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只
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た
ふりがな文庫
“
只
(
た
)” の例文
「御立腹の段は誠に
御尤
(
ごもつとも
)
で、
私
(
わたくし
)
に於ても一々御同感で御座りまする、が、
只
(
た
)
だ何分にも篠田が青年等の中心になつて居りまするので」
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
と振袖を顔に当て、
潜々
(
さめ/″\
)
と泣く様子は、美しくもあり又
物凄
(
ものすご
)
くもなるから、新三郎は何も云わず、
只
(
た
)
だ
南無阿弥陀仏
(
なむあみだぶつ
)
、南無阿弥陀仏。
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
あれこそは
此世
(
このよ
)
の
名譽
(
めいよ
)
といふ
名譽
(
めいよ
)
が、
只
(
た
)
った
一人
(
ほとり
)
王樣
(
わうさま
)
となって、
坐
(
すわ
)
る
帝座
(
ていざ
)
ぢゃ。おゝ、
何
(
なん
)
といふ
獸物
(
けだもの
)
ぢゃ
予
(
わし
)
は、かりにも
彼
(
あ
)
の
方
(
かた
)
を
惡
(
わる
)
ういふとは!
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
只
(
た
)
だ
舊藩
(
きうはん
)
の
因縁
(
いんねん
)
に
執着
(
しふちやく
)
する
元氣
(
げんき
)
な
豪傑連
(
がうけつれん
)
や、
小
(
ちひ
)
さな
愛國者達
(
あいこくしやたち
)
が、
他
(
た
)
の
墮落
(
だらく
)
したコスモポリタンを
批難
(
ひなん
)
するのであつた。
桜と狆と愛国心:コスモポリタンの心理
(旧字旧仮名)
/
堺利彦
(著)
罪なき人が白状する
筈
(
はず
)
なければ藻西太郎が白状せしと云うを聞き一同は言葉も出ぬまでに驚き果て、中にも余の如きは
只
(
た
)
だ夢かと思うばかりなりき
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
▼ もっと見る
至善至悪に対する妙念は残らず
擺脱
(
はいだつ
)
し去りて
只
(
た
)
だ慾火炎上の曲りくねりたる一時のすゞしさを此上なき者と珍重す。
「伽羅枕」及び「新葉末集」
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
煙草
(
たばこ
)
を
喫
(
すつ
)
て
見
(
み
)
たり、
自分
(
じぶん
)
が
折
(
を
)
り折り
話
(
はな
)
しかけても
只
(
た
)
だ『ハア』『そう』と
答
(
こた
)
へらるゝだけで、
沈々
(
ちん/\
)
默々
(
もく/\
)
、
空々
(
くう/\
)
漠々
(
ばく/\
)
、三日でも
斯
(
か
)
うして
待
(
ま
)
ちますよといはぬ
計
(
ばか
)
り、
悠然
(
いうぜん
)
、
泰然
(
たいぜん
)
、
茫然
(
ばうぜん
)
湯ヶ原ゆき
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
かの大多数の婦人労働者の如き、家庭の狭隘と自由の欠乏とが
只
(
た
)
だ工場、デパアトメントストア、事務所等に移されたるのみとすれば果してどれ程真の独立を得て居るであらうか。
婦人解放の悲劇
(新字旧仮名)
/
エマ・ゴールドマン
(著)
雲消えて皹も
亦
(
また
)
拭
(
ぬぐ
)
ひ去らる、山色何の
瑠璃
(
るり
)
ぞ、
只
(
た
)
だ
赭丹
(
しやたん
)
赭黄なる
熔岩
(
ようがん
)
の、
奇醜
(
きしう
)
大塊を、至つて無器用に束ねて
嶄立
(
ざんりつ
)
せるのみ、その肩を怒らし胸を張れるを見て、
淑美
(
しゆくび
)
なる女性的崇高を知らず。
霧の不二、月の不二
(新字旧仮名)
/
小島烏水
(著)
只
(
た
)
だ一人で湖のふちへ来て、真黒く濁った水の底深く沈んでしまいました。
ルルとミミ
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
とだけん
(著)
偶
(
たま
)
には
激浪
(
げきらう
)
怒濤
(
どたう
)
もあつて
欲
(
ほ
)
しい、
惡風
(
