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怖
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おび
ふりがな文庫
“
怖
(
おび
)” の例文
職員室には、十人
許
(
ばか
)
りの
男女
(
をとこをんな
)
——何れも
穢
(
きたな
)
い
扮装
(
みなり
)
をした百姓達が、物に
怖
(
おび
)
えた様にキヨロ/\してゐる尋常科の新入生を、一人づゝ伴れて来てゐた。
足跡
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
京子の片手は何かに
怖
(
おび
)
え
慄
(
ふる
)
えて加奈子の膝の上に置かれた。加奈子はその手を見詰めて居るうちに、二十年前の二人の少女時代の或る場面を想い出した。
春:――二つの連作――
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
何かに追ッたてられてるように山道をのぼりながら、激してくると
凹
(
へこ
)
んだ眼が
怖
(
おび
)
えたように光った。
冬枯れ
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
竹
(
たけ
)
を
伐
(
き
)
つて
束
(
つか
)
ねたやうに
寸隙
(
すんげき
)
もなく
簇
(
むら
)
がつて
居
(
ゐ
)
る
其
(
そ
)
の
爪先
(
つまさき
)
に
蹴
(
け
)
られては
怖
(
おび
)
えに
怖
(
おび
)
えた
草木
(
さうもく
)
は
皆
(
みな
)
聲
(
こゑ
)
を
放
(
はな
)
つて
泣
(
な
)
くのである。さうしてもう
泣
(
な
)
かねば
成
(
な
)
らぬ
時間
(
じかん
)
が
迫
(
せま
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
何十万の陸軍、何万トンの海軍、幾万の警察力を擁する堂々たる明治政府を以てして、数うるほどもない、しかも手も足も出ぬ者どもに対する
怖
(
おび
)
えようもはなはだしいではないか。
謀叛論(草稿)
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
▼ もっと見る
君たちを
怖
(
おび
)
やかした統さんの高笑いと、自慢の長い
睫毛
(
まつげ
)
とを思い出してくれたまえ。
二十歳のエチュード
(新字新仮名)
/
原口統三
(著)
私はそのうち板の間に並んだ女中部屋から
烈
(
はげ
)
しい男の寝息の
聞
(
きこ
)
えて来るのに気が附くと云ふのです。二人の女中と一足の長靴と云ふことで私は
暫
(
しばら
)
く
怖
(
おび
)
えさせられて居ると云ふのです。
遺書
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
男は
室
(
へや
)
の隅から鉄砲を持ちだすが早いか、銃身をはねかえして
薬莢
(
たま
)
を
二個
(
ふたつ
)
挿しこんで、それから、射撃するために窓を開けようとしたが、ふと、子供が銃声に
怖
(
おび
)
えてはいけないと気づいたので
生さぬ児
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
「医者の申すには、
一時
(
いっとき
)
物に
怖
(
おび
)
えたので、格別のこともないそうな」
大菩薩峠:02 鈴鹿山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「何、抱ッこで寝るッ、若い奴等、気の
悪
(
わり
)
い
談話
(
はなし
)
をしてるな。」と表の戸がらりと開け、乱髪の間より鬼の面をぬっと出すは、これ鉄蔵という人間の顔なり。これに
怖
(
おび
)
えてかの女の児は
遁出
(
にげだ
)
したり。
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
妹の声が次第に
怖
(
おび
)
えた調子に変って来た。
一足お先に
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
職員室には、十人許りの男女——何れも穢ない
扮裝
(
みなり
)
をした百姓達が、物に
怖
(
おび
)
えた樣にキョロ/\してゐる尋常科の新入生を、一人づゝ伴れて來てゐた。
足跡
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
お蘭は、世の中の雑音には極めて
怖
(
おび
)
え易く唯一人、自分だけ静な安らかな瞳を見せる
野禽
(
やきん
)
のような四郎をいじらしく思った。彼女はこの人並でないものに何かと
労
(
いたわ
)
りの心を配ってやった。
みちのく
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
暗い
怖
(
おび
)
えが身に迫る。
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
お蘭は、世の中の雑音には極めて
怖
(
おび
)
え
易
(
やす
)
く
唯
(
ただ
)
一人、自分だけ静な安らかな
瞳
(
ひとみ
)
を見せる
野禽
(
のどり
)
のような四郎をいじらしく思った。
彼女
(
かのじょ
)
はこの人並でないものに何かと
労
(
いたわ
)
りの心を配ってやった。
みちのく
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
常に
怖
(
おび
)
え
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
怖
常用漢字
中学
部首:⼼
8画
“怖”を含む語句
恐怖
怖々
可怖
驚怖
怖気
畏怖
怖毛
物怖
怖怖
空怖
恐怖心
懼怖
恐怖症
怖気立
怖気付
大畏怖
利牙爪可怖
怖氣
怖畏
怖味
...