トップ
>
長
>
た
ふりがな文庫
“
長
(
た
)” の例文
容貌も秀麗、風姿も典雅、和歌詩文にも
長
(
た
)
けていて、今日信玄の作として世に知られている和歌の多くはまことは主水の作であった。
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
お勢の、
壁虎
(
やもり
)
の背のような怨み深げな顔……、成戸の、打算に
長
(
た
)
けた白々とした眼も……苦々しく、
打衝
(
ぶつ
)
かり合うが、言葉は出ない。
地虫
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
「荒木村重という男は至極な正直者で、申さば、武勇に
長
(
た
)
けた馬鹿者でございますが、しかもこんな大馬鹿者とは思いませんでした」
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
男爵はなかなか座談に
長
(
た
)
けていたのである。いかに怪しいとにらんだからといって、まさか、真っ向からそう訊ねるわけにもいかない。
沼畔小話集
(新字新仮名)
/
犬田卯
(著)
「甚五郎は
怜悧
(
れいり
)
な若者で、武芸にも
長
(
た
)
けているそうな。手に合うなら、
甘利
(
あまり
)
を討たせい」こう言い放ったまま、家康は座を
起
(
た
)
った。
佐橋甚五郎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
▼ もっと見る
夫婦、親子、
朋友
(
ほうゆう
)
の愛も初めの中は感情一偏の愛であるが、少し年齢が
長
(
た
)
けて行った後に誠実と知性との理解が伴わない愛は危い。
姑と嫁について
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
智謀にも
長
(
た
)
け、情に篤く、大胆な決断力をも蔵していたであろうが、例えばバルチック艦隊全滅の勝利にしろ戦争は独り角力でない以上
花のたより
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
この様な大悪事を(彼自身
如何様
(
いかよう
)
に弁護しようとも)
企
(
たくら
)
む程の彼ですから、生れつき
所謂
(
いわゆる
)
奸智
(
かんち
)
に
長
(
た
)
けていたのでもありましょう。
パノラマ島綺譚
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
某
猟師
(
かりうど
)
の家に
事
(
つか
)
へ、をさをさ猟の
業
(
わざ
)
にも
長
(
た
)
けて、
朝夕
(
あけくれ
)
山野を走り巡り、数多の
禽獣
(
とりけもの
)
を捕ふれども。
熟
(
つらつ
)
ら思へば、これ
実
(
まこと
)
に
大
(
おおい
)
なる不義なり。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
その上に世を
推移
(
おしうつ
)
る世才に
長
(
た
)
けているから、硯友社という小さい天地にばかり
跼蹐
(
きょくせき
)
しないで、早くから広い世間に飛出して
翺翔
(
こうしょう
)
していた。
硯友社の勃興と道程:――尾崎紅葉――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
われ平生より人の骨相を見るに
長
(
た
)
け、界隈の人に請はるゝまゝに、その吉凶禍福を占ひ、過去現在未来の運命を説くに一度も
過
(
あやま
)
つ事なし。
白くれない
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
一ノ関さまの
奸知
(
かんち
)
に
長
(
た
)
けたところがお家の将来の
禍
(
わざわい
)
になるであろう、このことをくれぐれも忘れぬように、と遺言されたそうです
樅ノ木は残った:02 第二部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
颯
(
さっ
)
と開いた
襖
(
ふすま
)
とともに、
唐縮緬
(
めりんす
)
友染の不断帯、格子の
銘仙
(
めいせん
)
の羽織を着て、いつか、縁日で見たような、三ツ四ツ
年紀
(
とし
)
の
長
(
た
)
けた姿。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
考古學とやらんに
長
(
た
)
け給ふと聞ゆ、その夫人近きころ羅馬より歸り給ひしなれば、客人は途上にて相識になり給ひしにはあらずやといふ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
平次よりは幾つか年上でせうが、
世故
(
せこ
)
にも
長
(
た
)
け、文筆にも明るい樣子で、この頃の質屋の亭主には、全く珍らしい人柄でした。
銭形平次捕物控:024 平次女難
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
鴨のない時期に、鴨に似た若い家鴨を探したり、夏
長
(
た
)
けて
莢
(
さや
)
は硬ばってしまった中からしなやかな
莢隠元
(
さやいんげん
)
を求めたり鼈四郎は、走り
廻
(
まわ
)
った。
食魔
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「月丸は、見かけによらぬ奸智に
長
(
た
)
けた奴、油断すな。といっても、恋に、眼の
