“いたずら”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
悪戯73.1%
19.9%
淫奔1.8%
徒爾0.6%
私通0.6%
徒事0.3%
賭博0.3%
遊戯0.3%
悪作劇0.1%
不義0.1%
只管0.1%
好色0.1%
姦通0.1%
密通0.1%
悪劇0.1%
惡戯0.1%
惡戲0.1%
戯談0.1%
板面0.1%
浮奔0.1%
淫事0.1%
淫蕩0.1%
淫褻0.1%
0.1%
濫行0.1%
痴戯0.1%
0.1%
0.1%
頑童0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
今度こそこの鼻蔵人がうまく一番かついだ挙句あげく、さんざん笑い返してやろうと、こう云う魂胆こんたん悪戯いたずらにとりかかったのでございます。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
右にも左にも向くことができず、舌がもつれてものもいえず、仰臥ぎょうがしたままいたずらに意識ばかりはっきりしてる母の手をとって一日を暮す。
母の死 (新字新仮名) / 中勘助(著)
良次郎は御主人の娘をそそのかして淫奔いたずらをするような、そんな不心得な人間じゃありません。ここにいるおやまはほんとうの妹じゃありません。
半七捕物帳:20 向島の寮 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
兄さんは自分の身躯や心が自分を裏切うらぎ曲者くせもののように云います。それが徒爾いたずら半分の出放題でほうだいでない事は、今日きょうまでいっしょに寝泊ねとまりの日数ひかずを重ねた私にはよく理解できます。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
つい先達せんだってお國が源次郎と云う人を連れて来ていうのには、私が牛込の或るお屋敷へ奥様附で行った所が、若気の至りに源次郎様と不義私通いたずらゆえに此のお方は御勘当となり
「岡田さんお兼さんがよろしく」などという言葉は、自分も時々耳にした。けれども岡田はいっこう気にもとめない様子だったから、おおかたただの徒事いたずらだろうと思っていた。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
賭博いたずらばかり烈しく致して居りますが、あすが日、親父の腰へ縄でも附きますような事がありますと、私も見てはいられませんが、漸々だん/\借財が出来まして、うしても此の暮が行立ゆきたたず
文七元結 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
うちの小供は毎日母の羽織や風呂敷を出して、こんな遊戯いたずらをしている。
永日小品 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
あれは札差ふださし檀那衆だんなしゅ悪作劇いたずらをしておいでなすったところへ、おたつさんが飛び込んでお出なすったのでございます。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
この年九月十五日に、保のもとに匿名の書が届いた。日を期して決闘を求むる書である。その文体書風が悪作劇いたずらとも見えぬので、保は多少の心構こころがまえをしてその日を待った。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
春部の彼奴あいつが若江という小姓と不義いたずらをして逃げたんで、其の逃げる時にお馬場口から柵矢来さくやらいの隙間の巾の広い処から、身体を横にしてわたくしが出ようと思います途端に出会でっくわして、実にどうも困りました
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
何がさて、その当時の事であるから、一同ただ驚き怪しんで只管いたずらに妖怪変化の所為しわざと恐れ、お部屋様も遂にこのやしき居堪いたたまれず、浅草並木辺の実家へ一先ひとまずお引移りという始末。
池袋の怪 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
そう言いさしたお蓮さまのには、つと、好色いたずらっぽいあこがれの火が点ぜられて——。
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
何事とは不埓ふらちな奴だ、汝がとくより我が召使國と不義姦通いたずらしているのみならず、明日みょうにち中川にて漁船りょうせんより我を突き落し、命を取った暁に、うま/\此の飯島の家を乗取のっとらんとの悪だくみ
隣りずからの心安さに折々おり/\いでになる所から、お前は此の源さまと不義密通いたずらを働いた末、お前方が申し合せ、殿様を殺し、有金大小衣類きるいを盗み取り、お屋敷を逃げておいでだろうがな
おきなさい。今に悪劇いたずらをする場所がなくなる。
「唯の惡戯いたずらおどかしぢやあるまい、俺も行つて見よう」
其中そのうち綺麗きれい支那製しなせい花籃はなかごのなかへ炭團たどん一杯いつぱいつてとこかざつたと滑稽こつけいと、主人しゆじん編上あみあげくつのなかへみづんで、金魚きんぎよはなしたと惡戲いたずらが、宗助そうすけには大變たいへんみゝあたらしかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
また戯談いたずらにそんなことをわざわざ申して来る人もあるまいと思いますので、念のため、お参りにいらして下すった方々の事を詮議してみましたが
情鬼 (新字新仮名) / 大倉燁子(著)
「ウンやるんじゃない板面いたずらなのさ。そりゃそうと君も次が又出来たそうね、然も男子じゃ目出たいじゃないか」
浜菊 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
あなたは無造作に浮奔いたずらだの親不孝だと言うが、そこがおれにゃ、やっぱりわかんねい。
春の潮 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
かめ「それ程義理を知って居ながら、何故分家のお作と淫事いたずらをしたよ、ぐず/\して居てじれっていな」
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
それは、益満への、思慕の心からでなく、自分が、人並よりも、淫蕩いたずら娘ではないかしら、という、疑いからであった。
南国太平記 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
「じゃ、ちッとこうしていたまえ。大丈夫だよ、淫褻いたずらなぞする本田にあらずだ……が、ちょッと……」と何やら小声で云ッて、「……ぐらいは宜かろう?」
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
いたずらな作者の道楽気は反省されなければならないと共に、群集の一人でも、此からの舞台では、仕出し根性を改めなければならないのではあるまいか。
印象:九月の帝国劇場 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
それじゃア何か差向さしむかいる処へわしが上って来たから、山平殿と不義濫行いたずらでもして居ると心得て、私が立腹してれへ上って来た故、差向で居た上からは申訳もうしわけとても立たぬ
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「情死じゃアねえが、大方痴戯いたずらはてだろうよ」「いや、菊屋のかみさんが残酷ひどいからだ、以前このまえもあそこの下女で井戸へ飛んだ者がある」
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
今時いまどきの民家は此様の法をしらずして行規ぎょうぎみだりにして名をけがし、親兄弟にはじをあたへ一生身をいたずらにする者有り。口惜くちおしき事にあらずや。女は父母のおおせ媒妁なかだちとに非ざれば交らずと、小学にもみえたり。
女大学評論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
小翠はむやみに笑う癖があってよくいたずらをしたが、元豊を嫌うようなことはなかった。
小翠 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
仲善なかよし二人肩へ手を掛合って行く前に、弁当箱をポンとほうり上げてはチョイと受けて行く頑童いたずらがある。其隣りは往来の石塊いしころを蹴飛ばし蹴飛ばし行く。誰だか、後刻あとで遊びにくよ、とわめく。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)