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ただごと
ふりがな文庫
“
尋常事
(
ただごと
)” の例文
一大尉一特務
曹長
(
そうちょう
)
が軍法会議に廻されたという明日発表される軍憲の移動を話して、こういう重職の交迭は決して
尋常事
(
ただごと
)
ではない。
最後の大杉
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
「けさ私が大工と一緒に部屋を調べたときには、何もかもみな乾燥していましたが……。どうも
尋常事
(
ただごと
)
ではありませんね。おや!」
世界怪談名作集:13 上床
(新字新仮名)
/
フランシス・マリオン・クラウフォード
(著)
洗濯板のようになった
肋骨
(
あばらぼね
)
を
露出
(
こっくりだ
)
いてヒョックリヒョックリと
呼吸
(
いき
)
をするアンバイが、どうやら
尋常事
(
ただごと
)
じゃないように思われて来ました。
近世快人伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
と小宮山は、金の脈を掘当てましたな、かねての話が事実となったのでありますから、
漫
(
そぞろ
)
に勇んだので乗出しようが
尋常事
(
ただごと
)
でありませんから
湯女の魂
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
しかも日を経るに
随
(
したが
)
って、蛙は一匹に止らず、二匹三匹と数増して、
果
(
はて
)
は夜も昼も無数の蛙が椽に飛び上り、座敷に這込むという始末に、一同も
是
(
こ
)
れ
尋常事
(
ただごと
)
でないと眉を顰め
池袋の怪
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
▼ もっと見る
その御様子をみてマリヤは、何かは知らず
尋常事
(
ただごと
)
でなき悲哀がイエスの身をつつみ、死の悩みとも言うべきイエスの心を
圧
(
おさ
)
えていることをば、若き女性の愛の直感をもって感じた。
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
目を
睜
(
みは
)
って、その水中の木材よ、いで、浮べ、
鰭
(
ひれ
)
ふって木戸に迎えよ、と
睨
(
にら
)
むばかりに
瞻
(
みつ
)
めたのでござるそうな。
些
(
ち
)
と
尋常事
(
ただごと
)
でありませんな。
春昼
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
口の中に真黒い血が一と
塊
(
かたまり
)
泌み出いておる処を見ると、これは
尋常事
(
ただごと
)
じゃないと気が付いた
故
(
けに
)
、今日がきょうまで世間の噂を探りおったものじゃがなあ
狂歌師赤猪口兵衛:博多名物非人探偵
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
只
(
と
)
ある伯爵家の裏門の前で俥を停めさせて、
若干
(
そこばく
)
の代を取らすや否や
周章
(
あわ
)
てて
潜門
(
くぐり
)
の奥深く消えたという新聞は
尋常事
(
ただごと
)
ならず思われて、噂は忽ち八方に広がった。
四十年前:――新文学の曙光――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
内には女中と……自分ばかり、(皆健康か。)は
尋常事
(
ただごと
)
でない。けれども、よもや、と思うから、その(皆)を
僻耳
(
ひがみみ
)
であろう、と自分でも疑って
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
皆さん、なんと思し召す? こりゃ
尋常事
(
ただごと
)
じゃありませんぜ。ばかを見たのはわれわれですよ。全く
駈
(
か
)
け落ちですな。
義血侠血
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
尋常事
(
ただごと
)
じゃあねえ、第一また万に一つ何事もないにした処が、心持が悪いじゃあねえか、宵啼なんて
厭
(
いや
)
なものだ、ほんとうにどうにかしようじゃあねえか。
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
親方というのは
鯰
(
なまず
)
の伝——どうです
騒
(
さわぎ
)
の卵じゃありませんか、
尋常事
(
ただごと
)
じゃアありますまい。
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
もっとも見知合いで、不断は、おい、とっさんか、せいぜい近小父、でも、名より、目の方へ、見当をつける若いものが、大師匠、先生は……ちょっと、
尋常事
(
ただごと
)
ではないでしょう。
ピストルの使い方:――(前題――楊弓)
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
むむ、いや、かさねがさね……たといキリシタンバテレンとは云え、お宗旨までは
尋常事
(
ただごと
)
ではない。この事、その事。新蕎麦に月は
射
(
さ
)
さぬが、
暗
(
やみ
)
は、ものじゃ、冥土の女房に逢う
思
(
おもい
)
。
白金之絵図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
いや、名にし負う倶利伽羅で、天にも地にもただ一人、三造がこの
挙動
(
ふるまい
)
は、われわれ人間としては
尋常事
(
ただごと
)
ではない。手に汗を握る一大事であったが、山に取っては、
蝗
(
いなご
)
が飛ぶほどでもなかろう。
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「どうなるのだろう……とにかくこれは
尋常事
(
ただごと
)
じゃない。」
雪霊続記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
……広縁をこの
体
(
てい
)
は、さてさて
尋常事
(
ただごと
)
ではない。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
(ああ、これは
尋常事
(
ただごと
)
でない。)
甲乙
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
尋
常用漢字
中学
部首:⼨
12画
常
常用漢字
小5
部首:⼱
11画
事
常用漢字
小3
部首:⼅
8画
“尋常”で始まる語句
尋常
尋常一様
尋常科
尋常人
尋常茶飯
尋常外
尋常漢
尋常茶飯事
尋常体
尋常時