“こえ”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:コエ
語句割合
80.8%
6.2%
肥料2.4%
2.2%
声音1.3%
1.1%
0.9%
0.7%
廐肥0.4%
0.4%
大儀0.2%
一声0.2%
0.2%
低声0.2%
合唱0.2%
吼声0.2%
喉声0.2%
声色0.2%
0.2%
渡渉0.2%
0.2%
祈祷0.2%
0.2%
肥満0.2%
0.2%
音声0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
あるのこと、むすめは、やまはやしなかへいつものごとくはいってゆきました。すると一のかわいらしい小鳥ことりが、いいこえいていました。
ふるさとの林の歌 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ねかへさうとすれば、はゝおほきなこええたからだが、澤庵漬たくあんづけのやうに細つこいあたしの上に乘つて、ピシヤンコにつぶしてしまふ。
お灸 (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
老夫人と差向いの時に「お日和ひよりがこう続いては麦の肥料こえが利くまいのう」とか、「悪い時に風が出たなあ。非道ひどうならにゃえが」
梅津只円翁伝 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
熊本県の南部でケサカケ、嶺をこえて宮崎県の西隅でもケサバナというのは、やはり同じように折って首に掛ける風があったからと思う。
「ハハハハハハ、お前はとうとう本音を吐いたね」廣介の声音こえは、いやに落ちついていましたが、どこか自暴自棄の調子を隠すことは出来ませんでした。
パノラマ島綺譚 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
ベンジャミン・ガンがこええんで、みんなあの山の上へ逃げちまったよ。ああ! そこにはばかがある。
こゑわめこえあはれ救助たすけもとむるこゑは、すさまじき怒濤どとうおと打交うちまじつて、地獄ぢごく光景ありさまもかくやとおもはるゝばかり。
前編ぜんへんのせたる三国嶺みくにたふげは、牧之老人が草画さうぐわならひて京山私儲わたくしして満山まんざん松樹まつのきゑがけり。越遊ゑついうの時三国嶺をこえしに此嶺このたふげはさらなり、前後の連岳れんがくすべて松を見ず。此地にかぎらず越後は松のすくなき国なり。
二人はかじきに雪をこぎつゝ(雪にあゆむを里言にこぐといふ)たがひこゑをかけてたすけあひからうじてたふげこえけるに、商人あきひと農夫のうふにいふやう、今日の晴天に柏崎かしはざきまでは何ともおもはざりしゆゑ弁当べんたうをもたず
大儀こええにもよそら、そんでもりやくやんな、以前めえかたをんなに三ねんつくらせちやはたけ出來できなくなるつちつたくれえだ」
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
ふかうなつちや逆旋毛さかさつむじてるてえでりつけねえぢやなんぼ大儀こええかよなあ、そんだがいまぢや、われはうれよりふけえつくれえだなんておとつゝあにやはれんのよ
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
黄金こがねの鈴を振るごとく、ただ一声こえ、コロリン、と琴が響いた。
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「ああ、とおしてあげる。」と、いって、まさちゃんは、材木ざいもくこえこしをかけながらヨシさんのってきた、いとはりを、自分じぶんふとくて、みじかゆびりました。
左ぎっちょの正ちゃん (新字新仮名) / 小川未明(著)
膝を掴む大次郎の手が、悲憤の思い出にわなわなと打ちふるえるのを、法外は温みのもった、だが、きっとした低声こえ
煩悩秘文書 (新字新仮名) / 林不忘(著)
間もなく彼らの立ち去った方から読経の合唱こえが聞こえて来た。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
その吼声こえと、風のうなりと、樹々を打つ雨の音を聞くと、静かなへや内部なかが一しお暖かそうに思われ、そこにじっともだしている婦人おんなの姿が、何となく懐かしい感じをさえも与えるのであった。
犬舎 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
「ああ、……ああ、……」おかやの口を衝いて、唖者に独特の哀しい喉声こえが洩れた。
日本婦道記:二十三年 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
といった声は、正しく女の声で、黒吉の鼓膜に残っている声色こえであった。
夢鬼 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
もし父親ちちおやが、こんなあらしつよばんに、うみをこいでこえってこられたなら、方角ほうがくもわからないので、どんなにか難儀なんぎをなされるだろうと、こうかんがえると、むすめはもはや
ろうそくと貝がら (新字新仮名) / 小川未明(著)
河はもうこの一降ひとふりで水量みずかさを増していた。濁流が瀬の石に白い泡を噛んでいる。五条まで下がれば橋はあるが、範宴は浅瀬を見まわしてそこを渡渉こえて行こうとする。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
去年きよねんくれにや味噌みそくつちんではたれえたぜねしほまでつたんだな、れもこえめねえから味噌みそなくつちややうねえな
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
それほど祈祷こえ神々こうごうしく武者之助の一団にも聞こえて来た。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
この内こえの価五十貫江戸へ船賃二両二分運賃四十貫を引き、全く二十八貫七百五十文が得分なり。ただしこの五段の内三段へ麦を作り六斛ばかりも得べし。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
また思ふ、柑子かうじたな愛想あいそよき肥満こえたる主婦あるじ
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
ここには鳥のこえ、散る花などの印象が、単に暦の知識という以上に複雑な連想によって、屈曲されつつ現わされている。
日本精神史研究 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
彼は相変らず弱々しい体躯を凭椅子に埋めて新聞を読んでいたが、音声こえだけはいつものように元気だった。
日蔭の街 (新字新仮名) / 松本泰(著)