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怖
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こわ
ふりがな文庫
“
怖
(
こわ
)” の例文
そんなつもりでもないけれど、わたしも実は本道が
怖
(
こわ
)
いからね。七兵衛のような気味の悪い男に
跟
(
つ
)
けられたり、人を見ては
敵呼
(
かたきよば
)
わりを
大菩薩峠:08 白根山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
怖
(
こわ
)
がって——
暴
(
あば
)
れて——われとわが身をずたずたに引き裂いて——死んでしまうか——どんな悪いことになるかわからないからでさ。
二都物語:01 上巻
(新字新仮名)
/
チャールズ・ディケンズ
(著)
「なに大丈夫です、探偵の千人や二千人、風上に隊伍を整えて襲撃したって
怖
(
こわ
)
くはありません。
珠磨
(
たます
)
りの名人理学士水島寒月でさあ」
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
昆虫でも物に
怖
(
こわ
)
がったり不快なときは鳴かないにちがいない。昼間静かな雨がくる前に、何となく冷気をかんじるようなときにも鳴く。
螽蟖の記
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
まるで空き家にでも
坐
(
すわ
)
っている感じで、薄暗い電燈といい、シーンと静まり返った様子といい、なんだかゾッと
怖
(
こわ
)
くなるほどであった。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
▼ もっと見る
『あれほど、あぶないから、
花火小舎
(
はなびごや
)
へいってはいけないといったのに。』と
怖
(
こわ
)
い
顔
(
かお
)
をしてしかりましたので、
少女
(
しょうじょ
)
は
泣
(
な
)
き
出
(
だ
)
しました。
黒いちょうとお母さん
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「まあ、婆やは臆病ね。あの人なんぞ何人来たって、私はちっとも
怖
(
こわ
)
くないわ。けれどももし——もし私の気のせいだったら——」
影
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
先生は
怖
(
こわ
)
いから大変年をとった人だと思ったが、多分三十位だったかも知れない。お媼さんは先生のことを秋山が秋山がと言った。
旧聞日本橋:03 蕎麦屋の利久
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
この日は伝右衛門もいつぞやのような
怖
(
こわ
)
い顔の人でなかった。つかつかと歩み寄るなりその腕に、このいじらしいものを深々と抱いて
上杉謙信
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
一体
角力取
(
すもうとり
)
の愛敬というものは大きい
形
(
なり
)
で
怖
(
こわ
)
らしい姿で太い声の中に、
何
(
なん
)
となく
一寸
(
ちょっと
)
愛敬のあるものでのさり/\と歩いて参りまして
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
何だか分らないが
怖
(
こわ
)
そうな器械だとか、何だかむつかしそうな実験だとかいうものを見せるようなやり方も一つの方法であろう。
科学映画の一考察
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
東から来ると山の取付に三味線松という
天狗
(
てんぐ
)
が来て三味線を弾くという伝説の松があって、私なども少年の時はひどく
怖
(
こわ
)
かった。
怪譚小説の話
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
怖
(
こわ
)
かっただけで、無事にすんだのである。その顔色が、だんだん血の
気
(
け
)
を帯びてくるにつれて、不安と
驚愕
(
きょうがく
)
が、人々の心から消えて行く。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
鯛
(
たひ
)
の
子
(
こ
)
はくやしくつて
火
(
ひ
)
のやうに
眞赤
(
まつか
)
になりました。けれどまた
怖
(
こわ
)
くつて、
氷
(
こほり
)
のやうに
硬
(
こは
)
ばつてぶるぶる、ふるえてをりました。
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
怖気
(
おじけ
)
は自信力のとぼしい場合に起こることが多い。「自分はとうていこの
任
(
にん
)
に
堪
(
た
)
えられぬ」と思えば、手を出すことも
怖
(
こわ
)
くなる。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
それッというので、人々は
我勝
(
われが
)
ちに逃げ出した。しかしやがて、
怖
(
こわ
)
いもの見たさで、またソロソロと群衆は引きかえして来た。
地中魔
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
父さんも少し
怖
(
こわ
)
くなって来たらしいの。そんなことをたびたびやられちゃ、使うのに骨が折れるから、何なら思うようにしてくれというの。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
