“只中”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ただなか84.2%
たゞなか15.8%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
いまは、どちらへ向いても、島影しまかげも見えない大海のまっ只中ただなかにいるわけだが、こんなところで投げだされたら、助かる見込みはない。
呂宋の壺 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
曲角まがりかどの青大将と、このかたわらなる菜の花の中の赤楝蛇やまかがしと、向うの馬のつらとへ線を引くと、細長い三角形の只中ただなかへ、封じ籠められた形になる。
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
彼處かしこに、はるかに、みづうみ只中たゞなかなる一點いつてんのモーターは、ひかりに、たゞ青瑪瑙あをめなううりうかべる風情ふぜいがある。また、ふねの、さながら白銀しろがねしゝけるがごとえたるも道理ことわりよ。
十和田の夏霧 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
くもそびゆる高山たかやまも。のぼらばなどかへざらむ。そらをひたせる海原うなばらも。わたらばつひわたるべし。わが蜻蛉洲あきつしまあかねさす。ひがしうみはなじまたとへばうみ只中たゞなかに。うかべるふねにさもたり——。