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肥
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こえ
ふりがな文庫
“
肥
(
こえ
)” の例文
丁度僕がゐるときこの二人が総理大臣になつたあげく立廻りに及び各々
肥
(
こえ
)
ビシャクをふりまはして町中くさくしてしまつたことがあつた。
居酒屋の聖人
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
跳
(
は
)
ねかへさうとすれば、
母
(
はゝ
)
の
大
(
おほ
)
きな
肥
(
こえ
)
えた
體
(
からだ
)
が、
澤庵漬
(
たくあんづけ
)
のやうに細つこいあたしの上に乘つて、ピシヤンコにつぶしてしまふ。
お灸
(旧字旧仮名)
/
長谷川時雨
(著)
また、
暑
(
あつ
)
い
日盛
(
ひざか
)
りには、
楽
(
らく
)
に
暮
(
く
)
らしているような
人々
(
ひとびと
)
は、みんな
昼寝
(
ひるね
)
をしている
時分
(
じぶん
)
にも、
圃
(
はたけ
)
に
出
(
で
)
て
肥
(
こえ
)
をかけてやりました。
大根とダイヤモンドの話
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
獄中にあった北条残党の武士は、毎日のように曳き出しては首を斬り、六条獄門外の
樗
(
おうち
)
の木の根に大きな穴をほって、樗の
肥
(
こえ
)
にしてしまった。
私本太平記:09 建武らくがき帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
馬が二
疋
(
ひき
)
来ました。
畠
(
はたけ
)
には、草や腐つた木の葉が、馬の
肥
(
こえ
)
と一緒に入りましたので、粟や
稗
(
ひえ
)
はまつさをに延びました。
狼森と笊森、盗森
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
▼ もっと見る
一所
(
ひとところ
)
の本屋の
主人
(
あるじ
)
である、
肥
(
こえ
)
太つた体へこてこてと着込んだ婆さんが僕をつかまへて「新しいロスタンの脚本なんかよりユウゴオ物をお読みなさい」
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
小川の魚を
掬
(
すく
)
っては百姓達に怒鳴りちらされ、
雲雀
(
ひばり
)
の巣を探っては、
肥
(
こえ
)
びしゃくで追っかけまわされた。そんな苦々しい思い出ばかりが
湧
(
わ
)
いてくる。——
冬枯れ
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
かぎろいの春の光、見るから暖かき
田圃
(
たんぼ
)
のおちこち、二人三人組をなして耕すもの幾組、
麦冊
(
むぎさく
)
をきるもの菜種に
肥
(
こえ
)
を注ぐもの、田園ようやく多事の時である。
春の潮
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
その時ちょうど、
肥
(
こえ
)
運びのフィリップが門内へ乗りこんで来ましたので、わたしは渡りに舟とばかり、——
かもじの美術家:――墓のうえの物語――
(新字新仮名)
/
ニコライ・セミョーノヴィチ・レスコーフ
(著)
お
肝試
(
きもだめ
)
しの会は、書生の杉山が安斉先生にお裏山の畑の
肥
(
こえ
)
だめへ投げこまれて、おやしき中の評判になった。損をしたのは伯爵だった。しかしさすがにお殿様だ。
苦心の学友
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「お前はむさんこに
肥
(
こえ
)
を振りかけるせに、あれは嫌うとるようじゃないかいの。」ばあさんは囁いた。
老夫婦
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
斯
(
かく
)
思いて余は二人の医官を見較ぶるに一方は
瘠
(
や
)
せて背高く一方は
肥
(
こえ
)
て背低し
斯
(
かく
)
も似寄たる所少き二人の医官が同様の見立を為すは殆ど望み
難
(
がた
)
き所なれば猶お彼等の言葉を
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
此馬冬こもりの
飼
(
かひ
)
やうによりて
痩
(
やせ
)
ると
肥
(
こえ
)
るありて、やせたるは馬
主
(
ぬし
)
の
貧
(
まづし
)
さもしるゝものなり。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
前科三犯の元さんという
肥
(
こえ
)
かつぎだって、もっと親しみのある顔だったし、役場の浜本さんがいくらへんくつで、無口でも、渋柿というあだ名の渡辺さんがいくら渋っているときでも
風