あくふう
)
暴雨
(
ぼうう
)
もあつて
欲
(
ほ
)
しい、と
云
(
い
)
つて
我輩
(
わがはい
)
は
決
(
けつ
)
して
亂
(
らん
)
を
好
(
この
)
むのではない、
只
(
た
)
だ
空氣
(
くうき
)
が五
日
(
か
)
の
風
(
かぜ
)
に
由
(
よつ
)
て
掃除
(
さうぢ
)
され、十
日
(
か
)
の
雨
(
あめ
)
に
由
(
よつ
)
て
淨
(
きよ
)
められんことを
希
(
こひねが
)
ふのである。
建築の本義
(旧字旧仮名)
/
伊東忠太
(著)
此方
(
こちら
)
もたゞ腕をくんで考えるばかり、智慧どころか中々鼻血も出そうにないので、
只
(
た
)
だハア/\と申して
居
(
お
)
る。伊之吉は男だけに
根岸お行の松 因果塚の由来
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
母を喜ばしむ、
只
(
た
)
だ
前
(
ぜん
)
よりも一層真心を
籠
(
こ
)
めて
彼女
(
かれ
)
を慰め、彼女を
奨
(
はげ
)
まし、唯一の
楯
(
たて
)
となりて彼女を保護するものは剛一なりける
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
A それや
君
(
きみ
)
、
少
(
すこ
)
しは
薄氣味
(
うすぎみ
)
わるくなるだらうぢやないか。
只
(
た
)
つた十八
萬
(
まん
)
五千七百九十九
枚
(
まい
)
の
年始状
(
ねんしじやう
)
が
大隈邸
(
おほくまてい
)
に
運
(
はこ
)
びこまれてさへ
新聞種
(
しんぶんだね
)
になるんだもの。
ハガキ運動
(旧字旧仮名)
/
堺利彦
(著)
この狭い小舎の中、というよりも天外に奔放する一不可思議線のアルプスに、人類としては、自分と導者の善作と
只
(
た
)
った二人が存在するばかりだ、この二人は生れてから昨日までの長い年月に
奥常念岳の絶巓に立つ記
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
しかし
時間
(
じかん
)
が
來
(
く
)
れば
動
(
うご
)
かぬわけにいかない
只
(
た
)
だ
人車鐵道
(
じんしやてつだう
)
さへ
終
(
をは
)
れば
最早
(
もう
)
着
(
つ
)
ゐたも
同樣
(
どうやう
)
と
其
(
それ
)
を
力
(
ちから
)
に
箱
(
はこ
)
に
入
(
はひ
)
ると
中等
(
ちゆうとう
)
は
我等
(
われら
)
二人
(
ふたり
)
ぎり
廣
(
ひろ
)
いのは
難有
(
ありがた
)
いが二
時間半
(
じかんはん
)
を
無言
(
むごん
)
の
行
(
ぎやう
)
は
恐
(
おそ
)
れ
入
(
い
)
ると
思
(
おも
)
つて
居
(
ゐ
)
ると
湯ヶ原ゆき
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
村の人がどんなに親切に慰めても、ミミは
只
(
た
)
だ泣いてばかりいました。
ルルとミミ
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
とだけん
(著)
只
(
た
)
だ奥州より帰りて二日、机上の一冊子を取つて読みしもの、即ち此書にてありければ、読過する数時間に余が脳中に浮び出たる感念を其儘筆に任せて書き了り、思量する
暇
(
いとま
)
もあらず、冷罵の事
「油地獄」を読む:(〔斎藤〕緑雨著)
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
彼は書斎へ老女を招致せり、新古の書巻
僅
(
わづか
)
に膝を
容
(
い
)
るゝばかりに堆積散乱して、
只
(
た
)
だ壁間モーゼ火中に神と語るの一画を掛くるあるのみ
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
只
(
た
)
だ伊之や/\とから
最
(
も
)
う
気狂
(
きちがい
)
のようで、実の親でもなか/\斯うは参らぬもので、伊之吉はまことに
僥倖
(
しあわせ
)
ものでげす。
根岸お行の松 因果塚の由来
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
だから
私
(
わたし
)
が
其時
(
そのとき
)
、
日本國民
(
にほんこくみん
)
として
所有
(
しよいう
)
する
物
(
もの