たいへん
怖
(
こわ
)
い顔になって、「坂本さんのお宅は、お行儀が
煩
(
うる
)
さいから、ちゃんとしたなりで、お前が行かないと、
花嫁
(
はなよめ
)
さんにはなれないよ」
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
何んのあいつが眠剤なものか! 毒も大毒
砒石
(
ひせき
)
だあね。……あいつを飲むと中納言様、即座に血へどをお吐きになり、
怖
(
こわ
)
やの怖やのご落命。
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
恐
(
おそ
)
ろしい
力
(
ちから
)
があって、
世間
(
せけん
)
から
怖
(
こわ
)
がられている
一人
(
ひとり
)
の
魔女
(
まじょ
)
でしたから、
誰一人
(
たれひとり
)
、
中
(
なか
)
へはいろうという
者
(
もの
)
はありませんでした。
ラプンツェル
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
したがって、こうわざと
畏
(
かしこ
)
まってますように見えるのもそのためでげして、あながち諸君を
怖
(
こわ
)
がってるわけではございません
猫八
(新字新仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
捨撥
(
すてばち
)
にしてからは恐ろしき者にいうなる
新徴組
(
しんちょうぐみ
)
何の
怖
(
こわ
)
い事なく
三筋
(
みすじ
)
取っても
一筋心
(
ひとすじごころ
)
に君さま大事と、時を
憚
(
はばか
)
り世を忍ぶ男を
隠匿
(
かくまい
)
し半年あまり
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
到底
(
とても
)
其の望は無いから、自分は淋しいやうな
怖
(
こわ
)
いやうな妙な心地で、
斷
(
た
)
えずびくつきながら、
悄々
(
しほ/\
)
とお
家
(
うち
)
の方へ足を向けた。
水郷
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
話が
佳境
(
かきょう
)
に入って来ると、ヘルンは恐ろしそうに顔色を変え、『その話、
怖
(
こわ
)
いです、怖いです』といっておののきふるえた。
小泉八雲の家庭生活:室生犀星と佐藤春夫の二詩友を偲びつつ
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
すると
向
(
む
)
こうから、年をとった野馬がやって
参
(
まい
)
りました。ホモイは少し
怖
(
こわ
)
くなって
戻
(
もど
)
ろうとしますと、馬はていねいにおじぎをして
言
(
い
)
いました。
貝の火
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
そしてずいぶん大きな声でしゃべり合っているので、私は、入ってゆくのが
怖
(
こわ
)
いような気がして、戸口でためらっていた。
宝島:02 宝島
(新字新仮名)
/
ロバート・ルイス・スティーブンソン
(著)
「そうやった。眼が
凄
(
すご
)
いように
釣
(
つ
)
り上がって、お園さんのあの細い首が抜け出たように長うなって、
怖
(
こわ
)
いこわい顔をして」
霜凍る宵
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
田舎
(
いなか
)
の方でもこの
霜月大師講
(
しもつきだいしこう
)
の晩だけは、娘たちが内庭の石臼の側を、
怖
(
こわ
)
がって馳けて通ったという話を、たしか越後の人に聴いたように思う。
年中行事覚書
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
という
見得
(
みえ
)
半分の意地っ張りから、
蔵前
(
くらまえ
)
人形問屋の若主人
清水
(
きよみず
)
屋伝二郎は、前へ並んだ小皿には箸一つつけずに、雷の
怖
(
こわ
)
さを払う下心も手伝って
釘抜藤吉捕物覚書:07 怪談抜地獄
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
かれは
怖
(
こわ
)
がつて慄ひ乍ら酒を
注
(
つ
)
いで出すと、異人は黙つて飲み乾し、また遊の方へ顔を向けて、
辺
(
あたり
)
には構ひませなんだ。
新浦島
(新字旧仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
「
怖
(
こわ
)
うはない、いち夜はおろか、ふた夜三夜でも、そなたが気ままな程に宿をとらせて進ぜるぞ。どこへ参る途中じゃ」
旗本退屈男:08 第八話 日光に現れた退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
犬は赤い眼を少し開いて、しまいには気を悪くしたらしい
唸
(
うな
)
り声を発した。すると子供らは、
怖
(
こわ
)
さと面白さとに声をたてながら四方へ逃げ散った。
ジャン・クリストフ:05 第三巻 青年
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
「
怖
(
こわ
)
がるこたァねえから、
後
(
あと
)
ずさりをしねえで、
落着
(
おちつ
)
いていてくんねえ。おいらァ
何
(
なに
)
も、
久
(
ひさ
)
し
振
(
ぶ
)
りに
会
(
あ
)
った
妹
(
いもうと
)
を、
取
(
と
)
って
食
(
く
)
おうたァいやァしねえ」
