)” の例文
そうして亜米利加の若い男や女は、そんな遊びがしたいばっかりに、一生懸命になって働らいて、お金をめているんですってさあ。
支那米の袋 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
が、卵を女中頭に賣つて、その金をめるのもこれに劣らず好きだつた。彼女は、商賣氣があり貯蓄することが目立つて好きだつた。
パッシー通りで夫婦そろって食料品店で働き抜いた五十五、六の男の自然にれた声も秋風のなかにふさわしい。男は小金こがねめた。
巴里の秋 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
それからといふもの、夫婦は一生懸命になつて金をめた。そして一年の後になつて勘定してみると、三百八十五両溜つてゐたさうだ。
「君たちは若いから勉強して、理想を求めたまえ。わしらは金でもめてらくをしたいと思うばかりだ。もっともなかなか貯まらぬがね」
光り合ういのち (新字新仮名) / 倉田百三(著)
貯金が五ルーブリに達した時、彼は嚢を縫って、また新らしくめにかかった。上長に対しては、彼は更に上手に立ちまわった。
すると相応さうおうあきなひもあるから、あきなだかうちよりめて置いて、これを多助なすけあづけたのが段々だん/\つもつて、二百りやうばかりになつた。
塩原多助旅日記 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
新婚旅行も唐崎さん——ではない新妻みどりの稼ぎめた財布のお陰で南伊豆みなみいずまで遠出をし、温泉気分と夫婦生活とを満喫することができた。
幸運の黒子 (新字新仮名) / 海野十三(著)
ショールを買う金をめることを考えたら、仲々大変なことなので割引の映画を見に行ってしまった。フイルムは鉄路の白バラ、少しも面白くなし。
新版 放浪記 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
ぼくの家はきみに学資がくしをだすくらいの余裕よゆうがあるんだ、決して遠慮することはないよ、ぼくの父は商人だけれども金をめることばかり考えてやしない
ああ玉杯に花うけて (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
私から見れば、子供のように慾が無く、私が日々のパンを得るために、お金をせっせとめたっても、すぐにそれを一厘残さず、むだな事に使わせてしまって。
駈込み訴え (新字新仮名) / 太宰治(著)
それ許りぢやない、源助さんは此五六年に、百八十兩もおツめたげなと、知つたか振をする爺もあつた。
天鵞絨 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
しかしわしは体が弱いのと、口が下手なのとで、二、三年かかつてめたお銭も、ごく僅かなものでした。
良寛物語 手毬と鉢の子 (新字旧仮名) / 新美南吉(著)
内職のミシン仕事も思わしくないので、下宿屋を始めたのだが、「この私を御覧なさい。十万円めていましたよ。そのうち六万円で今度、大工を雇ったのです」
永遠のみどり (新字新仮名) / 原民喜(著)
めているところなんだってさ。だからカレ、電車にも乗らずにここにくるし、昼食だって抜いてるんだ
煙突 (新字新仮名) / 山川方夫(著)
めるほどきたないものはちりかねなり」ということわざがあるが、これも貯めようによるべし、おそらく塵芥ちりあくたとても貯蔵ちょぞう法よろしきを得たなら、清くする工夫くふうもあろう。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
金をめているといううわさだった。洗濯物を取りに行ったり持って行ったりするときに、その家で誰にも逢ったことがない。たしかに召使は一人も使っていなかった。
そして来年の一月から同人雑誌を出すこと、その費用と原稿を月々めてゆくことに相談が定ったのです。私がAの家へ行ったのはその積立金を持ってゆくためでした。
橡の花 (新字新仮名) / 梶井基次郎(著)
わたしの孤児であるということが、そうした運命にわたしを導いたのですが、ほかの人たちと違って身持ちがよかったために少しばかりのお金をめることができました。
メデューサの首 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
「おっとあぶねえ。てられてたまるものか。これだけめるにゃ、まる一ねんかかってるんだ」
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
そして今じゃあ、言わば自前じまえになったって訳さ。己はイングランドの時には九百ポンドめ、フリントのところでは二千ポンド貯めた。これぁ平水夫にしちゃあ悪かあねえだろ。
……お前は資本をめとくのが好きなんだ。ね、そうだろう? だからお前はつまり、頓痴気のザグヴォズキンと同じことなのさ。ただ積んで置くだけで、どうしようってこともないんだ。
マリ・デル (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
何百両という金をめるのは一生かかっても難しいことと、一平が悪智慧わるぢえを出して、醤油賭をやるようになってから、お咲も、自分の体を犠牲にえにしてもという気で夜鷹に身を落したが、実は
醤油仏 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
機会を捕えることもできないで「小資本をめるための、きわめて短い時間だけ、この危険な仕事によって金もうけをしよう」とした最初の考えは、そのまま彼らを怒濤どとうの上で老年にしてしまい
海に生くる人々 (新字新仮名) / 葉山嘉樹(著)
この方は手形さえあれば、曲りなりにも関所が通られると思うと、五たびに一度、それさえ半年の間なんだ、……小遣をめるんだからね。……また芸者の身になって見りゃ、迷惑な事は夥多おびただしい。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
あるいは偶然な災難に出遇うてせっかくめた金を時々に失くしてしまい、いつも借金に苦しむというたちだと、こう言いましたところが、案外にも其言それが非常に適中したものと見えてびっくりして
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
朝になると又、何もかも忘れたようになってめる。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
冬から春のあひだめた
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
「そんなことありませんわ。これだけ五人でお給金をめて上海の馬券を買って、スッカラカンになったことがあるだけですよ」
超人鬚野博士 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
こゝをめたいと思へば、結構ひとりでやつて行けるくらゐめてるのは確かだと思ふわ。でもこゝには、もうすつかり落着いてしまつたんだらうよ。
差配人さはいにんさんに可愛かわいがられ、金をめてうちを持ち、損料と小金こがねを貸して居るが、けつの穴が狭くて仕様のない奴だよ
新太郎ちやんは、きつと、それだけのお銭を自分の手でめるだらう。
良寛物語 手毬と鉢の子 (新字旧仮名) / 新美南吉(著)
いまでは小金も少しはんでいた。
河沙魚 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
「お金をめてどうするんだろう」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「いゝえ違ひますよ。私が一等望んでゐるのは自分の俸給の中から十分なお金をめて、何時か自分の借りた小さな家に學校を設立したいといふこと。」
……彼が自分でめたバットの銀紙で球を作りながら、時々その重量と直径とを比較して行くうちに、直径の三乗と重量とが正比例して増加して行く事を
木魂 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
君「恐れ入ります、めたのではございません、親類うちから到来をいたしたので」
ときか一時半ときはんほかないでかせいで、かねめなければ、本当ほんたうかねたまらない。
塩原多助旅日記 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)