追掛おつか)” の例文
恐入おそれいりました。うぞ此方こつちへ。貴方あなた御一所ごいつしよに、後生ごしやうですから。……背後うしろから追掛おつかけてるやうでらないんですもの。」
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
足音あしおとは向ふへ遠退とおのいて行く。三四郎は庭先にはさきへ廻つて下駄を突掛つゝかけた儘孟宗藪の所から、一間余の土手を這ひ下りて、提燈のあとを追掛おつかけて行つた。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
察しるがいつて、そりや貴方、お互ぢやありませんか。ああ、私は今だに胸が悸々どきどきして、後から追掛おつかけられるやうな気持がして、何だか落着かなくて可けない
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
おれやしなつて置くからには、おれの手をくぐらゐは当然あたりまいだ、なにやアがるつて立上たちあがつて戸外そとへ出たが、おれが見えないから追掛おつかけて出ても仕様しやうはなし、あんなやつにまで馬鹿ばかにされると腹を立つのを
心眼 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)