こえ)” の例文
新字:
わるいラランもすこしばかりさびしくなつてきた。今度こんどこそはらつてきた。すると突然とつぜん、ヱヴェレストの頂上てうじやうからおほきなこえ怒鳴どなるものがあつた。
火を喰つた鴉 (新字旧仮名) / 逸見猶吉(著)
こゑわめこえあはれ救助たすけもとむるこゑは、すさまじき怒濤どとうおと打交うちまじつて、地獄ぢごく光景ありさまもかくやとおもはるゝばかり。
暮色ぼしよくびたまちはづれの踏切ふみきりと、小鳥ことりのやうにこえげた三にん子供こどもたちと、さうしてそのうへ亂落らんらくするあざやか蜜柑みかんいろと——すべては汽車きしやまどそとに、またたひまもなくとほぎた。
蜜柑 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
……とこえする。
雪霊続記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
そこへまた、なにかみなりのやうに怒鳴どなこえがしたかとおもふと、小牛こうしほどもあるかたこほりかたまりがピユーツとちてきて、真向まつこうからラランのからだをばした。
火を喰つた鴉 (新字旧仮名) / 逸見猶吉(著)
吾等われらそのいへちかづいたとき日出雄少年ひでをせうねんかたにした武村兵曹たけむらへいそう一散いつさんはしつてつて、快活くわいくわつこえさけんだ。
こえおうじて、いへのこつてつた一團いちだん水兵すいへい一同みな部室へやからんでた。いづれも鬼神きじんひしがんばかりなるたくましきをとこが、いへ前面ぜんめん一列いちれつならんで、うやうやしく敬禮けいれいほどこした。
〔ああ、ヱヴェレストはまだとほいらしい。〕ペンペはかなしいこえをあげてきだしたが、自分じぶんこえいてすくひにるものもいのかとおもふと、はらつて、あたまなかぼうッとしてた。
火を喰つた鴉 (新字旧仮名) / 逸見猶吉(著)