“唯有”の読み方と例文
読み方割合
とあ100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
お隅の父親おやじがこの男と同じ書記仲間で大屋の登記役場に勤めている時分——お隅も大屋へ来て、唯有とある家に奉公していました。
藁草履 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
青山高樹町のうちをぶらりと出た彼等夫婦は、まだ工事中の玉川電鉄の線路を三軒茶屋まで歩いた。唯有とあ饂飩屋うどんやに腰かけて、昼飯がわりに饂飩を食った。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
それでも、學生の漕いで行く小さなボートの影や、若い夫婦の遊山舟も一つ二つ見えた。舟を唯有とある岸に寄せて、殊に美しい山葡萄の紅葉を摘むで宿に歸つた。
熊の足跡 (旧字旧仮名) / 徳冨蘆花(著)