おぞ)” の例文
それは、おどろおぞましい色であり、もやであって、その物凄まじいおののきには、自分の心臓すらも、観客は見出せないほどであった。
人魚謎お岩殺し (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
沈黙の中でじっと虚空から見つめているものがある気がして、なにか由々しいおぞましげな力が、ぞくぞくと身の上に襲いかかってくるのを感じた。
潜航艇「鷹の城」 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
すると、おどろおぞましい薄ドロにつれて、下手から、こもをかぶった一枚の杉戸が流れ寄る。
人魚謎お岩殺し (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
こわばりまでした父が——しかも八尺もの地下に葬られたはずの父が、いつの間にか船に乗り込んでいて、私の前に、あのおぞましい姿を現わしたのですから、私は、土をかき分け
紅毛傾城 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)