“おつか”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
阿母32.1%
御母8.9%
8.9%
追駆7.1%
追掛7.1%
御遣5.4%
母親3.6%
追駈3.6%
尊母3.6%
3.6%
義母1.8%
追懸1.8%
養母1.8%
亡母1.8%
実母1.8%
御仕1.8%
御使1.8%
御勞1.8%
御捕1.8%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
長田氏の阿母おつかさんは、こんな考へで、今では洋食屋の前を通る時は、袖で鼻を押へて小走りにあたふた駈けぬける事にしてゐる。
「それはさうだけれど、どうも貫一かんいつさんの事が気になつて。御父おとつさんはもう貫一さんに話をすつたらうか、ねえ御母おつかさん」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
「うるさかつたのかい。わたしおつかさんの、田舎ゐなかのおてらへお墓参はかまゐりにつたんでね。昨夜ゆうべはやてしまつたんだよ。」
吾妻橋 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
をとこは、をんなたましひ時鳥ほとゝぎすつたゆめて、しろ毛布けつとつゝんでらうと血眼ちまなこ追駆おつかまはさう……寐惚面ねぼけづらるやうだ。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
足音あしおとは向ふへ遠退とおのいて行く。三四郎は庭先にはさきへ廻つて下駄を突掛つゝかけた儘孟宗藪の所から、一間余の土手を這ひ下りて、提燈のあとを追掛おつかけて行つた。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
せっかく御求め被下候くだされそうらえども少々大きく候間そろあいだ、帽子屋へ御遣おつかわしの上、御縮め被下度候くだされたくそろ
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
『しかし、』とお志保はすゞしいひとみを輝した。『父親おとつさんや母親おつかさんの血統ちすぢ奈何どんなで御座ませうと、それは瀬川さんの知つたことぢや御座ますまい。』
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
翌日あくるひ、私が一人裏伝ひの畑の中の路を歩いてると、お和歌さんが息をきらして追駈おつかけて来て、五本だつたか十本だつたか、黒羊※をどつさり呉れて行つた事がある。
刑余の叔父 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
さうして私も雅さんと一処に肩身が狭くなりたいのですから。さうでなけりや、子供の内からあんなに可愛かはいがつて下すつた雅さんの尊母おつかさんに私は済まない。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
少許すこし開けた扉が、誰の力ともなく、何時の間にか身体の通るだけ開くと、田舎の子供といふものは因循なもので、盗みでもする様におつかびつくり、二寸三寸と物も言はず中に入つて行つて
天鵞絨 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
⦅さうなつたら、あたし、どこで義母おつかさんにでつくはさうが、間違つても挨拶なんかしてやらないから。どんなに猛らうが狂はうがかまやしない。
ねえ義母おつかさん、いくらあんただつて、もう自分の継娘をひつぱたいたりなんか出来ないことよ! あたしや、砂が石の上で芽をふくことがあつたつて
這箇こつちは気が気ぢやないところへ、もう悪漆膠わるしつこくてたまらないから、病気だとつて内へげて来りや、すぐ追懸おつかけて来て、附絡つきまとつてゐるんでせう。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
「今お留守へ行きまして、此処ここだといふのを聞いて追懸おつかけて来た訳です。熱いぢやないですか」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
養母おつかさん、わたしを食つた其鬼が、お前の難有ありがたがる大臣サ、総理大臣の伊藤ツて人鬼サ、——私もネ、其れまでは世間なみの温順おとなしむすめだつたことを覚えてますよ
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
花吉は瞑目めいもくしてかしらを垂れぬ「其の御講釈なら、養母おつかさん、最早もう承はるに及びません、何の因果いんぐわでお前の手などに拾はれたものかと、前世の罪業が思ひやられますのでネ」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
亡母おつかさん其儘そのまゝらつしやるんですもの——此の洋琴オルガンはゼームスさんが亡母さんの為めに寄附なされたのですから、貴嬢が之をお弾きなされば
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
老女は袖口にまぶたぬぐひつ「何ネ、——又た貴嬢あなた亡母おつかさんのこと思ひ出したのですよ、——斯様こんな立派な貴嬢の御容子ごようすを一目亡奥様せんのおくさんにお見せ申したい様な気がしましてネ、——」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
貴嬢の実母おつかさんは実に偉い方であつたさうですし、父さんも未だ堕落以前の人であつたんだから——けれど其の為めに姉さんが僕を軽蔑けいべつしたり、なんかなさる人でないことを確信してるから
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
雛人形ひなにんぎやうの様だよ——私も早くお前さんのあゝした容子ようすを見たいと、其ればつかりが、親のたのしみだアね、大きな娘を何時いつまでも一人で置いては、世間体も悪るし、第一草葉の蔭のお前の実母おつかさんに対して
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
御覧遊ばしませ。王もマリ子も、貴方様の幻想につれて、これから御意のままの御仕おつかえを致すでございましょう。それからあの小窓から、外を
西湖の屍人 (新字新仮名) / 海野十三(著)
せておまへさまは何故なぜそのやうに御心おこゝろよわいことおほせられるぞ八重やへ元來もとより愚鈍ぐどんなり相談はなしてからが甲斐かひなしとおぼしめしてかれぬ御使おつかひも一しんは一しん先方かなたさまどのやう御情おなさけしらずでらうともつらぬかぬといふことあるやうなしなにともしておのぞ屹度きつとかなへさせますものを
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
知りて付込れなば如何なる變事へんじの出來んも知れずいづれにも又々明日馬喰町へ行きて尋ね當り次第市之丞へ渡す迄ははなはだ以て心遣ひなりと云に女房も御道理ごもつともなり今日は終日ひねもす尋ねあぐまれさぞかし御勞おつかれならんにより貴郎あなたよひうち御臥おやすみありて夜陰よはよりは御心だけもねむり給は
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
御捕おつかまりなさい」
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)