どんつく布子ぬのこの袖組み合はせ、腕拱きつゝ迂濶〻〻うか/\歩き、御上人様の彼様あゝ仰やつたは那方どちらか一方おとなしく譲れと諭しの謎〻とは、何程愚鈍おろかおれにも知れたが、嗚呼譲りたく無いものぢや
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
下女「はい、いらっしゃいまし、何所どちらから」
『此人は一番ねえさんのお気質によく似て居るのでせうよ。何力どちらも強い者同志でびんと撥ねてるのですよ。』
帰つてから (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
「付かない事をお聞き申すやうですが、那処あすこにお父様とつさまとお話をしてゐらつしやるのは何地どちらの方ですか」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
男はほつと息をついた。そして謹んで電話をかけて石炭を催促した。石炭と女房かないと——双方どちらとも回復とりかへしたやうな嬉しさを感じたのは、それからものの十分も経つてからだつた。
四方どちらを見ても山また山でございまして、中を流るゝ山田川、其の川上は日向見川ひなたみがわより四万川に落る水で有りますから、トツ/\と岩に当って砕ける水の色は真青まっさおにして
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
二人は話もせず一緒に連れ立つて歩かうともしないで、他人のよそよそしさで歩き、誰方どちらも振り返ることはしなかつた。
神のない子 (旧字旧仮名) / 室生犀星(著)
「いいえ、貴方、那裡あちらのお客様が急ぐと有仰おつしやつてで御座いますものですから、さう申上げに参つたので御座いますが、それぢやまあ、那辺どちらへいらつしやいましたらう!」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)