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唯事
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ただごと
ふりがな文庫
“
唯事
(
ただごと
)” の例文
明日は五旬節だ、だのになぜ彼らの家では、門や垣根を緑葉で飾らないのだろう? こりゃ
唯事
(
ただごと
)
ではないぞ。……そこで行って見ました。
女房ども
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
毎日うろうろしていることや、京屋の主人が
年甲斐
(
としがい
)
もなくお鈴を付け廻していた話。それからお鈴の死んだのは
唯事
(
ただごと
)
じゃあるまいと言った世間の噂を
銭形平次捕物控:134 仏師の娘
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
双親
(
ふたおや
)
と共に熱心な
天主教
(
てんしゆけう
)
の信者である姫君が、悪魔に
魅入
(
みい
)
られてゐると云ふ事は、
唯事
(
ただごと
)
ではないと思つたのである。
悪魔
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
それに、そんなに探しても、あの目立つ服装の文代が見つからぬというのも、何とやら
唯事
(
ただごと
)
でない。
吸血鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
手紙もたびたび送っては人目を引くであろうからと思って、内容を
唯事
(
ただごと
)
風に書いた。
源氏物語:31 真木柱
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
▼ もっと見る
二人は何かの話に気を取られて
行燈
(
あんどう
)
をつけるのも忘れて、暗いなかで小声で話しているのをみると、これはどうも
唯事
(
ただごと
)
ではあるまいと、年のゆかないわたくしも
迂濶
(
うかつ
)
にはいるのを遠慮しました。
蜘蛛の夢
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「お邪魔はしないわよ。あたしに
関
(
かま
)
わず、お仕事をやって」と言う。そして何時までも、折竹の向う側にかけていて、雑誌などを見ながらもちょいちょいと彼をみる、その目付きは
唯事
(
ただごと
)
ではない。
人外魔境:08 遊魂境
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
私はいよいよこれは
唯事
(
ただごと
)
ではないと思うのですが……
国際殺人団の崩壊
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
フト隠居の山右衛門が、若くして美しいお弓を側へ置くのが、
唯事
(
ただごと
)
でないように言う店中の
噂
(
うわさ
)
を思い出したのです。
銭形平次捕物控:133 井戸の茶碗
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
藤、山吹、
菖蒲
(
しやうぶ
)
と数へてくると、どうもこれは
唯事
(
ただごと
)
ではない。「自然」に発狂の気味のあるのは疑ひ難い事実である。僕は
爾来
(
じらい
)
人の顔さへ見れば、「天変地異が起りさうだ」と云つた。
大正十二年九月一日の大震に際して
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
この青年がこれほど顔色を変えているのは
唯事
(
ただごと
)
でない。
若
(
も
)
しや……
偉大なる夢
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
幸い月見船が二三
艘
(
そう
)
いたので、私も命拾いをしましたが、これは
唯事
(
ただごと
)
ではないと思ったから、そこからお楽を引取って、少し見ていることにしたのです
銭形平次捕物控:024 平次女難
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「お静、石原の兄哥のところへ行って聞いて来い、
一昨日
(
おととい
)
から誰も来ないのは
唯事
(
ただごと
)
じゃあるまい」
銭形平次捕物控:088 不死の霊薬
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「お
内儀
(
かみ
)
さんは、若主人の重太郎の死にようが
唯事
(
ただごと
)
でないということを知っているだろうな」
銭形平次捕物控:144 茶碗割り
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
宵とはいってもこの大雪に、往来の方へ向いた、入口の
格子
(
こうし
)
を叩くならまだしも、
川岸
(
かし
)
へ廻って、庭の木戸から縁側の雨戸を叩く者があるとすると、全く
唯事
(
ただごと
)
ではありません。
銭形平次捕物控:021 雪の精
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
明るい
灯
(
ひ
)
、広々とした部屋、それを四方から圧する空気も
唯事
(
ただごと
)
ではありません。
銭形平次捕物控:051 迷子札
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「主人の死にようが、
唯事
(
ただごと
)
じゃないような気がしてなりません」
銭形平次捕物控:094 死相の女
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
お弁の厚化粧が急に素顔になったのは
唯事
(
ただごと
)
じゃないよ
銭形平次捕物控:094 死相の女
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「
交
(
ま
)
ぜっ返しちゃいけません。花見は追って懐ろ加減のいい時として、ともかく巣鴨へ行ってみようじゃありませんか。井筒屋重兵衛の死にようが、あんまり変っているから、こいつは
唯事
(
ただごと
)
じゃありませんよ、親分」
銭形平次捕物控:144 茶碗割り
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
唯
常用漢字
中学
部首:⼝
11画
事
常用漢字
小3
部首:⼅
8画
“唯”で始まる語句
唯
唯今
唯一
唯々
唯々諾々
唯一人
唯有
唯者
唯我独尊
唯物