那方どちら)” の例文
社會は個人を視ること全社會の如くにし、個人は社會を視ること自己の如くするに至らずば、病根は那方どちらかに存して、輪番芽をなして永久に絶滅すまい。
努力論 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)
どんつく布子ぬのこの袖組み合はせ、腕拱きつゝ迂濶〻〻うか/\歩き、御上人様の彼様あゝ仰やつたは那方どちらか一方おとなしく譲れと諭しの謎〻とは、何程愚鈍おろかおれにも知れたが、嗚呼譲りたく無いものぢや
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
那方どちらを那方と判かぬる、二人のこゝろを汲みて知る上人もまた中〻に口を開かん便宜よすがなく、暫時は静まりかへられしが、源太十兵衞ともに聞け、今度建つべき五重塔は唯一ツにて建てんといふは汝達二人
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)