)” の例文
旧字:
其後更に二世紀ってイザヤ書が今日の形に編輯せられた時、その編輯者がイザヤ書預言の最終曲として此処に収載したものである。
帝大聖書研究会終講の辞 (新字新仮名) / 矢内原忠雄(著)
吉本が郊外のとある丘の上に永峯の家を訪ねていったのは、彼が工場を追い出されてから約一週間ばかりの日がってからであった。
街頭の偽映鏡 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
などといっていたが、日は瞬く間にって、そこに来てから半月ばかりして、私は六月の中旬しばらく山陰道の方の旅行をしていた。
狂乱 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
「ああ、もうよほどったでしょう。チュウリップの幻術げんじゅつにかかっているうちに。もう私は行かなければなりません。さようなら。」
チュウリップの幻術 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
かうしてゐる中にも、時はつて行つた。ある夜はすさまじい風雨がやつて来た。本堂ばかりではない、自分の居間にも雨がさかんつた。
ある僧の奇蹟 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
「兄を弄んで間接に、殺して置きながら、まだ二月とたない今、この俺を! 箱根まで誘い出して、われのない恥辱を与える!」
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
五、六日つと、京橋采女町うねめちょうの松尾儀助氏から、幾日何時、拙宅にて夕餐ゆうさんを差し上げたく御枉駕ごおうが云々という立派な招待状が参りました。
どれ、こう葉を畳んで、眠った振りをしていましょう、いまは、たった二枚しか葉が無いけれども、五年ったら美しい花が咲くのよ。
失敗園 (新字新仮名) / 太宰治(著)
するとだんだんがふさいで、病気びょうきになりました。それから八つきったときに、おんなおっとところって、きながら、こういました。
一々算盤珠そろばんだまはじいて、口が一つえればどう、二年って子供が一人うまれればどうなるということまで、出来るだけ詳しく積って見た。
新世帯 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
それから四日ばかりつと、彼は郵便で私の写真を届けてくれた。しかしその写真はまさしく彼の注文通りに笑っていたのである。
硝子戸の中 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
“もう十日もてば起きられるよ”と仰言ったとか。十二日のことを言われるのですね。すみません。荷物も大部分整理いたしました。
五六日つと大津定二郎は黒田の娘と結婚の約が成ったという噂が立った。これを聞いた者の多くは首を傾けて意外という顔色かおつきをした。
富岡先生 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
あの当時から数えてもう四カ月もっている今日、今迄行方ゆくえ不明の人が現れないとすれば、もう死んだとあきらめるよりほかはありません。
廃墟から (新字新仮名) / 原民喜(著)
が、かれ年月としつきつとともに、この事業じぎょう単調たんちょうなのと、明瞭あきらかえきいのとをみとめるにしたがって、段々だんだんきてた。かれおもうたのである。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
一度燃えたのですから、そのにおいで、消えてからどのくらいったかが知れますと、伺った路順で、下谷したやだが浅草だが推量が付くんです。
菎蒻本 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
行つたり来たりするうちには三時間ぐらゐすぐつてしまふ、それに院長のお帰りだつて案外早いことがないとも限らないと思ひ返し
死児変相 (新字旧仮名) / 神西清(著)
百何十年かった今となっては、功業の跡、夢の如くせて、その事蹟じせきは、ドラゴン退治の伝説の英雄となんの選ぶところがない。
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂野村あらえびす(著)
文「いや永々なが/\御心配をかけまして有難う存じます、何から申して宜しいやら、うも江戸をってのちはさま/″\な難儀に逢いました」
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「月日のつまま、いつか忘れ果てていたが、いかにも何処やらに覚えのある新九郎——して、その後の修業は充分に積んでおいたか」
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この南九州の熊本市まで、東京からあわただしく帰省してきた左翼作家鷲尾わしお和吉は、三日もつともうスッカリ苛々いらいらしていた——。
冬枯れ (新字新仮名) / 徳永直(著)
百年もてば丁度真昼のように四辺あたりが明るくなる。細君もかなり修行したけれども、それでもまだまぶしい位の明るさしかない。
この少年というのが、閏土ルントウであったが、私が始めて彼を知った頃にはまだ十かそこらであった。今からもう三十年もっているであろう。
故郷 (新字新仮名) / 魯迅(著)
それから一週間ほどつた、美しい、晴れた夜でした。ニナール姫と、ジウラ王子とは、お城の庭に出て、新鮮な空気を吸つてゐました。
ラマ塔の秘密 (新字旧仮名) / 宮原晃一郎(著)
これを聞いた自分の驚きはどんなであッたろう、五分もたぬうち、自分はもウわが部屋で貌を両手へ埋めて、意気地いくじもなく泣いていた。
初恋 (新字新仮名) / 矢崎嵯峨の舎(著)
こうしてって見れば造作ぞうさもないようなものだがね、三年の子守こもりはなかなかえらかった。これまでにするのが容易じゃなかった。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