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
そのお乳母さんが話好きで、お子さんもお父様に
髯
(
ひげ
)
のあるのを
怖
(
こわ
)
がらず、お菓子があると、「これはバンコ(犬)に遣ろうか、森さんに上げようか」
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
「ふん。不実同士
揃
(
そろ
)
ッてやがるよ。平田さん、私がそんなに
怖
(
こわ
)
いの。
執
(
と
)
ッ
着
(
つ
)
きゃしませんからね、安心しておいでなさいよ。小万さん、
注
(
つ
)
いでおくれ」
今戸心中
(新字新仮名)
/
広津柳浪
(著)
「私の写真?」「うん」「写真は
怖
(
こわ
)
いわ。でも、昔の私の芸者時代の写真、戦地に送って上げたでしょう?」「どっかへおっことしちゃったなア……」
晩菊
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
其
(
その
)
目的
(
もくてき
)
は
凡
(
およ
)
そ三つに
分
(
わか
)
つことが
出來
(
でき
)
る。一は
怨
(
うらみ
)
を
報
(
はう
)
ずる
爲
(
ため
)
で一
番
(
ばん
)
怖
(
こわ
)
い。二は
恩愛
(
おんあい
)
の
爲
(
ため
)
で
寧
(
むし
)
ろいぢらしい。三は
述懷的
(
じゆつくわいてき
)
である。一の
例
(
れい
)
は
數
(
かぞ
)
ふるに
遑
(
いとま
)
がない。
妖怪研究
(旧字旧仮名)
/
伊東忠太
(著)
「好きじゃないが、そんなに嫌いでもありませんよ、でも、若い女が雷鳴が
怖
(
こわ
)
くないなんて、平気な顔をしていると、色気がなくて変じゃありませんか」
銭形平次捕物控:236 夕立の女
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
おトンカチとバットは
薮
(
やぶ
)
の中にあった。杉山も
怖
(
こわ
)
くて奥へはいらなかったから、探すのにめんどうがなかった。
苦心の学友
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
それでも
怖
(
こわ
)
い物見たさ聞きたさに、いつも小さいからだを固くして一生懸命に怪談を聞くのが好きであった。
半七捕物帳:01 お文の魂
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
彼は
怖
(
こわ
)
くなって、早々に研究報告を
纏
(
まと
)
め上げ、これをアシュル・バニ・アパル大王に
献
(
けん
)
じた。
但
(
ただ
)
し、中に、若干の政治的意見を加えたことはもちろんである。
文字禍
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
「君にも解らないじゃ、仕様が無いね。で、一体君は、そうしていて
些
(
ちっ
)
とも
怖
(
こわ
)
いと思うことはないかね?」
子をつれて
(新字新仮名)
/
葛西善蔵
(著)
けれども、今はもう彼女は自分の病気が癒ることが
怖
(
こわ
)
かった。ノルマンディーのながい冬が恐ろしかった。
初雪
(新字新仮名)
/
ギ・ド・モーパッサン
(著)
ニイナ まあ、なんて
怖
(
こわ
)
い顔! そんなことでは柳さんに逃げられてしまうって言うのよ。ねえ、柳さん。
安重根:――十四の場面――
(新字新仮名)
/
谷譲次
、
林不忘
(著)
手術と決ってはいたが、手術するまえに体に
力
(
りき
)
をつけておかねばならず、
舶来
(
はくらい
)
の薬を毎日二本ずつ入れた。一本五円もしたので、
怖
(
こわ
)
いほど病院代は嵩んだのだ。
夫婦善哉
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
「飲みなれないものですから、
怖
(
こわ
)
いんですよ。なんでも、煙草を飲むと痩せると言うじゃありませんか。」
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
「わたし、あの時は実に
怖
(
こわ
)
かったわ。顔がこんなよ。」と
手真似
(
てまね
)
をして、玉子が
一伍一什
(
いちぶしじゅう
)
を
委
(
くわ
)
しく話した。
ひかげの花
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
そこで二人は、
怖
(
こわ
)
い家主が立ち去ったのを見ると、またもとの家の
軒下
(
のきした
)
へこっそりとしのび
寄
(
よ
)
りました。
神様の布団
(新字新仮名)
/
下村千秋
(著)
さみしさ凄さはこればかりでもなくて、曲りくねッたさも悪徒らしい古木の
洞穴
(
うろ
)
には
梟
(
ふくろ
)
があの
怖
(
こわ
)
らしい両眼で月を
睨
(
にら
)
みながら
宿鳥
(
ねとり
)
を引き裂いて
生血
(
なまち
)
をぽたぽた……
武蔵野
(新字新仮名)
/
山田美妙
(著)
其時の彼れが顔附は
何処
(
どこ
)
とも無く悪人の
相
(
そう
)
を帯び一目見るさえ
怖
(
こわ
)
らしき程なりき、是さえあるに或午後は又彼れが
出行
(
いでゆ
)
かんとするとき其細君が
閾
(
しきい
)
の
許
(
もと
)
まで送り出で
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
怖
常用漢字
中学
部首:⼼
8画
“怖”を含む語句
恐怖
怖々
可怖
驚怖
怖気
畏怖
怖毛
物怖
怖怖
空怖
恐怖心
懼怖
恐怖症
怖気立
怖気付
大畏怖
利牙爪可怖
怖氣
怖畏
怖味
...