“満山”の読み方と例文
旧字:滿山
読み方割合
まんざん100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
其の火は朝露あさつゆ晃々きらきらと、霧を払つて、満山まんざんに映つた、松明は竜田姫たつたひめが、くてにしきむる、燃ゆるが如き絵の具であらう。
貴婦人 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
みち、山に入って、萩、女郎花おみなえし地楡われもこう桔梗ききょう苅萱かるかや、今を盛りの満山まんざんの秋を踏み分けてのぼる。車夫くるまやが折ってくれた色濃い桔梗の一枝ひとえだを鶴子はにぎっておぶられて行く。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
かれは、満山まんざんの濡れ紅葉に、眼をこらした。まだ、朝の月もあるほの明りなのに、けさほど、あざらかに、物の見えたことはない。それは、自分を見出したことでもあった。