)” の例文
「御立腹の段は誠に御尤ごもつともで、わたくしに於ても一々御同感で御座りまする、が、だ何分にも篠田が青年等の中心になつて居りまするので」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
と振袖を顔に当て、潜々さめ/″\と泣く様子は、美しくもあり又物凄ものすごくもなるから、新三郎は何も云わず、南無阿弥陀仏なむあみだぶつ、南無阿弥陀仏。
あれこそは此世このよ名譽めいよといふ名譽めいよが、った一人ほとり王樣わうさまとなって、すわ帝座ていざぢゃ。おゝ、なんといふ獸物けだものぢゃわしは、かりにもかたわるういふとは!
舊藩きうはん因縁いんねん執着しふちやくする元氣げんき豪傑連がうけつれんや、ちひさな愛國者達あいこくしやたちが、墮落だらくしたコスモポリタンを批難ひなんするのであつた。
罪なき人が白状するはずなければ藻西太郎が白状せしと云うを聞き一同は言葉も出ぬまでに驚き果て、中にも余の如きはだ夢かと思うばかりなりき
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
至善至悪に対する妙念は残らず擺脱はいだつし去りてだ慾火炎上の曲りくねりたる一時のすゞしさを此上なき者と珍重す。
煙草たばこすつたり、自分じぶんり折りはなしかけてもだ『ハア』『そう』とこたへらるゝだけで、沈々ちん/\默々もく/\空々くう/\漠々ばく/\、三日でもうしてちますよといはぬばかり、悠然いうぜん泰然たいぜん茫然ばうぜん
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
かの大多数の婦人労働者の如き、家庭の狭隘と自由の欠乏とがだ工場、デパアトメントストア、事務所等に移されたるのみとすれば果してどれ程真の独立を得て居るであらうか。
婦人解放の悲劇 (新字旧仮名) / エマ・ゴールドマン(著)
雲消えて皹もまたぬぐひ去らる、山色何の瑠璃るりぞ、赭丹しやたん赭黄なる熔岩ようがんの、奇醜きしう大塊を、至つて無器用に束ねて嶄立ざんりつせるのみ、その肩を怒らし胸を張れるを見て、淑美しゆくびなる女性的崇高を知らず。
霧の不二、月の不二 (新字旧仮名) / 小島烏水(著)
だ一人で湖のふちへ来て、真黒く濁った水の底深く沈んでしまいました。
ルルとミミ (新字新仮名) / 夢野久作とだけん(著)
たまには激浪げきらう怒濤どたうもあつてしい、惡風あくふう暴雨ぼううもあつてしい、とつて我輩わがはいけつしてらんこのむのではない、空氣くうきが五かぜよつ掃除さうぢされ、十あめよつきよめられんことをこひねがふのである。
建築の本義 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
此方こちらもたゞ腕をくんで考えるばかり、智慧どころか中々鼻血も出そうにないので、だハア/\と申してる。伊之吉は男だけに
母を喜ばしむ、ぜんよりも一層真心をめて彼女かれを慰め、彼女をはげまし、唯一のたてとなりて彼女を保護するものは剛一なりける
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
A  それやきみすこしは薄氣味うすぎみわるくなるだらうぢやないか。つた十八まん五千七百九十九まい年始状ねんしじやう大隈邸おほくまていはこびこまれてさへ新聞種しんぶんだねになるんだもの。
ハガキ運動 (旧字旧仮名) / 堺利彦(著)
この狭い小舎の中、というよりも天外に奔放する一不可思議線のアルプスに、人類としては、自分と導者の善作とった二人が存在するばかりだ、この二人は生れてから昨日までの長い年月に
奥常念岳の絶巓に立つ記 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
しかし時間じかんればうごかぬわけにいかない人車鐵道じんしやてつだうさへをはれば最早もうゐたも同樣どうやうそれちからはこはひると中等ちゆうとう我等われら二人ふたりぎりひろいのは難有ありがたいが二時間半じかんはん無言むごんぎやうおそるとおもつてると
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
村の人がどんなに親切に慰めても、ミミはだ泣いてばかりいました。
ルルとミミ (新字新仮名) / 夢野久作とだけん(著)
だ奥州より帰りて二日、机上の一冊子を取つて読みしもの、即ち此書にてありければ、読過する数時間に余が脳中に浮び出たる感念を其儘筆に任せて書き了り、思量するいとまもあらず、冷罵の事
彼は書斎へ老女を招致せり、新古の書巻わづかに膝をるゝばかりに堆積散乱して、だ壁間モーゼ火中に神と語るの一画を掛くるあるのみ
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
だ伊之や/\とから気狂きちがいのようで、実の親でもなか/\斯うは参らぬもので、伊之吉はまことに僥倖しあわせものでげす。
だからわたし其時そのとき日本國民にほんこくみんとして所有しよいうするものは、わづかの家具かぐと、わづかのほんと、わづかの衣服類いふくるゐとにぎなかつた。そしてわづかに文筆勞働ぶんぴつらうどうつて衣食いしよくするのであつた。
二人は何事もだ有難いと面目ないで前後不覚のようになって、重二郎の云う儘に表へ出に掛る。台所口の腰障子を
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
一、警官の「万歳」 此の奇怪なる報道をもたらせる者はだ一人なるが故に、余は之を語れる者の姓名を明記すべき要あり、是れ即ち上野村大字船津川の小野熊次郎と言へる人の談なり。
鉱毒飛沫 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
もううなつてると、るべきかねらうと最初さいしよかんがへもなくなるし、またそれがめに葉書代はがきだいつひやすのはそんだといふやうかんがへもなし、是非ぜひともなければならない日課につくわとして
ハガキ運動 (旧字旧仮名) / 堺利彦(著)
やま「聴かれません、怖くって、恐ろしい、お置き申すわけにはいきません、った今おいでなすって下さい」
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
と心のうちに祈らぬ日とてはござりませぬ。別に話し相手というもなく、だ船をつくろうことにのみ屈托くったくして居りまする。折々おり/\木を切りうおりますごとに、思わず
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
海上も一時はカッといかられて、外のものに当り散らしては見たが、相手のない喧嘩は何うもはえないもので、到頭そのまゝ泣き寝入で、だ器量を下げてお引下がりになりました。
なか/\合点がってんしねえ、それはお嬢さん飛んでもない事で、お店の奉公人や何かと私通いたずらをするようなお嬢様なら、私の処へは置きませぬ、った今出ておいでなせえというから、わっしが仲裁をして
闇夜の梅 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
お前の立った当座はだ泣いてばかりおりましたから私がそんなにくよ/\してわずらいでもしてはいかないから、気を取り直せよといい聞かせて置きましたが、お前もマア健かでお早くお帰りだ
大呵おおしかられ、貴様の云いようが悪いから出来る縁談も破談になる、った一人の御息女を妾手掛にほしいと云うから御立腹なすったのだ、此方こちらでは御新造ごしんぞに貰い受けたいのだ、御縁組を願いたいのだ
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)