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阿母
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おつか
ふりがな文庫
“
阿母
(
おつか
)” の例文
『マア然うですか、
阿母
(
おつか
)
さんも御一緒に! ……それにしても立見さんの方よりは窮屈でない訳ですわねえ、当分の事ですから。』
札幌
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
長田氏の
阿母
(
おつか
)
さんは、こんな考へで、今では洋食屋の前を通る時は、袖で鼻を押へて小走りにあたふた駈けぬける事にしてゐる。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
『家が戀しくなつたんだな。……これから
直
(
す
)
ぐ歸へれば、
夜半
(
よなか
)
までには着くよ。……
阿母
(
おつか
)
さんの顏も見られるし。お
聟
(
むこ
)
さんの顏もね。……』
東光院
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
阿母
(
おつか
)
さんにさう言れるから、私は不断は
怺
(
こら
)
へてゐるのです。今日ばかり存分に言はして下さい。今日言はなかつたら言ふ時は有りませんよ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
「
阿父
(
おとつ
)
さんや
阿母
(
おつか
)
さんにもよろしく云つてください。病人も御覧の通りで、もう心配することはありませんから。」と、大野屋の
伯母
(
おば
)
は云つた。
影を踏まれた女:近代異妖編
(新字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
▼ もっと見る
貴嬢
(
あなた
)
は
何
(
なに
)
をおつしやいます
今
(
いま
)
まで
彼
(
あ
)
れ
程
(
ほど
)
お
待遊
(
まちあそ
)
ばしたのに
又
(
また
)
そんなことをヱお
心持
(
こゝろもち
)
がおわるひのならお
薬
(
くすり
)
をめしあがれ
阿母
(
おつか
)
さまですか
阿母
(
おつか
)
さまはうしろに。
闇桜
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
阿母
(
おつか
)
さんの云はれるには、これもこんな身體に成つて、もう女として人並に家庭生活を營むことも出來ない。
「青白き夢」序
(旧字旧仮名)
/
森田草平
(著)
『お前にも
阿母
(
おつか
)
さんにも
迷惑
(
めいわく
)
は掛け無い。わしの
友人
(
ともだち
)
が来て知らぬ
間
(
ま
)
に
連
(
つ
)
れ出したとお言ひ。』
蓬生
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
(著)
皆さんが立派な奥様におなりなすつたり、
阿母
(
おつか
)
さんにおなりなすつた
御容子
(
ごようす
)
を拝見する程
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
「だけど、
阿母
(
おつか
)
さん、そりや
阿父
(
おとつ
)
さんが生きてお
在
(
いで
)
だツたら、此様に
世帶
(
せたい
)
の苦勞をしないでゐられるかも知れないけれども、其の
代
(
かわり
)
また何様な苦勞かあるか知れたもんじやないのね。」
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
「奥さん本所の
阿母
(
おつか
)
さんが御病気ださうで。余程お悪いんですか。」
のらもの
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
文学者の
長田
(
ながた
)
秀雄、幹彦二氏の
阿母
(
おつか
)
さんに妙な病気がある。妙な病気といふのは、洋食を食ふと、屹度赤痢になるといふのだ。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
阿母
(
おつか
)
さん、柿はあゝやつて、
自然
(
ひとりで
)
に
生
(
な
)
つてゐるんやおまへんか。人間に喰べさせようと思うて生つてゐるんやおますまい。
石川五右衛門の生立
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
旦那の又直ぐ後を、白地の浴衣を着た藤野さんの
阿母
(
おつか
)
さん、何かしら手に持つた儘、火の様に熱した礫の道路を裸足で……
二筋の血
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
阿父
(
おとつ
)
さんや
阿母
(
おつか
)
さんの身になつたら、さう思ふのは無理も無いけれど、どうもこのままぢや私が気が済まないんですもの。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
こゝに
居
(
ゐ
)
るよお
千代
(
ちよ
)
や
阿母
(
おつか
)
さんだよいゝかへ
解
(
わか
)
つたかへお
父
(
とつ
)
さんもお
呼申
(
よびまを
)
したよサアしつかりして
薬
(
くすり
)
を
一口
(
ひとくち
)
おあがりヱ
胸
(
むね
)
がくるしいアヽさうだらう
此
(
この
)
マア
汗
(
あせ
)
を
闇桜
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
今日
(
けふ
)
は日曜なので
阿母
(
おつか
)
さんが貢さんを
起
(
おこ
)
さずに
静
(
そつ
)
と寝かして置いた。で、貢さんの
目覚
(
めざ
)
めたのは朝の九時頃であつた。十歳に成る貢さんは
独
(
ひとり
)
で
衣服
(
きもの
)
を着替へて台所へ出て来た。
蓬生
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
(著)
それだから気が
鬱
(
ふさ
)
いだり、からだが悪くなつたりして、お
父
(
とつ
)
さんや
阿母
(
おつか
)
さんも心配するやうになるのだ。そんなことを忘れてしまふために、今夜は遅くなるまで歩かうぢやないか。
影を踏まれた女:近代異妖編
(新字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
おしづさんが安倍能成君の紹介で、
阿母
(
おつか
)
さんに連れられて私の許へ來たのは、今から
恰度
(
ちやうど
)
六年前の春の末だつたらうと記憶してゐます。何でも其當座は毎日のやうに遣つて來ました。
「青白き夢」序
(旧字旧仮名)
/
森田草平
(著)
お
亡
(
なくなり
)
なさつた前の奥様を思ひ出しますよ、あれはゼームスさんて宣教師さんの寄進なされた洋琴で、梅子さんの
阿母
(
おつか
)
さんの雪子さんとおつしやつた方が、それをお
弾
(
ひ
)
きなすつたのです
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
「
阿母
(
おつか
)