そして少しってから、またお姉様は、「ヨハナーンや、お前さんは沈黙と暗黒とを見ているね、暗黒と沈黙とを聞いているね」
レモンの花の咲く丘へ (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
スフィンクスが出現してから二千年以上ってのち、人間はやっとこの暗示を解決する事が出来ました。そうしてこう云いました。
鼻の表現 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
これで見ると、どうしても、二百年ぐらいった代物しろものとしか思えない。フィリップのおかみさんは、その点、気がひけるらしい。
宮仕えすればいまより収入があり毎月妻の筒井に送り、筒井はその黄金で衣裳をととのえ、一年もてば夫は都から迎えに来るはずだった。
津の国人 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
足かけ四年は、った。かの女の一家は巴里にすっかり馴染なじんだ。けれども、かの女達はついに日本へ帰らなくてはならない。
母子叙情 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
ところが、わたしの予想は悲しくも裏切られ、彼女の心臓は麻酔にさえ堪え得ないで、手術を始めて五分たぬうちに死んでしまいました。
メデューサの首 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
土田は結婚してまだ三十日ちょっとしかたない、おれはもうその十倍も経験しているんだ、いいか、ほぼ三百日も結婚生活を
饒舌りすぎる (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
所がその後一月ばかりつて、愈々地獄変の屏風が出来上りますと良秀は早速それを御邸へ持つて出て、恭しく大殿様の御覧に供へました。
地獄変 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
ツイ其処に生後まだ一ヵ月もたぬ、むくむくとふとった、赤ちゃけた狗児いぬころが、小指程の尻尾しっぽを千切れそうに掉立ふりたって、此方こちら瞻上みあげている。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
司令官が無電室からの報告と、怪しい少年、少女について報告をうけとったのは、それから二、三分ってからのことだった。
秘境の日輪旗 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
それから何十年かちましてまた再び興って来た難解な佶屈な句に対してこの標語を掲げねばならんかと思います。(『玉藻』、二九、三)
俳句への道 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
すると、二三日って、甲板かんぱんで逢った内田さんがぼくに、「坂本さん、お願いがあるんやけれど」とめずらしく改まった調子です。
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
幸いここによい事がある。ちょうどこの人も四、五日つと行くのだが、我々よりもかえって早くカルカッタに着く人がある。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
そうすれば二、三時間ってもうまく食べられる。そのわけは塩が中まで浸潤していかないので味が変わらないからである。
胡瓜 (新字新仮名) / 北大路魯山人(著)
かくて気候至って穏やかに、三日たば四月になるという時、三月、牧羊夫に子羊を求むると、たちまちしわくなって与えず。
そして、小半時こはんときたないところで跫音あしおとがして小柄な男が帰って来た。勘作が舟の中へ置いてあった空笊からざる小脇こわきにしていた。
ある神主の話 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
一分ごとに彼の胸には重さが十倍百倍千倍と加はつて行つて、五分もたない中に彼はおめ/\と立ち上つた。而して子供を連れ出して来た。
An Incident (新字旧仮名) / 有島武郎(著)
そして私自身にとっても、日がてば経つほど、あべこべに、私の周囲はますます見知らない場所のように思われて来てならない位であった。
三つの挿話 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
幽婉縹渺ゆうえんひょうびょうとして底知れぬ観である——不図耳を澄ますと、森の底から時折銃声が聞えた。二三発続け打ちにして、稍々暫くつと、また鳴る。
ゼーロン (新字新仮名) / 牧野信一(著)
で、の虎狩から二年程って、例の発火演習の夜から間もなく、彼が私達友人の間から黙って姿を消してしまったのは、前に言ったとおりだ。
虎狩 (新字新仮名) / 中島敦(著)
停車場から此処まで物の十分とはっていない。東路あずまじここも名高き沼津の里も是でもう見物が済んでしまったのかと僕は全く拍子抜けがした。
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
日がつにつれ、授業の間の十分の休憩時間には、私は控所の横側の庭のクローウヴァーの上に坐つて両脚を投げ出した。
途上 (新字旧仮名) / 嘉村礒多(著)
それッ切り分らなかった。どの位ったか、自分のうなった声で眼が開いた。監督や工夫が爆発が他へ及ばないように、坑道に壁を作っていた。
蟹工船 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)
それはまだたまごからいくらもたない子雁こがんで、たいそうこましゃくれものでしたが、その一方いっぽう子家鴨こあひるむかってうのに