御母おつか)” の例文
「さう自任してゐちや困る。実は君の御母おつかさんが、うちの婆さんに頼んで、君を僕のうちへ置いて呉れまいかといふ相談があるんですよ」
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「それはさうだけれど、どうも貫一かんいつさんの事が気になつて。御父おとつさんはもう貫一さんに話をすつたらうか、ねえ御母おつかさん」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
それも君一人ならだね。彼麽あんな年老としとツた伯母さんを、………………………今迄だツて一日も安心さした事ツて無いんだが、君にやたつた一人の御母おつかさんぢやないか、此以後このさき一体どうする積りなんだい。
漂泊 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
辣薑らつきやう性の美人——御母おつかさんが君に宜しく云つて呉れつてことだ。しかし其はあの辺も穏やかな様だ。轢死もあれぎりないさうだ
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「さあ、行つて見ませう。御母おつかさんから御許おゆるしが出たから可いではありませんか、ねえ、貴方あなたよろしいでありませう」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
此間このあひだ御光さんの御母おつかさんがて、三四郎さんも近々大学を卒業なさる事だが、卒業したらうちむすめを貰つて呉れまいかと云ふ相談であつた。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
御母おつかさんも一処に御出おいでなさいな」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
此羽織は、三輪田の御光さんの御母おつかさんが織つて呉れたのを、紋付もんつきに染めて、御みつさんが縫ひげたものだと、はゝの手紙に長い説明がある。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
此間このあひだはら御母おつかさんがて、まあ貴方あなたほど氣樂きらくかたはない、何時いつても萬年青おもとばかり丹念たんねんあらつてゐるつてね。眞逆まさかうでもいんですけれども
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「だつて、御母おつかさんやにいさんから云つたら、一日いちにちも早く君に独立してもらひたいでせうがね」
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
うちばあさんは、あなたの御母おつかさんを知つてるんだつてね」
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)