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
「違うよ、御用人、そんな腐った女のような事をするものか。俺はいかにも、横山一家に怨みがある。わけても若殿の時之助には、足を一本叩き折って、
肥
(
こえ
)
たごへ
投
(
ほう
)
り込みたいほどの怨みがある」
銭形平次捕物控:098 紅筆願文
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
岡裾も青みそめたり
肥
(
こえ
)
やると揺れかつぐ影もはや寒むからず
海阪
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
「此日御蔭山(これさへ此度はじめて参りし也)より廻りし所、茶屋等一向無之、
饑
(
うゑ
)
甚し。人窮する時驚人之句あり。
肥
(
こえ
)
し身の我大はらもひだるさにやせ行やうにおもひけるかな。此一条皆川へ御話可被下候。」
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
肥
(
こえ
)
太りたる雌鼠を、油に揚げて掛けおくなり。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
「そりゃあ、生きてる馬だから、
肥
(
こえ
)
っかも知んねえが、それにしても、骨と皮ばかりでねえか? 俺なら、こんな痩馬さ、三十円は出したくねえなあ。余ってる金でもある時で、十円ぐらいなら、買うかも知れねえども。」
馬
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
小春日を鳥が
肥
(
こえ
)
をつついてる
鶴彬全川柳
(新字旧仮名)
/
鶴彬
(著)
雪の上に流しかけをり麦の
肥
(
こえ
)
六百五十句
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
また、ちょっと見たのでは
溜
(
ため
)
の表皮一面、
蠅
(
はえ
)
の上に蠅がたかって、まるで黒大豆でも厚く敷いたような密度だから
糞色
(
ふんしょく
)
も見えず
肥
(
こえ
)
の匂いもしないのである。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
わたくしたちが
柄杓
(
ひしゃく
)
で
肥
(
こえ
)
を麦にかければ、水はどうしてそんなにまだ力も入れないうちに
水銀
(
すいぎん
)
のように青く光り、たまになって麦の上に飛びだすのでしょう
イーハトーボ農学校の春
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
此馬冬こもりの
飼
(
かひ
)
やうによりて
痩
(
やせ
)
ると
肥
(
こえ
)
るありて、やせたるは馬
主
(
ぬし
)
の
貧
(
まづし
)
さもしるゝものなり。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
肥
(
こえ
)
タゴかついで勇敢にやっているという時節柄だが、彼だけは一
段歩
(
たんぶ
)
の私田も残さず、それというのが、彼はひところ何々会社取締役というようなことを三つばかり兼ねていたようなこともあるから
淪落の青春
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
肥
(
こえ
)
臭い侭の身体のある誇り
鶴彬全川柳
(新字旧仮名)
/
鶴彬
(著)
畠
(
はたけ
)
には、草や
腐
(
くさ
)
った木の葉が、馬の
肥
(
こえ
)
と一緒に入りましたので、粟や稗はまっさおに延びました。
狼森と笊森、盗森
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
「なかなかよく
実
(
みの
)
っておりますな。
畝
(
うね
)
の
肥
(
こえ
)
も、母上がお手ずからおやりになりましたか」
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
夕方カモ七がそこを通りかかると、上から
肥
(
こえ
)
オケが落ちてきた。
明治開化 安吾捕物:13 その十二 愚妖
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
しかも、自分の老母は、いまもって、老いの手に
鍬
(
くわ
)
を持ち、菜に水をそそぎ、瓜や茄子に
肥
(
こえ
)
をやることを怠りません。……不肖の子が、ひそかにその心を
酌
(
く
)
むに、こうであろうと思うのです。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“肥”の意味
《名詞》
(こえ) こやし。肥料。また、肥料に用いる糞尿。
(出典:Wiktionary)
肥
常用漢字
小5
部首:⾁
8画
“肥”を含む語句
肥桶
肥満
肥料
土肥
堆肥
肥桶臭
肥大
小肥
肥溜
肥柄杓
大兵肥満
肥肉
肥満漢
肥料溜
豬肥
肥料桶
肥後
肥沃
肥立
下肥
...