養母おつか)” の例文
養母おつかさん、わたしを食つた其鬼が、お前の難有ありがたがる大臣サ、総理大臣の伊藤ツて人鬼サ、——私もネ、其れまでは世間なみの温順おとなしむすめだつたことを覚えてますよ
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
花吉は瞑目めいもくしてかしらを垂れぬ「其の御講釈なら、養母おつかさん、最早もう承はるに及びません、何の因果いんぐわでお前の手などに拾はれたものかと、前世の罪業が思ひやられますのでネ」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
其の後影ながめ遣りたる花吉、「の児の寿命もコヽ二三年だ——養母おつかさん、最早もう罪造りも大抵におしなねエ」言ひ棄てて起ち上がりつ、お六の叫ぶ「畜生」をフハリ聞き流がして
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)