眩
(
くら
)
んでいる、お主には、わかるまいが——」
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
しかし年
長
(
た
)
けるに従い、私たち同胞は結局同じ両親から出た、同じ血液型の性格であることがハッキリとあらわれて来た。
光り合ういのち
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
着物は其れぞれ適切な村人や遊人の姿などになって居るし、狼は如何にも悪党らしく、狐は奸智に
長
(
た
)
けた風になって居る、など中々巧みである。
春水と三馬
(新字新仮名)
/
桑木厳翼
(著)
当時のもっとも玄妙な舞踊にも
長
(
た
)
け、さまざまな歌曲をハープやギターでひくこともでき、恋愛詩人がうたうあまい民謡をすべて
暗誦
(
あんしょう
)
していた。
幽霊花婿:ある旅人の話
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
そして学問詞才にも
長
(
た
)
け、向上心の強い、勇気のある、しかも二王の筆致を得ていたと後年になって支那の人にさえ称讃されたほどであるから
連環記
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
自分達の誰よりも世故に
長
(
た
)
けていて、自分や雪子などの方が却って妹扱いされるくらいなのであるが、………自分は兎角雪子を
不憫
(
ふびん
)
に思う余り
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
ここへ集るものは、女ですら
克
(
よ
)
く馬の性質を暗記している位。男が少年のうちからして乗馬の術に
長
(
た
)
けているのは、不思議でもなんでも有ません。
藁草履
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
年ごろはたしかに知れないが眼鼻や口の
権衡
(
つりあい
)
がまだよくしまッていないところで考えればひどく
長
(
た
)
けてもいないだろう。
武蔵野
(新字新仮名)
/
山田美妙
(著)
世間もし涙を神聖に守るの
技
(
わざ
)
に
長
(
た
)
けたる人を挙げて主宰とすることあらば、
甚
(
いた
)
く悲しきことは跡を絶つに
幾
(
ちか
)
からんか。
山庵雑記
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
狡智に
長
(
た
)
けたベナビデスの
面
(
おもて
)
眼
蒐
(
が
)
けて拳銃を発射する時の喜びばかりが
擽
(
くすぐ
)
るように、胸に込み上げていたのであった。
陰獣トリステサ
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
叔母が常に武男を子供視して、むしろわれ——千々岩の年よりも世故に
長
(
た
)
けたる
頭
(
こうべ
)
に依頼するの多きも、よく知りつ。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
これだけ云った敬太郎は、定めて
世故
(
せこ
)
に
長
(
た
)
けた相手から笑われるか、冷かされる事だろうと考えて田口の顔を見た。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
何うも
其辺
(
そこら
)
だろうと鑑定が附いていた、ま宜しいが、
彼
(
か
)
の松蔭並びに神原兄弟の者はなか/\悪才に
長
(
た
)
けた奴ゆえ、
種々
(
いろ/\
)
罠をかけて、
私
(
わし
)
が云ったことを
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
糜竺
(
びじく
)
は東海の
胊
(
く
)
というところの人で、先祖以来、
貨殖
(
かしょく
)
の道に
長
(
た
)
けているので、家には巨万の財をたくわえていた。
中国怪奇小説集:03 捜神記(六朝)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
日
長
(
た
)
けるまで、朝飯をも食わずに寝ているに相違ない。その時、モウパッサンの「父」という短篇を思い出した。
蒲団
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
且また村人はこぞつて神楽用の
仮面
(
めん
)
つくりの腕に
長
(
た
)
け、春秋二季の祭りの季節となれば、自ら達が俳優となり
バラルダ物語
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
あゝ憂ひの身なるかな、彼我を捉へて汝は恐らくはわが論理に
長
(
た
)
くるをしらざりしなるべしといへる時わがをのゝけることいかばかりぞや 一二一—一二三
神曲:01 地獄
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
「貴殿は天性、術に
長
(
た
)
けておいででした、その術が貴殿の幸か不幸かを
齎
(
もたら
)
すことになるとはいえ、こうして病床に親しむ吾々には、そのお元気が
羨
(
うらや
)
ましい」
大菩薩峠:29 年魚市の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
さあれその事の本末はいかなりけむ、我年
長
(
た
)