)
は、
只
(
た
)
だ
僅
(
わづ
)
かの
家具
(
かぐ
)
と、
僅
(
わづ
)
かの
本
(
ほん
)
と、
僅
(
わづ
)
かの
衣服類
(
いふくるゐ
)
とに
過
(
す
)
ぎなかつた。そして
僅
(
わづ
)
かに
文筆勞働
(
ぶんぴつらうどう
)
に
依
(
よ
)
つて
衣食
(
いしよく
)
するのであつた。
桜と狆と愛国心:コスモポリタンの心理
(旧字旧仮名)
/
堺利彦
(著)
二人は何事も
只
(
た
)
だ有難いと面目ないで前後不覚の
様
(
よう
)
になって、重二郎の云う儘に表へ出に掛る。台所口の腰障子を
開
(
あ
)
け
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
一、警官の「万歳」 此の奇怪なる報道を
齎
(
もた
)
らせる者は
只
(
た
)
だ一人なるが故に、余は之を語れる者の姓名を明記すべき要あり、是れ即ち上野村大字船津川の小野熊次郎と言へる人の談なり。
鉱毒飛沫
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
もう
斯
(
か
)
うなつて
來
(
く
)
ると、
取
(
と
)
るべき
金
(
かね
)
を
取
(
と
)
らうと
云
(
い
)
ふ
最初
(
さいしよ
)
の
考
(
かんが
)
へもなくなるし、
又
(
また
)
それが
爲
(
た
)
めに
葉書代
(
はがきだい
)
を
費
(
つひや
)
すのは
損
(
そん
)
だといふ
樣
(
やう
)
な
考
(
かんが
)
へもなし、
只
(
た
)
だ
是非
(
ぜひ
)
とも
仕
(
し
)
なければならない
日課
(
につくわ
)
として
ハガキ運動
(旧字旧仮名)
/
堺利彦
(著)
やま「聴かれません、怖くって、恐ろしい、お置き申すわけにはいきません、
只
(
た
)
った今おいでなすって下さい」
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
と心の
中
(
うち
)
に祈らぬ日とてはござりませぬ。別に話し相手というもなく、
只
(
た
)
だ船を
繕
(
つくろ
)
うことにのみ
屈托
(
くったく
)
して居りまする。
折々
(
おり/\
)
木を切り
魚
(
うお
)
を
捕
(
と
)
りますごとに、思わず
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
海上も一時はカッと
怒
(
いか
)
られて、外のものに当り散らしては見たが、相手のない喧嘩は何うもはえないもので、到頭そのまゝ泣き寝入で、
只
(
た
)
だ器量を下げてお引下がりになりました。
根岸お行の松 因果塚の由来
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
なか/\
合点
(
がってん
)
しねえ、それはお嬢
様
(
さん
)
飛んでもない事で、お店の奉公人や何かと
私通
(
いたずら
)
をするようなお嬢様なら、私の処へは置きませぬ、
只
(
た
)
った今出てお
出
(
いで
)
なせえというから、
私
(
わっし
)
が仲裁をして
闇夜の梅
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
お前の立った当座は
只
(
た
)
だ泣いてばかりおりましたから私がそんなにくよ/\して
煩
(
わずら
)
いでもしてはいかないから、気を取り直せよといい聞かせて置きましたが、お前もマア健かでお早くお帰りだ
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
大呵
(
おおしか
)
られ、貴様の云いようが悪いから出来る縁談も破談になる、
只
(
た
)
った一人の御息女を妾手掛に
欲
(
ほし
)
いと云うから御立腹なすったのだ、
此方
(
こちら
)
では
御新造
(
ごしんぞ
)
に貰い受けたいのだ、御縁組を願いたいのだ
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
“只”の意味
《名詞》
(ただ)無料。ロハ。
《形容動詞》
(ただ)その他のことに関わらず。
(出典:Wiktionary)
只
漢検準1級
部首:⼝
5画
“只”を含む語句
只今
只々
只管
真只中
只事
只中
只者
只一人
瓊姿只合在瑤台
只走
只一
只人
只見
只看唯我独尊山
弓削破只
愛玉只
只麼
只聞山鳥与渓声
只知君報国満腔気
只瞻
...