何処どちら)” の例文
旧字:何處
今たしかには覚えていないが、かく、途中で逢っても、「今日こんにちは」「や何処どちらへ」と云う位の知合にはなっていた。
友人一家の死 (新字新仮名) / 松崎天民(著)
桂木は其のまざるぜんの性質にふくしたれば、貴夫人がなさけある贈物にむくいるため——函嶺はこねを越ゆる時汽車の中でつた同窓の学友に、何処どちらへ、と問はれて
二世の契 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
今詫びたからとて甲斐かひはなしと覚悟して、太吉、太吉と傍へ呼んで、お前はととさんの傍とかかさんと何処どちらが好い、言ふて見ろと言はれて、おいらはおとつさんは嫌い
にごりえ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
又「へい早速お聞き申したいことが有って参りましたが、貴方がたのお国は、何処どちらでございますかな」
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
そういうところへ寄って、三吉が豊世を休ませようとすると、かみさんが茶を運んで来て、「奥さんは、今日は何処どちらから?」などと聞く。豊世はハニカンでもいなかった。
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
何処どちらまでお出でゝすか。」と突然一人の男が余に声をかけた。
空知川の岸辺 (新字旧仮名) / 国木田独歩(著)
『今日は何処どちらまで?』
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
「では、何処どちらまで」
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
文「いゝえたくへ来てはいけません、私が喧嘩の中へ入ったなどと云う事を母が聞きますと心配致しますから、おいでは御無用です、貴方あなた御旅宿ごりょしゅく何処どちらでございますえ」
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
それも蒲団かぶつて半日も居ればけろけろとする病だから子細はなしさと元気よく呵々からからと笑ふに、亥之ゐのさんが見えませぬが今晩は何処どちらへか参りましたか、あの子も替らず勉強で御座んすかと問へば
十三夜 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
何処どちらへ?」とお雪は給仕しながら尋ねてみた。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
『貴君は何処どちらへ?』
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
どういう訳で私のとこへお出でなすって、人の娘をかどわかしたから名主へ届けるというのでがんす、其の次第を一通り承わった上で御挨拶を致しやすが、一体貴所方あなたがた何処どちらのお方でございやす
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「直樹さん、何処どちらへ?」と三吉が聞いてみた。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
久「へい、お嬢様は何処どちらのおゆういらっしゃいます」
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
『風間さん、何処どちらへ?』
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
文「只今のお方は何処どちらにおいでなさるな」
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
文「何処どちらの御藩中ですか」
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)