“只走”の読み方と例文
読み方割合
ひたばし100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
その晩、江戸の西の郊外を只走ひたばしりに走っているのは、宇津木兵馬であります。
大菩薩峠:19 小名路の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
神尾の下屋敷から脱することを得たムク犬は、山へも逃げず、里へも逃げず、首に鎖と縄を引張ったまま只走ひたばしりに走って、塩山えんざん恵林寺えりんじの前へ来ると、直ぐにその門内へ飛び込んでしまいました。
兵馬は金剛杖を打ち振り打ち振り後ろの敵に備えながら、只走ひたばしりに駕籠を追いかけると、かなたの松原でワーッという人声であります。駕籠も人も見えないで、その人声がひときわ高く揚りました。
大菩薩峠:15 慢心和尚の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)