“ただごと”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
只事29.2%
尋常事23.6%
凡事20.8%
唯事19.4%
常事2.8%
徒事2.8%
啻事1.4%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
只事ただごとじゃ無かろうと云って、親類や友達が騒ぎ出していると、七日目の晩になって、ふらりと帰って来た。
夢十夜 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
すると、なんだかこれがまたかれには只事ただごとでなくあやしくおもわれて、いえかえってからも一日中にちじゅう
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
いや、名にし負う倶利伽羅で、天にも地にもただ一人、三造がこの挙動ふるまいは、われわれ人間としては尋常事ただごとではない。
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
若干そこばくの代を取らすや否や周章あわてて潜門くぐりの奥深く消えたという新聞は尋常事ただごとならず思われて
とは、京都の庶民たちも、うすうす変には感じていたが、凡事ただごとでない騒ぎは、去年から年の暮までもつづいていた——
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
滝川一益を相手にさりげなく話していた光秀のすがたへ、じっと注いでいた信長の眼は、すでに凡事ただごとと見えなかった。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
幸い月見船が二三そういたので、私も命拾いをしましたが、これは唯事ただごとではないと思ったから、そこからお楽を引取って
そして何時までも、折竹の向う側にかけていて、雑誌などを見ながらもちょいちょいと彼をみる、その目付きは唯事ただごとではない。
人外魔境:08 遊魂境 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
飯が済むとお滝は表座敷へ入って往ったが、障子も襖もぴったり締めてしまって、外からはすこしも見えないようにして坐っていた。老婆と新一はいよいよ常事ただごとでないと思って心配しながら囁き合った。
狐の手帳 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
が、また心を取直して考えてみれば、故無くして文三をはずかしめたといい、母親にさからいながら、何時しかそのいうなりに成ったといい、それほどまで親かった昇と俄に疏々うとうとしくなったといい、——どうも常事ただごとでなくも思われる。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
「どう考えても黒めが無暗にあの客人に吠えつくのがおかしい。どうも徒事ただごとでねえように思われる。ためしに一つぶっ放してみようか。」
木曽の旅人 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
その頃から、こと毎に、お前は僕を憎んだり、軽蔑したりしはじめた。それは時々、徒事ただごとでなかつた。
海の霧 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
それを斯うした遅い時間に、而も歩行の不自由な※疾者インバリットが起きて歩いているとすれば啻事ただごとでない。
日蔭の街 (新字新仮名) / 松本泰(著)