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只中
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たゞなか
彼處に、
遙に、
湖の
只中なる
一點のモーターは、
日の
光に、たゞ
青瑪瑙の
瓜の
泛べる
風情がある。また、
行く
船の、さながら
白銀の
猪の
驅けるが
如く
見えたるも
道理よ。
雲に
聳ゆる
高山も。
登らばなどか
越へざらむ。
空をひたせる
海原も。
渡らば
終に
渡るべし。
我蜻蛉洲は
茜さす。
東の
海の
離れ
島。
例へば
海の
只中に。
浮べる
船にさも
似たり——。
濠を
越して
遥かな
石垣の
只中へも
叩きつけさうだつた
勢も
失せて——
猶予ふ
状して……ト
下を
見る
足許を、
然まで
下らず、
此方は
低い
濠の
岸の、すぐ
灰色の
水に
成る、
角組んだ
蘆の
上へ、
引上げたか