さん済まないけれど、二十円ばかり借りられないか知ら。」
のらもの
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
ところが、この
頃
(
ごろ
)
長男の秀雄氏の結婚談が持上つてゐるので、
阿母
(
おつか
)
さんはその披露の宴会を何処にしたものかと、今から頭痛に病んでゐる。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
二人の
小妹
(
いもうと
)
は、早く帰つて
阿母
(
おつか
)
さんに知らせると言つて、
足調
(
あしなみ
)
揃へてズン/\先に行く。松蔵は大跨にその後に
跟
(
つ
)
いた。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
『
御大家
(
ごたいけ
)
のお孃樣……だか、奧樣だか、……
阿母
(
おつか
)
さん……だか知らないが、お
駕籠
(
かご
)
にでも召さないとお疲れになるんだね。』と、小池は
冷
(
ひやゝ
)
かに笑つた。
東光院
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
それもこれも知つてゐながら、
阿父
(
おとつ
)
さんを踏付にしたやうな
行
(
おこなひ
)
を為るのは、
阿母
(
おつか
)
さん
能々
(
よくよく
)
の事だと思つて下さい。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
良
(
りやう
)
さんは。
良
(
りやう
)
さんはお
前
(
まへ
)
の
枕元
(
まくらもと
)
にそら
右
(
みぎ
)
の
方
(
はう
)
においでなさるよ。
阿母
(
おつか
)
さん
良
(
りやう
)
さんにお
帰
(
か
)
へりを
願
(
ねが
)
つて
下
(
くだ
)
さい。
何故
(
なぜ
)
ですか
僕
(
ぼく
)
が
居
(
ゐ
)
ては
不都合
(
ふつがふ
)
ですかヱ
居
(
ゐ
)
てもわるひことはあるまい。
闇桜
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
耶蘇基督
(
イエスクリスト
)
と云ふお方の御誕生日を、御一所にお祝ひ
致
(
い
)
たさうと思つたからです、
貴所方
(
あなたがた
)
も
皆
(
みん
)
な生れなすつた日がある、其日になると、
阿父
(
おとつ
)
さんや、
阿母
(
おつか
)
さんが、今日は誰の誕生日だからと
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
阿母
(
おつか
)
さんが
裸体
(
はだか
)
の上から掛けて
遣
(
や
)
つたらしい赤い毛布はずれ落ちて居た。
蓬生
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
(著)
十吉
阿母
(
おつか
)
さん、このくらゐでよからうか。
箕輪の心中
(旧字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「さう。
阿母
(
おつか
)
さんも有つたの。」娘は
護謨
(
ごむ
)
人形のやうに急に母親に飛びついた。「やつぱり
往時
(
むかし
)
も今も同じだわねえ。」
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
『左樣、根治とはまあ行き難い病氣ですが、……何卒。』と信吾の莨を一本取り乍ら、『
撒里矢爾酸曹達
(
さるちるさんそうだ
)
が
阿母
(
おつか
)
さんのお體に合ひました樣で……。』
鳥影
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
お前の
家
(
うち
)
は昔から
阿母
(
おつか
)
さんが東京好きで、長火鉢まで東京風の
縁
(
ふち
)
の
狹
(
せま
)
い奴を
態々
(
わざ/\
)
取り寄せて、
褞袍
(
どてら
)
か
何
(
なん
)
か着込んで其の前へ
新橋邊
(
しんばしへん
)
の
女將
(
おかみ
)
さんみたいにして坐つてゐたが
東光院
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
教授某氏は、物心のつく時分から、一度
開
(
あ
)
けてみたくて仕方がなかつたが、その都度信心深い
阿母
(
おつか
)
さんに止められて残り惜しさうに思ひ
止
(
とま
)
つてゐた。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
藤野さんは、其以前、村から十里とも隔たらぬ盛岡の市の学校にゐたといふ事で、近江屋の分家の、呉服屋をしてゐる
新家
(
しんけ
)
といふ家に、
阿母
(
おつか
)
さんといふ人と二人で来てゐた。
二筋の血
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
「ええ、入つてたわ。あたし自分ではそんなに長らくとも思はなかつたけど……
阿母
(
おつか
)
さん見てらしつたの。」
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
『
阿母
(
おつか
)
さんも酷いわね。迎ひなら昌作さんでなくたつて可いのに!』と独語の様に呟いた。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
「そんなに怖い目して見るのは厭!」娘は
嬌
(
あま
)
えたやうに
頭
(
かぶり
)
をふつた。「ねえ、
阿母
(
おつか
)
さん、
阿母
(
おつか
)
さんも結婚
前
(
ぜん
)
に
宅
(
うち
)
の
阿父
(
おとう
)
さんと一緒に温室に入つた事があつて。」
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
『
阿母
(
おつか
)
さんから。』と低く言つて、二度許り
歔欷
(
すすり
)
あげた。
二筋の血
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
すると、近頃
阿母
(
おつか
)
さんが亡くなつたので、教授は一七
日
(
か
)
の
回向
(
ゑかう
)
を済ますと、直ぐ封を解きにかゝつた。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
『だつて
阿母
(
おつか
)
さんが
那麽
(
あんな
)
に待つてますもの。』
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
「
阿母
(
おつか
)
さんですか、
阿母
(
おつか
)
さんは
貴女
(
あなた
)
、亡くなりましてから、今日で三
月
(
つき
)
余りにもなりますよ。」
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
“阿母”の意味
《名詞》
母親を敬い、親しみをこめていう語。
乳母。
(出典:Wiktionary)
阿
漢検準1級
部首:⾩
8画
母
常用漢字
小2
部首:⽏
5画
“阿母”で始まる語句
阿母様
阿母樣
阿母加奈志
阿母嘉那志