けて後しばしば母君に、伺ひまつりし事ありしも、母君は血で血を洗はむも心うしとて、
委
(
くわ
)
しくは告げたまはず。
葛のうら葉
(新字旧仮名)
/
清水紫琴
(著)
それを今昔物語の作者が批評して、阿蘇の史は「
長
(
た
)
け短なりけれども、魂はいみじき盗人にてぞありける」
時勢と道徳観念:大賊小賊・名誉の悪党
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
元来瞑想的な事に
長
(
た
)
けた
印度
(
インド
)
人だから哲学や法律の理解が好く、自由思想は日本の学生よりも概して徹底して居るので
段段
(
だんだん
)
英政府の施設が面倒に成つて来た
相
(
さう
)
だ。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
◎野口君は予より年長でもあり、
世故
(
せこ
)
にも
長
(
た
)
けてゐた。例の隠謀でも、予は
間
(
ま
)
がな
隙
(
すき
)
がな
向不見
(
むかふみず
)
の痛快な事許りやりたがる。野口君は何時でもそれを穏かに制した。
悲しき思出:(野口雨情君の北海道時代)
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
これも嵐雪という人の凡てもののやさしみをいうのに
長
(
た
)
けておる例証としてよく挙げられる句である。
俳句はかく解しかく味う
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
廬堂の中は、前よりは更に狭くなって居た。郎女が、奈良の
御館
(
みたち
)
からとり寄せた
高機
(
たかはた
)
を、
設
(
た
)
てたからである。機織りに
長
(
た
)
けた女も、一人や二人は、若人の中に居た。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
姿形
(
すがたかたち
)
のうるはしきのみならで
心
(
こゝろ
)
ざまのやさしさ
情
(
なさけ
)
の
深
(
ふか
)
さ
絲竹
(
いとたけ
)
の
道
(
みち
)
に
長
(
た
)
けたる
上
(
うへ
)
に
手
(
て
)
は
瀧本
(
たきもと
)
の
流
(
なが
)
れを
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
嘲弄する必要もないのだ。それは奸智に
長
(
た
)
けている事は驚くべきものだ。殺人位平気でやる奴だよ
支倉事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
勢力絶倫で奸智に
長
(
た
)
け、天下の形勢の推移にも見通しが利き、エジプトにもローマにも秋波を送っていたが、ローマが世界を支配するだろうことをば逸早く予感していた。
処女の木とアブ・サルガ
(新字新仮名)
/
野上豊一郎
(著)
一日問をかけて曰ふ、「汝等一家
睦
(
むつ
)
まじく暮らす方法は如何にせば宜しと思ふか」と。群童
對
(
こた
)
へに苦しむ。其中尤も年
長
(
た
)
けたる者に
操
(
みさを
)
坦勁と云ふものあり。年十六なりき。
遺教
(旧字旧仮名)
/
西郷隆盛
(著)
「何というりっぱな肩書きの重荷をやすやすと負わせられてることだろう。かようにして虚栄のために墓まで用うるとは、人間というものは何と才知に
長
(
た
)
けてることか。」
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
算術の四則には
長
(
た
)
けて居り、それを実の
算盤
(
そろばん
)
に応用することにも
巧
(
たくみ
)
ではあつたけれども、美に就ては
如何
(
いか
)
なる種類のそれにも一向
無頓着
(
むとんちやく
)
な、当主の小学校長をたぶらかして
田園の憂欝:或は病める薔薇
(新字旧仮名)
/
佐藤春夫
(著)
お抱え番匠万平が、これならばいか程忍びの術に
長
(
た
)
けた者であっても、決して無事には渡り切れませぬと折紙つけたその鶯張りなのだ。だのに音はそれっきりきこえなかった。
十万石の怪談
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
依怙地
(
いこじ
)
のくせに算筆も人より
長
(
た
)
けていたというので、お組頭の側にいて、
種々
(
いろいろ
)
な仕事があるたびに、帳付けをさせられていたというが、そのころ異人の黒船が日本国の海岸に
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
狡智に
長
(
た
)
けたること、若しかの博文館が二十年前に出版した書物の版権を、今更云々して賠償金を取立てるがように、カッフェーという名称を用いる都下の店に対して一軒一軒
申訳
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
理財にも
長
(
た
)
け、落合にある病院などもうまくやり、理知と世才に事欠くように見えなかったが、内実は、悪念のさかんな、
妬忌
(
とき
)
と復讐の念の強い、妙に
削
(
そ
)
げた陰鬱な性情らしく
予言
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
長
常用漢字
小2
部首:⾧
8画
“長”を含む語句
長椅子
成長
生長
長老
身長
船長
長閑
年長
長生
村長
長刀
酋長
長男
長座
長病
年長者
長者
長夜
長髯
長尻
...