祝盃しゅくはい
久野の家を出た三人は、三丁目から切通しの方へ、ブラ/\歩いていた。五六年前、彼等が、一高にいたときは、この通を、もっと活溌な歩調でいくたび散歩したか分らなかった。 その時は、啓吉も久野も、今度久しぶりで、ヒョックリ上京して来た青木も、銘々そ …