“只事”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ただごと88.0%
たゞごと12.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
お蘭はふと、近頃人のうわさでは四郎の人気につけ込んで興行師がこの白痴の少年に目をつけ出したということを思い出した。これは只事ただごとではない。
みちのく (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
やい、外へ出ろ、外へ出ろ、只事ただごとじゃねえぞ、お姫様のたたりだ。さあ、帆柱を叩き切るんだ、帆柱を。斧を持って来い、斧を二三挺持って来い。
大菩薩峠:18 安房の国の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
なんだかこれまたかれには只事たゞごとでなくあやしくおもはれて、いへかへつてからも一日中にちぢゆうかれあたまから囚人しうじん姿すがたじゆうふてる兵卒へいそつかほなどがはなれずに、眼前がんぜん閃付ちらついてゐる
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
彼は平穏無事に此処の中学部を終へると、突然高等学校の試験準備を只事たゞごとではないやうな熱心さで始めて京都の三高に入つてしまつた。これは同級生のたれにとつても意外な事だつた。
朧夜 (新字旧仮名) / 犬養健(著)